メッセージも罰則も信頼無くては無意味では

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JR東日本は、緊急事態宣言に伴い、大型連休が始まった先月29日から今月9日までの平日の通勤時間帯で、山手線など一部の路線の運行本数を減らしていますが、7日の平日は通常のダイヤに戻すと発表しました。
利用する人が大型連休の前と比べて減っておらず、列車が混雑したためとしています。

首都圏の鉄道各社は、緊急事態宣言が出され、国土交通省と東京都などから要請を受けて、大型連休が始まった先月29日から今月9日までの平日の通勤時間帯で、運行本数を減らすなどの対応を取っています。

このうちJR東日本は、山手線、京浜東北線、中央線の快速電車、中央・総武線の各駅停車、常磐快速線、京葉線、青梅線の7つの路線で、朝の6時台から10時台にかけて88本を運休して通常の8割程度とし、午後3時台から9時台にも13本運休する対応をとっています。

JR東日本によりますと、運行本数を減らした6日は、山手線などを利用する人は大型連休前と比べて減っておらず、運休した前後の列車で乗車率が180%を超えるなど混雑したということです。

このためJR東日本は、7日は運行本数を減らすのをやめて、通常のダイヤに戻すことを決めました。

JR東日本 平日の減便 あすは通常ダイヤに 混雑受けて

この減便については、そもそも1週間前、4月30日の金曜日の時点で混雑が起きていましたが、それが更に酷くなったことでついに取りやめとなったようです。

JR山手線・有楽町駅(内回り)では、通勤ラッシュの8時台は約3分に1本、電車が停まるため計21本の運行がありますが、要請を受け現在は17本に減らしています。人流を抑え、感染を防止するためにテレワークが求められていますが、先週金曜日の有楽町駅ではホームに人が溢れかえり、混雑が起きていました。

通勤電車が2割減便…過半数はテレワークできず

JR東によると、朝の通勤時間帯に山手線の乗客をGW前の4月26日と比較すると、初めて減便した同30日は70~80%と少なかったが、5月6日朝は95~100%とほとんど変わらなかった。駅などでの大きな混乱はなかったが、運休した列車の前後に混雑が見られた。

JR東日本、7日の減便中止 「GW前より乗客減らず」

4月30日朝の混雑状況についてJR東日本は、

「運休を行った列車の前後で混雑が発生したことは把握しておりますが、係員の放送や混雑対応により、大きな混乱はありません」

とJ-CASTニュースの取材に答えた。

減便要請応じるも…GW「谷間の平日」に「密」発生 JR東「混雑発生は把握」も「大きな混乱ない」

この減便については昨年の非常事態宣言時から何度も要請について議論になったり、実際に要請されたりしていたのですが、その時からも効果については賛否両論ありました。

 JRや私鉄は新幹線や観光列車などを除き、宣言前の輸送力をほぼ維持して運行した。だが国交省によると、2020年5月の全国の鉄道利用者は前年同月比53.2%と大幅に減った。

 一転したのは今年1月、2回目の緊急事態宣言の時だ。小池百合子東京都知事ら首都圏1都3県の知事と国交省は鉄道各社に、3月に予定していた終電繰り上げの前倒しを要請。各社は要請に従い、約2週間後に繰り上げを実施した。

 国交省幹部は「メッセージの意味合いが強い」と国民に危機感を持ってもらうパフォーマンスであることを示唆していた。

 だが「試しにやればいいという考えなら、たまったものではない」というのが複数の鉄道関係者の本音だ。鉄道は乗務員の手配や車両の整備サイクルを綿密に計算して運行し、乗り換え情報検索サイトの運営企業などとも連携している。乗客への周知なども含め、変更には膨大な時間と労力がかかる。

 あるJR幹部は「感染防止が期待できるなら不満は言わない」とした上で「用事があるから電車に乗るのであって、終電繰り上げや減便で用事を控える人がどれほどいるか」と首をかしげる。

