保守党のメイ首相が地盤固めのために議会を解散し行った総選挙でしたが、結果はせっかくギリギリで確保していた過半数を手放してしまう結果になりました。
議席を減らし過半数割れしましたが、メイ首相は辞任せずに北アイルランドの民主統一党と閣外協力を組んで政権を維持する方針のようです。
民主統一党は、どうも強固に伝統を重視するような政党のようで、移民制限に繋がるEU離脱について強く支持しているようなので、離脱交渉を強く後押ししてくれる勢力ではあるのでしょう。
ただし、離脱交渉に向けて土台を固めるという、首相の狙いはほぼ実現されなかったといえるでしょう。
スコットランドでは、スコットランド国民党が大幅に議席を減らしました。しかし50議席も増やした前回が出来すぎていたと考えると、なんとか第一党に踏ん張ったともいえるのかもしれません。
そして、保守党がスコットランドで躍進しているのが、面白い結果だなぁと思います。
(スコットランド国民党が議席を伸ばしたときには、労働党の議席が40議席奪われていたように、スコットランドは労働党[と自由民主党]の地盤だった)
また、自由民主党はスコットランド全体で確保した票数は4万票前回より減ったのですが、一部の選挙区では勢力を維持するだけではなく票を伸ばしている場所もあるので、議席としては増やした形になっています。これは自由民主党として勝負を掛ける選挙区を作る方針だったのでしょうか?これが狙い通りなら、今後勢力回復傾向に傾くのではないでしょうか?
イングランドでは、イギリス独立党が壊滅。前回ある程度票を獲得していた選挙だったとしても、そもそも出馬すら出来ていない選挙区すらあるようで、唯一議席を確保していた保守党から移籍してきた議員も引退してしまったため、議席も確保できず、票も300万票以上減らすという結果になりました。
また、確保している議席数は1議席で変わっていないものの、緑の党もイングランド全体で言うと前回の半分以下の票しか確保できませんでした。
また、自由民主党は票数では前回の選挙より微妙に増えている(2万票くらい(ものの、総投票数が伸びている結果、得票率としては微減となっています。
北アイルランドでは、(細かい選挙区などは違うものの)穏健なイギリスとの統合を主張するアルスター統一党の議席が強硬派である民主統一党に、穏健なアイルランドとの統一を主張する社会民主労働党の議席がシン・フェイン党に丸々移るという結果になりました。
今回のイギリス総選挙は、小選挙区制度らしく、上位二大政党に票が集約されていく傾向が見えたように思います。
そんな中で、イギリス独立党がごっそり減らした票をより多く拾ったようにみえるのが労働党で、スコットランド国民党が減らした票をより多く拾ったようにみえるのが保守党だったというのが、個人的にはすごく興味深い現象のように見えました。
(2015年のイギリス総選挙について書いた記事のリンクも貼っておきます)
http://rispair.com/?p=168
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