昼間の外出が減らないのは「誤解」か?

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新型コロナウイルス感染症対策担当大臣・西村康稔氏:
新型コロナウイルス感染症対策担当大臣の西村康稔です。1月12日は緊急事態宣言が出されたあとの3連休の最終日ですが、人出は減っておりません。
特に昼間の人出が減っていないんです。不要不急の外出はぜひとも控えてください。昼間でも感染リスクは変わりません。夜だけでなく昼の外出も控えてください。

西村大臣「昼間の外出を控えて」動画で発信しプチ炎上…飲食店「生活どうすれば…」

 西村康稔経済再生担当相は12日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い首都圏4都県に発令した緊急事態宣言をめぐり「誤解もあるが、昼間も含め外出自粛をお願いしている。特に午後8時以降の外出自粛をお願いしているが、昼食はみんなと一緒に食べてもリスクが低いということではない」と述べ、昼間も外出を自粛するよう呼びかけた。

 西村氏はテレワークで出勤者を7割削減する目標にも触れて「どうしても勤務に来ると昼食を食べ、帰りに食べることになる。あるいは同僚、久しぶりに会う友人と食べる。これが一番リスクが高いといわれている」とも語った。

西村担当相がコロナ対策で呼びかけ「誤解がある。昼間も外出自粛を」 – 産経ニュース

「誤解もある」と言っているんですが、昼間も外出自粛を求めていることは、どうしても時短営業など夜の話に強調点を置いた結果薄れていましたよね、メッセージとしても施策としても。

例えば、首相が行った緊急事態宣言の記者会見にて、「外出」について触れた部分は以下の通りです。

先ほど新型コロナ対策本部を開き、緊急事態宣言を決定いたしました。対象は東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県であります。期間は1か月です。第1に飲食店の20時までの時間短縮、第2にテレワークによる出勤者数7割減、第3に20時以降不要不急の外出の自粛、第4にスポーツ観戦、コンサートなどの入場制限であります。

また、夜間の飲食や会話を含めた感染リスクを防ぐために、20時以降の不要不急の外出の自粛をお願いしております。是非徹底していただきたいと思います。

私たちは、この1年間の経験で多くのことを学んできました。大事なのは、会話をするときは必ずマスクをお願いする。さらに外食を控えて、テレワーク7割、夜8時以降の不要不急の外出の自粛、特にこの3点を徹底していただければ、必ず感染を抑えることはできると考えております。

(記者)
 幹事社から、日本経済新聞の重田です。
 総理にお伺いいたします。総理は先ほど1都3県に1か月の緊急事態宣言を発出されました。専門家からは、1か月では収束が難しいのではとの見方が出ております。総理は1か月の間で宣言の解除が可能だというふうに御覧になっていらっしゃいますでしょうか。
 また、感染が収まらなかった場合ですが、飲食を中心としている対策をより広範囲にしたり、期間や対象地域の拡大を検討されるのでしょうか。
 最後に、緊急事態宣言が与える経済への影響、規模に関しての政府としての想定を教えてください。

(菅総理)
 まず、前回、緊急事態宣言を発出したときは1か月でありました。当初の対策の効果が感染者数として現れるのに2週間ほどかかるということです。それ以降に、そうしたものを見極めて分析をして、対策を練る期間も必要でありますので、前回と同様のまず1か月にさせていただきました。
 そして、収まらなかった場合でありますけれども、まず、専門家が感染防止対策の急所としています飲食、営業時間短縮を今回行っていますし、テレワーク7割を実現したいと思いますし、20時以降の外出自粛、イベントの人数制限、この4点をパッケージとして、随時状況を見ながら必要な対策を採っていきたい、このように思っております。とにかく効果のある対象に徹底的な対策を講じていきたい、このように思います。
 経済への影響でありますけれども、経済への影響というのは避けられないと思いますが、さきに財政支出40兆円、そして事業規模74兆円の経済対策を決定しておりますので、こうしたものを活用しながら、雇用の維持、そして事業継続、こうしたものをしっかりと対応していきたいと思っております。
 また、今、1か月の収束の見通しとか評価は、尾身会長の方がよろしいと思います。

(記者)
 フジテレビの鹿嶋です。
 緊急事態宣言に関連してお聞きします。先ほど東京都が今日最多を更新したというお話がありましたけれども、東京都以外の各地でも最多の感染者数更新をしている状況です。中でも名古屋、大阪の知事は宣言の必要性に言及していますが、現時点の首相の考え方を教えてください。
 また、現在のこの宣言を仮に延長する場合、今回と同様に1か月程度の延長を想定しているのか、併せてお願いします。

(菅総理)
 まず、この1都3県の感染者の半分以上が30代以下の若い人たち、そういう中で飲み会の自粛や不要不急の外出の自粛、こうしたものをお願いしていますし、マスクの着用、手洗いの徹底、3密の回避、こうした基本的な考え方をまずは徹底していきたいというふうに思います。
 大阪、愛知の件でありますけれども、これにつきましては、この緊急事態宣言と準ずる対応をすることができるようになっていますので、状況を見ながら、そこはしっかりと対応していきたいというふうに思います。
 それと、もしできなければ1か月ということでありましたけれども、仮定のことについては私からは答えは控えさせていただきたい。とにかく1か月で何としても感染拡大防止をしたい、そういう思いで取り組んでいきたい、こういうように思います。
 また、具体的には尾身会長から。

令和3年1月7日 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見 | 令和3年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ
総理の演説や記者会見などを、ノーカットの動画やテキストでご覧になれます。

このように最後の一つを除き、外出を話す際に4/5が「20時以降」の話になっていたわけで、「特に」そこを強調してきた結果、緊急事態宣言前後で行動が変えることを検討するのは主に「20時以降」の話となり、それ以外の行動は緊急事態宣言が出る前と変えることに比較的消極的になるのは、政府のメッセージに沿えばおかしくはないのではないでしょうか?

