ホークスのファンクラブ接種はソフトバンクの当初からの予定通り

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以前、ソフトバンクと楽天が職域接種にて、近隣住民への接種を開始したことについて、「廃棄ワクチンの公表」と結びつけて、廃棄したと公表されたくないから近隣住民への接種を始めたのではないかという反応に対して、それは違うだろうし、そもそも政府は近隣住民を職域接種に入れ込むのを想定していたのでは?という記事を書きました。

これに続いて、ソフトバンクがファンクラブを職域接種対象に含めることを発表したことに対しても様々な批判を見かけたので、それについて思うところがあり、ブログに書いておこうと思います。

まず、ファンクラブ接種については、思いつきではなく、ソフトバンクグループが「25万人規模の接種を行う」と発表した際の接種数を伸ばす方法の中に入っていました。

最大規模の接種会場となる予定の福岡 PayPay ドーム(福岡市)においては、6月末頃よりグループ従業員や同居家族のほか、ソフトバンクホークスファンクラブ会員の皆さまや近隣住民の方を対象とした接種に向けて、国・⾃治体ほか関係機関と調整を⾏っています。2回目のワクチン接種から2週間経過した方には、福岡ソフトバンクホークス主催試合の観戦チケットを半額で提供する予定です。皆さまが安⼼して楽しめ、活気のある福岡 PayPay ドームでの試合観戦やコンサートなどの実現に向けて、取り組んでまいります。

ソフトバンクグループ、25万人規模の新型コロナウイルスワクチン接種を実施 | ソフトバンクグループ株式会社

で、この方法について「企業の宣伝に職域接種を利用している」とか「不公平」というような批判を目にしたのですが、私もそれはそうだと思うのですが、政府の「職域接種」の制度設計思想の中に、企業が宣伝に使ってもいいから、とにかく不公平な形でも、少しでも接種をスピードアップしようとしていた、というものがあったと思うので、その部分から考える必要があるのではないかと思うのです。
(「ワクチンをくすねた」という表現での批判も見かけましたが、そういう批判からはこういう観点が抜け落ちているように思うのです)

(問)職域接種についてお伺いします。申請ベースで1,126万回分とかなり量は増えてきたと思うんですけれども、大臣の受止めについて伺えますでしょうか。
(答)職域接種が増えてきたなと、正直思っております。なるべく4週間打ち続けていただいて、2回目の接種に進むということを徹底していただきたいと思っております。1,000人だと恐らく4週間打ち続けるということにならないと思いますので、将来的に人数をどうするかとか、いろいろ考える必要があると思いますが、1,000人を打ってそこで止まるのではなくて、隣近所、関連会社、社員の家族に積極的に声がけをして、無駄のないようにやっていただきたいと思います。

(問)あと、もう一点、職域接種に使われるモデルナ社製ワクチンなんですが、都道府県、国の大規模接種であったり、今後は市町村の集団接種でも使われると思いますけれども、5,000万回という限りがある中で、職域接種に振り分けられる上限はどのようにお考えでしょうか。
(答)まだその心配をする量ではないと思います。

(問)2点お伺いします。今のモデルナ社製ワクチンの職域接種に関してなんですけれども、4週間を打ち続けて隣近所にという形になってくると、早く進めていきたいということだと思うんですが、もはや職域というよりも企業やそのコンソーシアムを起点として職域に限らず誰でも打ってくださいという理解でよろしいんでしょうか。
(答)一応職域という言い方をしておりますが、無駄がないようにスピードアップして打っていただくというのが大事だと思いますし、自力でなかなか1,000人の職域接種ができない中小企業等もありますので、起点になるところは広く呼びかけていただくというのがいいかなと思います。

(問)そうすると、当初はその企業、取引先、あるいは扶養家族という話でしたけれども、そこはもうかなり柔軟に捉えてやってもらいたいということでよろしいでしょうか。
(答)1つは接種券がきちんとあるかどうか、接種券がない場合には名簿で管理をしていただかなければなりませんので、名簿管理がきちんとできるかどうか、そういうことだと思います。

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月15日

ここで、河野太郎大臣は名簿管理ができるならば、「職域」という範囲にこだわらず、スピードアップのために範囲をどんどん広げてほしいという趣旨の回答をしているように思います。

これに呼応するのがソフトバンクグループの大規模な職域接種なのではないでしょうか。

ちなみに、ソフトバンクグループが25万人規模の接種をすることを宣言したのは、この河野太郎大臣の会見の当日であり、孫正義の宣言は河野太郎大臣の視察と合わせて発表されているというのも注目点のように思います。
そんな発表を許している時点で、少なくとも河野太郎ワクチン担当大臣が、企業の宣伝になってもワクチン接種数が伸びればそれでいいと考えていたのは察せられるように思うのですが。

15日は河野太郎規制改革担当相と孫正義会長兼社長が会場を視察した。孫氏は「社員や近隣住民で合計25万人の接種を進める」と宣言した。今後予定する福岡会場の近隣住民で2回の接種を終えた人にプロ野球福岡ソフトバンクホークスの試合の入場料を半額にし、接種を促す計画も明らかにした。

