NHKで放送された『クローズアップ現代』のヘイトスピーチ特集を見ました。
まずしっかりとヘイトスピーチの事件を並べていたのが好印象(メーカー名を出せないためか、ロート製薬強要事件を『製薬会社への強要事件』としていましたが。)
そしてヘイトスピーチデモとして『ゴキブリウジ虫朝鮮人』『お前ら朝鮮人は腐れ朝鮮人なんだよ』『出てけ出てけ朝鮮人』とわめきたてるデモの映像を紹介。
そして彼らが撮影してYouTubeにアップしたと思われる『朝鮮学校襲撃デモ事件』を映像で紹介。
このデモ活動に参加して有罪になった団体元幹部のインタビュー。
『在日特権は不公平で許せない』と。
この在日特権というものはほとんどが存在しないものであり、存在していても『歴史的背景』など、不公平とは言えないきちんとした理由があるものが大多数です。(このため在日特権といわず『外国人特権』と敢えて対象を広くすることで、なんとか主張の正しさを保とうとするパターンも有る)
『過激な言葉を使うことに意義がある。相手の喉元に直撃して、相手が本当に嫌がることをする、それがこれまでの保守団体には出来なかったこと。』という団体の幹部も居たという。
これまでヘイトスピーチデモ参加者にインタビューしてきた樋口直人氏のインタビュー。
『外交関係でイライラしている人が多い。そこでありえない理屈を持ち出してきているのが特徴ではないか?』と。
国連は『ヘイトスピーチが虐殺などにもつながりかねない』と。
ナチス・ドイツが『ユダヤ人は寄生虫』などと、ドイツ人の被害者意識を煽ったことでより暴走していったことも紹介。
ギリシャの移民排斥。移民襲撃事件も起き、移民排斥反対を謳った歌手は殺害されたと。
黄金の夜明けの言動。
ギリシャ人には『移民に襲われるから気をつけろ』
少し移民のような風貌の人には『お前はギリシャ人ではないな、消え失せろ』
『ギリシャ人の雇用が移民によって奪われている』という被害者意識を煽ることで
ヘイトスピーチの背後には『ヘイトスピーチの対象者が何をするかわからない』というさいうサイレントマジョリティの意識があるように思える、という声。
在特会の会長は『レイシストではなく怒れる排外主義者だ』などと反論している。
『ヘイトスピーチデモには、驚くほど内容が無い。非常に内向きなデモで、デモの主張を通した先に何があるかがさっぱりわからない。』『今は憎悪表現(ヘイトスピーチ)の話をしているが、これがいつ憎悪行動、憎悪犯罪(ヘイトクライム)になるかわからない』『ヨーロッパにいるユダヤ人は、日本にいる在日韓国人などの人数と同じ。ユダヤ人は「寄り添いながら同化しない」という態度で済んでいたが、憎悪犯罪増加などにより、同化しないと、生活を投げ捨てて移住しないといけないという状況に追い詰められつつある。』とロバート・キャンベルさんのコメントを挟んで再び映像へ。
『良い朝鮮人も悪い朝鮮人もどちらも殺せ』というプラカードがヘイトスピーチデモで抱えられている。
こういう『殺せ』という言葉が堂々と掲げられるのは『関東大震災以来なのでは?』と加藤直樹さん。
関東大震災での虐殺のベースには、地震の前に朝鮮人差別が根付いてしまっていた。
要するに、また誤った選択をしかねないということを、頭に置いておかないといけないのではないか?と。
『反日』『売国奴』という言葉が根付いてしまうと、社会全体が怯えてしまう。
怯えることで言論の自由を自主規制などで、自分から享受しなくなる人が出てくるのが危ないのではないか?とは保阪正康氏。
メディアのより寛容な姿勢などが重要になってくるのではないか?さもないと、多様性、知性を失い、より暴力的になっていってしまうのではないか?と。
近現代の事を知ることが大事なのでは?人と交わること、実際にどういう暮らしをしているのか?とコミットしてくことが大事なのでは?とロバート・キャンベルさんがまとめのコメントを話して放送は終わりました。
クローズアップ現代では総ざらいするのが精一杯というか、表面的な内容しかふれられないな、と思いました。
それでも、ヘイトスピーチデモの映像をきちんと取り上げて、酷いプラカードの内容を報じていたのは大事だと思います。
これで興味をもつ人が増えて、深く掘り下げた内容や、書籍などが増えてくると良いなぁ、と思いました。
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