緊急事態宣言、鉄道減便要請も効果に疑問 「外出判断に影響せず」の声 

 政府は23日、4都府県への緊急事態宣言の発令に合わせ、鉄道会社に減便要請を行った。突然の運行ダイヤ変更を迫られた鉄道会社には困惑が広がっている。

 鉄道ダイヤは、車両整備や運転士の人員配置など複雑な調整を行った上で決められている。特に、首都圏では複数の会社が路線を乗り入れる相互直通運転も多く、調整は煩雑だ。大手私鉄関係者は、「あまりに急な要請で、乗客に十分な周知ができない」と話す。

 鉄道の車内はドアや窓の開閉などで十分換気されるため、これまでにクラスターの発生は確認されていない。都内の鉄道会社からは、「減便してもテレワークが進むわけではない。むしろ混雑が増して『密』を招き、逆効果にさえなりかねない」と憤りの声が上がる。

 減便要請は内閣官房主導で、鉄道業界を所管する国土交通省との事前調整なしに進められた。

 22日夜、政府による減便要請の方針が報道で伝わると、国交省幹部は、「連絡は何も来ていない。新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)が頭越しに働きかけたようだ」と語った

運行ダイヤ変更、鉄道会社「混雑が増して密を招き逆効果」

政府や東京都は「メッセージ」として減便を行ったようですが、減便に企業や労働者が合わせて通勤者を減らすように動く、なんてあり得ないことは、台風に合わせた計画運休に対しての労働者の反応からして想定できたのではないでしょうか?

先述したように,回答者の方々が今回の計画運休でもう一つの課題としていたのは,計画運休に伴う社会の対応でした.調査では,いつもと同じように出勤した人が出勤した理由として,「出勤を控える指示が出なかったから」という回答がそれなりに多く,また会社を休んだ人が休んだ理由は「会社と連絡がついて心配事がなかったから」が一番多かったことからも,会社の指示が出勤の判断に大きな影響を及ぼすことは間違いないようです.それでは,会社や学校からはどのような指示が当日に出たのでしょうか.

 結論から言えば,7割以上の回答者が会社や学校から何らかの指示や連絡を受けていました.しかしながらその中には,「各自が自主判断するように」という指示がそれなりに含まれており,結果として「指示が出なかった&自主判断の指示を受けた」人たちの数は,4割程度にものぼりました.また指示が出たとしても,当日の朝にその指示を受け取ったケースが一番多く,なかには9日の10時以降という,かなり遅い段階で指示が出た回答者も15.7%いました.この傾向は今回だけの話ではないかもしれません.調査で「通勤先で台風や地震の際に通勤するかしないかに関するルールが事前に決められているか」を尋ねたところ、「事前に決められていないし、連絡が来るかどうかも決まっていない」という回答が約4割と一番多く,ルールがあるかどうかすら分からない回答者も15%いました.

鉄道の計画運休を社会はどう受け止めたか(令和元年台風15号)

 これは会社が果たす役割も大きいでしょう.例えば私は,大阪府北部地震発生後に出勤困難者の社会調査をしたことがありますが,ここでは地震発生時に出勤前であった多くの人が通常通り出勤を選択し,鉄道が運休していたのでそのなかの約半数は通勤手段を変更し,そのまた25%程度が自動車で職場に向かい,結果として救急車の到着に通常の6倍かかるなどの大渋滞が都心で発生しています.しかしながら出勤しなかったことや勤務先が休みになったことで仕事や業務に支障が出た人はわずか7%程度であり,大規模地震発生時に仕事を遅らせる,休みにするという対応が問題になるケースは少なかったことなどが分かっています.つまり大阪府北部地震では,やや強い地震が発生していて,ろくに仕事にならないような状況の人も多いなか,会社から出勤に関する指示が出ずに,多くの人が車などで無理して出勤をして,救急車の活動を阻害するような渋滞の発生に寄与した,ということが明らかになっています.もちろんこれは,公務員や会社のBCP要員の方々など業種や社内の役割によっても様々ですが,一定数いると思われる出勤が不要な出勤困難者は,出勤せずに避難行動の確認をする,地域内で助け合う,という企業と社会のルールをきちんとつくることが必要と考えられ,この点は地震時も風水害時も違いはないかもしれません.