ソフトバンクGのワクチン接種会場始動 河野担当相、孫社長が視察:時事ドットコム

で、今回のソフトバンクの職域接種が宣伝のようになってしまっているのは、他のワクチン接種の不調の中で行うという構図になっているからでしょう。

そんな中で気になったのはなぜこのようなタイミングで「可能になった」のか?ということです。

正直、ここまでワクチン接種の伸びがゆるくなった時期ではなく、当初の勢いよく伸びている状態でやったならばここまで批判されることはなかっtでしょう。

また、「宣伝になるようにあえて待っていたのでは」というような憶測がなされてしまうのもそういうことが一因でしょう。

ではなぜこのタイミングになったのか。

実行することを発表した内容には、このように書かれていました。

グループ従業員や家族のほか、福岡ソフトバンクホークスファンクラブ会員などを対象に加えた大規模な職域接種実現に向けて、6月より国・自治体ほか関係機関と調整を行っておりましたが、この度ワクチン供給の見通しがつき接種範囲を拡大できる運びとなりました。今後、約2万人への接種を予定しております。

ファンクラブ会員への新型コロナウイルスワクチン職域接種開始について|福岡ソフトバンクホークス

「ワクチン供給の見通しがたった」と述べているように、ソフトバンクグループは、政府側などとワクチンの供給スピードについて協議して、その上で当初の予定通りの範囲拡大を供給に合わせて行っているということのようです。

そして、このソフトバンクの発表の翌日、河野太郎大臣が、定例記者会見で職域接種を申請した全企業に対して、供給できる見通しがたった、と述べています。

河野太郎ワクチン担当相は17日の記者会見で、供給が追いつかずに一時申請を停止していた新型コロナウイルスワクチンの職場での接種について「今月30日の週には、現在(順番を)待っているすべての企業にワクチンの供給を開始できる見込みだ」と語った。9月4日までには、申請済みのすべての会場に供給を始める。

職域接種、順番待ち中の全企業にワクチン供給へ(産経新聞) – Yahoo!ニュース

この中で、河野規制改革担当大臣は、ワクチンの職域接種をめぐり「今後の供給が順調にいけば、来週には、お待ちいただいているすべての大学や、順番待ち1000番目までの企業にワクチンの供給を開始する」と述べました。

そのうえで、再来週には、すでに申請を終えて開始を待っているすべての企業にワクチンの供給を開始できるという見通しを示し「長らくお待たせしたが、順次、接種をしていただくことができるので、準備をお願いしたい」と述べました。

ワクチン職域接種 申請済み企業に供給の見通し 河野規制改革相 | 新型コロナ ワクチン(日本国内) | NHKニュース

政府もようやく8月30日の週には順番待ちしている企業に供給を始められる、と述べているのです。
この順番待ちにソフトバンクグループ枠が複数に分かれて存在していたのが、段階的に枠を新設することを発表することになった理由なのでしょう。
(ちなみに、ファンクラブ枠は8月30日に接種開始のようです。)

つまり、ソフトバンクグループとして、複数回に分けて与えられるワクチンを振り分ける際に、当初予定で発表していた複数枠の中での優先順位を作り、それが最下位であったのが「ファンクラブ枠」だったというのが、この時期の発表となった理由なのではないでしょうか。

前回の職域接種で地域住民に接種するという話への批判として「廃棄しないといけなくなりそうだったからやったのだろう」という物がありましたが、それへの反論材料にも、この「複数回に分けて供給されていそう」であることがつかえそうです。

ちなみに、楽天の方はタイミングの理由をどう書いているのかと確認したところ、職域接種で住民に接種することについて、国の指針で可能となっていることを抑えているのは、新経連を作った企業だけあるなと思いました。

 「楽天クリムゾンハウス」では、6月21日(月)から楽天のグループ会社および楽天メディカルジャパンの従業員とその家族を対象にした職域接種を開始しています。近隣住民における接種加速について協議していた世田谷区と、自社での職域接種を希望しつつ実施が困難なため要望をいただいていた事業者等、新経済連盟、および楽天メディカルジャパンと連携し、このたび、環境が整ったことから本地域包括的職域接種を実施します。なお、自治体等の既存計画への影響が生じない範囲で、当社として用意可能な会場規模や運営人員、協力いただける医療法人等の体制、本接種への参加希望が想定される関係各所からの要望状況も踏まえて、対応可能な接種数を試算のうえ国に申請し、事前に承認を受けたワクチン供給量に応じて実施するものです。

 現在、職域接種は国の指針において、企業が自社で医療従事者や会場等を確保し、医療機関からの協力を得て1,000人以上を対象に2回目接種も含めて実施できるように接種体制を整えることが条件とされています。同指針では、地域の負担を軽減し、接種の加速化を図っていくため、対応できる企業が近隣住民や関係する企業含め接種機会を提供することを可能にしています。

楽天、「楽天クリムゾンハウス」にて地域包括的職域接種を実施 | 楽天グループ株式会社

このように色々と調べて思うのですが、職域接種で企業が自由に範囲を設定することについて話すときに、少なくとも国の方針に逆らっているわけではないこと、また、発表するタイミングは企業だけで決めているわけではなさそうであることを抑えた上で、企業がそういう範囲を設定し発表する行為についての批判が行われてほしいです。

今回のワクチンの遅れなどの憤りがあるのはわかりますが「ソフトバンク」「楽天」「世田谷区」みたいなワードへの印象に、施策の印象をもってかれてるひとがこの話題では多い気がするので・・・

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