森友学園の土地の登記を巡る動きについて

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橋下徹氏が有料のメルマガで森友学園について語った一部が『橋下徹「スクープ!これが森友学園問題の真相だ」』という記事にて公開されている。

ここで橋下徹氏が『ここまでの情報の信用度は5段階評価で3レベル。』と書いている部分までの話について明確な誤りがあるので、そのことについて書きます。

そこで橋下徹氏が触れているのは、森友学園が賃借し、買収した土地の登記についての話です。

この登記については小林よしのり氏関係のゴー宣道場の『豊中市国有地格安売却疑惑「錯誤」の不可思議な登記』という記事や郷原信郎氏がそれを受けて書いた『森友学園問題 「錯誤」登記をめぐる謎』でも書いているのでそれも参考にどうぞ。

橋下徹氏の記事では、この登記と現物出資について『平成24年10月に現物出資が完了』した後に『近畿財務局が大阪音楽大学に売れるかもしれないということで、関西国際空港新会社に移した土地を再び大阪航空局所管に戻した』としていますが、これは間違いだと思われます。

まず、この登記自体は平成24年10月22日にされているのですが、根拠は平成24年7月1日に現物出資がなされていることとなっています。

この現物出資の根拠は『関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律』という、関西国際空港と大阪国際空港を経営統合する法律です。

この法律にて施行日に(現物)出資を行うことが決まっているので、対外的に第三者に所有権移転を主張できる形ではないものの、平成24年7月に現物出資の内的な手続きは完了しているのです。(土地の登記が、なされていなくとも、株式会社側の出資されたものに関する手続きは完了しているはずです)

また、『森友学園問題:登記簿の「錯誤」について語るのであれば最低限抑えていてほしい事実関係』というブログ記事を見て知ったのですが、3月22日の参議院総務委員会にて、民進党の江崎孝議員がその登記関係の事実確認をしていました。(その質疑では議員の推測も披露していましたが、多少強引な推測をする方なのかな?という印象を受けました。)

その確認によると、現物出資する土地のリスト化は5月には出来ていないと間に合わない、とのことなので、現物出資するかどうかが事実上決まっていたのは5月より前のようです。

そして、ここからが大事なのですが、その時点であの土地は現物出資されないことが決まっていたという事も明確だと思われるのです。

それは何故かといいますと、現物出資をしなかった理由にあります。

同じく上にリンクを貼ったブログを読んで知ったのですが『平成24年2月14日』に開催された第119回 国有財産近畿地方審議会にて、この森友学園が取得した土地が現物出資されない事に言及がなされていたのです。

それを以下に引用しますと

(前略)
また、もう一つは、豊中市野田地区にございます移転補償跡地約9,000平方メートルの土地でございます。
本件につきましては、買い受けを希望されている学校法人と現在処分に向けて調整を進めさせておりまして、調整が完了次第、改めて本審議会に諮らせていただき、処分をしたいというように考えております。
以上の2件につきましては、早期の処分が見込めるために、今回の統合の際の出資対象財産とは考えておりません。

という事で、大阪音大との交渉が行われていたので、現物出資対象からは元々外れていたわけです。

そして、江崎孝議員の質問への答弁によりますと、交渉の正式な破談は、7月25日の要望書取り下げなので、7月1日の現物出資はしないことになっていたわけです。

しかし、大阪航空局の職員は、登記を行う際になぜか勘違いをし、この土地まで現物出資の登記をしてしまっていたので、その後錯誤として国に所有権が戻った、というのが正式な経緯のようです。

なので、橋下徹氏の『その代金を国のものにするため、いったん新会社所有となった当該土地を国所有に戻した(平成25年1月)。』というのは誤りで、そもそも処分の見込みがあったので始めから新会社の所有にはなっていなかった、というのが正確な話なのではないかな、と思います。

また、平成24年7月25日には大阪音大との話合いは破談していたことを考えても、平成25年1月に、代金を国のものにしようと考えることはあり得ないでしょう。(江崎議員の質問では、大阪音大がもう一度平成24年11月に打診していたらしいという話も出ていましたが、やはりこれもその月のうちに立ち消えているので、平成25年1月に代金を得られるわけがない)

また、ここまでの話から『錯誤』として国に所有権を戻したことのみを怪しいと見るのは、そもそも国に所有権を移す根拠がなかったと思われるので、ちょっと筋が悪いようにも思います。

ただ、なぜ誤って現物出資したと登記してしまったのか、なぜ錯誤だったことに気づいたのが平成25年1月だったのかについては、個人的には確認の余地がありそうな気がします。

そして、破談した時期や登記の事実関係の認識は誤りだとしても、橋下徹氏の『売却先を見つけるのに焦っていた』という主張部分は誤っていないように思います。

なぜならば、大阪音大へ売却して処分できる見込みであることを前提に、新会社に出資せず国に残したため、その話が破談した後は早急に処分しなければならない、と考えるのは妥当でしょう。

しかし、そこに至るまでの財務局の動きなど(担当部署の解散など)は橋下徹氏が書いていることは間違っているのではないかな?と思われます。

細かい話ですが、そこを誤ると間違った印象を受ける気がしたので書いてみました。

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