ちなみに東京新聞に、「特に午後八時以降の外出」という基本方針だったものが、首相発言では「午後八時以降」とそれ以外の部分が抜け落ちたことについての記事があります。

首相は12日の政府与党連絡会議で、今回の宣言に伴う対策を紹介する中で「午後8時以降の不要不急の外出自粛」に触れた。首相は宣言を再発令した7日の記者会見やテレビ出演などでも「午後8時以降」を強調し、日中の外出自粛には触れてこなかった。 政府高官は「経済をぴたっと止めないために昼間の自粛は強調しすぎないようにした」と首相の意図を明かすが、「日中ももう少し人出が減ると思った」とこぼした。

夜だけじゃ駄目 閣僚ら「昼も外出を控えて」 減らない日中の人出 独り歩きする「午後8時以降の自粛」要請:東京新聞 TOKYO Web

ここで「経済をぴたっと止めないために」と言っていますが、それが不要不急の外出は避けると言う話と組み合わさって皆の共通認識となります。
その結果、一人一人が「夜には色々しまっちゃうし、昼間のうちに経済を止めないためにも多少活動しよう」と思ったことが積み上がれば、集団の誤謬よろしく、マクロの結果で昼は外出量が変化しないという事態になってもおかしくはないでしょう。

こう考えれば、いわゆる「誤解」は少なく、むしろ首相と同じように「経済をぴたっと止めないために昼間の自粛は強調しすぎないようにした」ことと同じような行動基準でみんな動いた結果が、昼間の行動量が低下していない要因なのではないでしょうか?

夜に経済回せないなら昼に。その意識が首相から伝わってくる以上、国民もその意識を捨てることはないでしょう。
(首相がそうではなくても、身近な飲食店が廃業していく様を黙って見ているだけではいられない人も多いのではないでしょうか?)

ちなみに、このように言葉や法の隙間をついて理由を作り上げて無効化させると言うのは、その道のプロフェッショナルであるかのような言動をする人が、今回の対策責任者側にいるというのも、政府の発信の無力化に一躍買っているように思われます。

 西村康稔経済再生担当相は16日の衆院内閣委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルス感染が再拡大する中、菅義偉首相が5人以上で会食していたことに関し「一律に5人以上は駄目だと申し上げているわけではない」と述べ、問題ないとの認識を示した。立憲民主党の大西健介氏への答弁。

 西村氏は15日の会見で、会食する際は「クラスター(感染者集団)の8割以上は5人以上だということも頭に置き、長時間、大人数はできるだけ避けていただきたい」と呼び掛けていた。16日の同委では「どうしてもされる場合は感染防止策を徹底して(ほしい)」と指摘。飛沫(ひまつ)防止のアクリル板を設置している店などを選ぶよう求めた。

5人以上の会食、制限せず 西村氏、菅首相を擁護:時事ドットコム

で、飲食店側も緊急事態宣言をうけて、生き残りのためにも夜以外の施策を強化することになります。

緊急事態宣言後に注目されている試みが。

焼肉ライク・有村壮央代表取締役社長「朝7時から、朝焼き肉というのをスタートしました。朝専用の朝焼き肉セットも用意して、500円で食べられる」

今人気なのが、朝から焼き肉を食べて、元気もりもりになるセット。

ここで取り上げられているのは一人客メインの飲食店であるのですが、そうではない飲食店も「自助」のために生き残り策として考えるはずです。

西村康稔経済財政・再生相は12日の記者会見で、新型コロナウイルスの緊急事態宣言に関し、ランチを含めて極力外食を控えるよう呼び掛けた。宣言の対象地域では飲食店に対し、午後8時までの営業時間短縮を要請しているが、「昼間も外出自粛をお願いしたい。昼に皆とご飯を食べていいということではない」と語った。

西村氏は「しばらくご不便をお掛けするが、家庭での食事をぜひお願いしたい」と強調。企業に対しては、「出勤者の7割削減」に向け、さらなるテレワーク導入を求めた。

西村担当相、外食ランチも自粛呼び掛け 「しばらく家庭で食事を」:時事ドットコム

経済を考慮して「8時以降の外出」のみにフォーカスを当てたメッセージを打ち出した直後に、飲食店回りの経済を投げ捨てるような「家庭での食事をぜひお願いしたい」発言が出てくる。

このような一貫性のなさが政府の信頼のできなさを示しているように思います。

飲食店などがどうなろうが、一貫して経済には「自助」させると言う結果や、自己の発言の責任は一貫して「誤解を招いた」という形でしか認めないということは一貫しているのかもしれませんが。

それに関して、本気で誤解だと思っているのか、それともごまかすために誤解だと言っているのかはわかりませんが、菅義偉氏が誰かと会食しないと自分のメッセージがどういう効果を産むかなどの判断が全くできない人であると言う可能性もあるのでしょうか?

どちらにせよ、誤解だと言っている場合ではなく、誠実に過去の自己の発言と向き合って、それを丁寧に修正するなり、説明するなりするのが一番でしょう。

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