令和元年台風15号の襲来に伴う鉄道の計画運休が示唆すること

このように、企業と労働者の行動あってこその「減便」「運休」であって、そこがついてこないであろう状態で、このようなメッセージを送られても、そのメッセージは淡々と否認され、その結果むしろ無法地帯のような秩序の混乱を引き起こすことに繋がるだけなのではないでしょうか。

これは、減便だけではなく、時短営業やら営業自粛やらも含めたすべてのことに言えます。

大阪維新の方々は、いろんな行動を法律で制限をしたがっているのですが、それも立法側の信頼がなければその法律は「きちんと取り締まることができない、無効化された法律」となってしまい、むしろ社会の混乱を増すだけなのではないでしょうか。
(維新は、住民投票といい、分断混乱を起こし、それを一方的に鎮圧する手法でしか、行政を回す手段がないようですが・・・)

 新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、大阪市の松井一郎市長(日本維新の会代表)は6日、マスクの不着用や「外飲み」などを制限するため、罰則付きの法律を制定するべきだとの考えを示した。「本来は私権制限はするべきではないが、人の命にかかわる状況になっているんだから、早期に国会で(法整備について)議論するべきだ」と訴えた。記者団に語った。

マスク不着用や外飲み「法律で制限を」 大阪・松井市長

この点で気になるのは台湾の立法措置で、台湾は強い立法措置を行っているのですが、その上でオードリータン氏が「相互信頼」を強調していることがポイントなのではないかと思うのです。

ここではデジタル化について信頼関係が必要だと述べていたのですが、それだけではなく、この信頼関係があることが、逆説的かもしれませんが罰則規定を作るための前提でもあるような気がします。

罰則は正直、信頼を多少欠損する代わりに秩序を維持すると言う効果を得るものなのではないか。
そのデメリットを軽減化するためにも日頃の相互信頼が必要なんだろうな、と思ったのです。

台湾のコロナ対策の記事を読んで考えたこと

「国内では、安全が確保されている」と大半の台湾人は信じている。それゆえに、台湾人は政府による厳格な隔離措置や取り締まりを当然のこととして受け入れ、一方、行政も取り締まりの状況を公表し、透明化している。また、この厳しい「隔離措置」に国民の9割近くが理解を示す世論調査も発表されている。

 台湾には、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の悲劇以降、作り上げてきた法律と対策があり、かつ、実行実践する組織がしっかりできていた。そして、指揮命令系統、責任の所在がはっきりしていて、必要な情報は公開され透明化が維持されている。また、中央感染症指揮センターの会見を見れば、貴重な情報と現場の声を聞くことができる。

「8秒外出」で罰金36万円、台湾に学ぶべきコロナ対策

「緊急命令」は、使いようによっては、人権抑圧につながる危険性を持っている。悪名高い台湾の戒厳令は、この「緊急命令」に基づくものだ。「緊急命令」を出してもしうまくいかなかった場合、総統が責任を問われ、悪名を一身に追わなければならなくなる。しかし、「コロナ対策特別法」であれば、責任を問われるのは指揮官ということになる。

そして、この、一人の人間に強い権限を与えるという法制度は、つまり英雄を作り出す基礎になる。強い権限を与えられた人間は、英雄にならなければならないし、英雄になることが求められる。これは、政治のリーダー、つまり総統を国民の直接投票で選ぶ台湾が持つ政治的な雰囲気だ。政治のリーダーを国会議員の互選で選ぶ日本にはない風土だ。

こうして、「中央流行疫情指揮センター」の指揮官は、多少強引なところがあっても、法律に基づいて強力な指揮権を発動することができた。しかし、法律の基礎も理念も大きく異なる日本が、はたして台湾のコロナ対策に学べるものなのだろうか。日本に台湾と同様の法律制度を構築することが、可能なのだろうか。英雄論で台湾を褒めるだけでなく、もっと緻密な比較と議論が必要だろう。

