山尾氏「総理は『ぱらぱら集まって、今度やってやろうぜ、という話をしただけで罪になる』と言い切っている。あまりにも言いつくろいが過ぎる。もう一つ。『ぱらぱら発言』に続いて『そもそも発言』というのがある。1月26日の予算委員会でのやりとりです。『今回のものは、そもそも犯罪をおかすことを目的としている集団でなければなりません』。その3週間後は、オウム真理教を例に出して『当初はこれは宗教法人として認められた団体でありましたが、まさに犯罪集団として一変したわけであります』。『そもそも発言』を前提とすれば、オウム真理教は『そもそも宗教法人』なので、対象外ですね? どちらが正しいんですか?」
首相「『そもそも』という言葉の意味について、山尾委員は『はじめから』という理解しかないと思っておられるかもしれませんが、『そもそも』という意味には、これは、辞書で調べてみますと…」
山尾氏「調べたんですね」
首相「念のために調べてみたんです。念のために調べてみたわけでありますが(笑)、これは『基本的に』という意味もあるということも、ぜひ知っておいていただきたいと。これは多くの方々はすでにご承知の通りだと思いますが、山尾委員は、もしかしたら、それ、ご存じなかったかもしれませんが、これはまさに『基本的に』ということであります。つまり、『基本的に犯罪を目的とする集団であるか、ないか』が、対象となるかならないかの違いであって。これは当たり前のことでありまして」
(引用元:産経新聞記事)
産経新聞は、このあとのやり取りの末に山尾議員が『器が小さいんだよ』と言ってしまったことをタイトルにして、それを強調するために上に引用したやり取りをわざわざ起こしていたわけですが、山尾議員は置いておいて(調べたことを否定してる部分も含め、もっと慎重に言葉や指摘の方向性を選んでほしい)、このやり取り、怪しい話がすんなりと出てきています。
『念のために辞書で調べてみたら「そもそも」には「基本的に」という意味もあり、それは「多くの方々はすでにご承知」である』という事。そして、ソレが正しければ、山尾議員の指摘が的外れになるということです。
そもそもの意味については、安倍首相の辞書はどれだ! 「そもそも」を「基本的に」と書く辞書を探す旅という調べた結果、どの辞書にも載ってなかった、という報告があります。
ただ、Weblio類語辞書のそもそもでは『そのものの最も基本となる部分から一定の性質があるさま』という使われ方の類語に『基本的に』が存在し、ここらへんが安倍総理の答弁の根拠になってきそうな気もします。
ただ、基本的に、という言葉の一般的なイメージよりも、より厳密なイメージがあるように私は思いますがどうでしょうか?(そういう意味で「多くの方々はすでにご承知」とは思えないです。また、この「これは多くの方々はすでにご承知の通りだと思いますが、○○委員は、もしかしたら、それ、ご存じなかったかもしれませんが」という挑発の仕方は、他のやり取りでも聞いたことがある印象ですが、この挑発はまさに「器が小さい」と思ってしまいます。)
また、オウム真理教について「『基本的に犯罪を目的とする集団であるか、ないか』が、対象となるかならないかの違い」と述べていますが、オウム真理教の場合、計画を実行してる最中も宗教組織として世に出ていたわけで、基本的に犯罪組織として扱われていたわけではないと思いますし、そもそもの目的は宗教的な話であれば、犯罪行為が計画されていても該当しない、という話なのでしょうか?それこそ「犯罪への関与が明らかになるまで、基本的にオウム真理教は宗教組織であった」と思ってしまうのですが。
犯行前にオウム真理教が犯罪組織であり、犯行の準備を行っていたことを明らかにできたのかどうか?という事を考えると、山尾議員が言うように「オウム真理教は適用外」となったまま秘密裏に準備は進み、犯罪実行後に逮捕する、となる可能性がすごい高いように思いますし、あのオウム真理教に適用しなかった破防法みたいな、条件が厳密すぎて何にも適用されないという印象を持たれる末路になるのではないか、とも思ってしまいます。
そして、逆にそういう法律が機能するためには、本当に『治安維持法』のような暴走ありきの運用になってしまう気がするのですが(通信傍受の乱用の懸念があるのもこのためでしょう)、この懸念は払拭されるのでしょうか?
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