台湾博物館(2020-06-07)台湾のコロナ対策、法律面から見えてくること――星友康

罰則規定が機能するためには、「その罰則規定に引っかかる人間は例外的な人間だ」と思われたり、「その罰則規定に引っかからない行動をするのは当然だ」と思われたりすることが必要なのではないかと思います。

その説得力と言うのは、決して大阪で行われた住民投票のように「51:49」の世論では発生しないものなのではないかと思います。
(そのような世論では、多数派の民意はそこまで説得力を持たず、もう一度住民投票!みたいなことが可能になるわけです。)

そのような説得力の部分が、菅首相本人や周辺が「あいつは医者の側に立ってしまった」と西村大臣に言い放つような、「医療」VS「経済」という構図を作り、ずっと医療を軽視し経済を優先すると言う姿勢が常に漏れてくるような、行政の長が信じていない状態では、どうやっても確保できないのではないでしょうか。

しかし首相は12月上旬、気の置けない党内の若手議員と会食した際、「Go To トラベル」を全国一斉に即時停止するよう暗に求めた西村氏への不満をまくし立てたという。

「新幹線や飛行機に乗って移動することが感染を広げるわけではないでしょ。旅先だろうが日常生活だろうが、大人数の会食やマスクの非着用や取り外しが感染拡大の理由であることには変わりない。なのに医者たちは、感染者がゼロになるために最適な手段ばかり考える。最近の西村は『医者の側』に行ってしまった」

菅首相の機能不全。「軍師不在」で「裸の王様」

トラベル事業は、感染対策と経済の両立をめざす菅首相の肝いり事業だ。この2日前には日本医師会がトラベルについて「感染者急増のきっかけ」と警鐘をならしたが、政府は「感染を拡大させているエビデンス(証拠)がない」(官邸幹部)と取り合わなかった。分科会メンバーのメッセンジャー役を果たす西村氏には、官邸内から「最近、医者と同じようなことを言う」(幹部)などと、冷ややかな視線が向けられた。

感染知るのは「神のみ」か 前線に立つ西村氏がうむ摩擦:朝日新聞デジタル

いまの宣言では、1千平方メートル超の大型商業施設に休業を要請しているが、延長後は午後8時まで営業を認めるよう緩和する方向。各知事の判断でいまの休業を続けられるようにすることも検討している。一方、酒類を提供する飲食店への休業要請は維持する方針だ。経済への影響を踏まえ、政府内では「いまの内容のまま宣言を続けるのは厳しい」(政府関係者)との見方が出ていた。

緊急事態宣言5月末まで延長 愛知・福岡追加、7日決定

そして、少なくとも、人の流れを抑え込むことを狙うならば、行うべきは「経済」の担い手である企業の動きを変えることが必要であって、減便というメッセージを出すだけでは「新幹線や飛行機に乗って移動することが感染を広げるわけではないでしょ。」理論が通勤でも適用されて、何も変わらない日常が再現されてしまうのではないでしょうか。

結局、政府としては緊急事態宣言は延長するも、人の流れを抑える策は緩和してしまうという、事実上のギブアップ宣言のようにしか見えない方向性のようですが・・・。

政府は休業要請や移動自粛など連休の感染対策について、「人流は間違いなく減少している」(首相)と強調し、休業要請の緩和を検討。一方、専門家は宣言地域だけでなく全国的にも感染力の強い変異ウイルスへの置き換わりが進むと分析しており、人出が戻れば感染拡大につながるリスクがつきまとう。

 政府関係者は、7月末までを目指す高齢者へのワクチン接種完了が新型コロナ対策の分岐点になると指摘。「それまで抜本的な対策はない。状況に応じて打つ手を考えるしかない」と話した。

感染対策、政府の見通し甘く コロナ打開策見えず 緊急事態延長

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