「叩き上げ(の自認)」が悪く機能している例

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以前、叩き上げについてダーティーイメージが有ったり、一概にポジティブとは言えない、と言うことをブログに書きました。

ここでは、社会の偏見をつくる構造を中心に書いたように思うのですが、今回は私が個人的に叩き上げのような人を警戒する理由を書いていこうと思います。

ここで触れる人物は3名。渡邉美樹氏、菅義偉氏、立憲民主党岡山5区総支部長鎌田桂輔氏です。
(他人を素人が勝手にプロファイリングすると言うある種失礼なことをしているブログとなります。)

渡邉美樹氏

このブログでは、過去に渡邉美樹氏が過労死家族が参考人に来ている委員会にて質問をしたことを取り上げたことが有ります。
この時の渡邉美樹氏には、本当に呆れました。本当に変わってないんだなと。(そしてそれをスカウトしちゃう自民党or総理大臣にも・・・)

渡邉美樹議員は第一の質問として、「働く」という概念について問い始めます。

渡邉美樹議員は、国会の議論を聞いていると、働くことが悪いことのように聞こえてしまう。できることなら、週休七日が人間にとって一番幸せであると述べているように聞こえてくるそうです。
しかし、渡邉美樹議員は、働くことは悪いことではなく、生きがいであり自己実現であり、また、働くことでたくさんのありがとうを集めて成長していく、大事なものだ、と主張します。
また、日本には人しか資源がないのに、国を挙げて『働くな、働くな』と言っていては、これから増える高齢者を守れない、とも主張した上で、二人に、『働く』とは?を質問しました。

2018/03/13 予算委員会の中央公聴会にて、渡邉美樹議員が過労死遺族会の方に対し質問していたという話

この渡邉美樹氏の労働観が、ワタミの過酷労働を発生させる要因になっていたことは、各種報道にて言われているように思いますが、この価値観が変わらずにワタミの会長に戻ったわけですから、問題は依然として残ったままだろうと言うのは想像しやすいのではないかと思います。

「365日24時間働こう」……ワタミの“思想教育”はいまも続いていた | 文春オンライン
ワタミ株式会社の労働問題に関する告発が続いている。10月2日、「ワタミの宅食」営業所の所長が、労働基準監督署からの残業代未払いの是正勧告、月175時間を超える長時間労働、上司によるタイムカードの改ざん…

醜い実態を乗り越えるために理想論を掲げ、そこに向かっていくことだけを考える。

渡邉美樹氏は自身が過酷労働を乗り越えている経験があるから、それと同じことを社員にさせまいとしているのか、それとも自身がそんな過酷労働の中でもそう意識し続けることができたからなのか、どちらかはわかりませんが、とにかく経験に基づいている言動なのは明らかなのではないかと思います。

 大学卒業後は、会社経営に必要な経理の勉強をするために、ミロク経理という会社に入社する。ミロク経理は当時、急成長ベンチャーとして知られた会社だった。そこで半年間勤め、バランスシートの読み方を覚えると、次に起業資金を貯めるために佐川急便のSD(セールス・ドライバー)に転職する。

 佐川急便の仕事は、月収43万円という高給だったが、その労働環境は過酷なものだった。一日の労働時間は20時間近く。さらに大卒の渡邉に対する風当たりも強く、先輩SDからのイジメが絶えなかった。そんな状況下でも渡邉が決して逃げ出さなかったのは、「お金を貯めて会社を創る」という夢があったから。渡邉は1年間で、300万円という資本金を貯め、佐川急便を後にした。

ワタミ株式会社 代表取締役社長・CEO 渡邉 美樹 | ニッポンの社長

上に引用した「ニッポンの社長」のインタビューで、渡邉美樹氏は『トップが自己を律する』ことの重要性を何度も強調しています。
それと同時に、『人からどう思われようとも、自分の価値観を大事にして固い信念を持っている人でなければ起業家は務まりません。自分に正直でいいんです。』とも述べています。

結果、人の言うことを聞くことができず、過去の経験に基づいた自分の価値観に閉じこもる、誰かを犠牲にしても固い信念を掲げ続ける人間が出来上がるわけです。

何故そう思っているかというと、それは彼の成功体験が根拠になっている。彼は労働を通して人間性が高まったと思っている。自分の過去が正しいと思っている。だから他の人にもそれは共通するものだと思っているし、他ならぬ自らの会社の従業員たちにも、そうして欲しいと思っている。

これは昨今指摘されているワタミのブラック性の話とも共通している。他の一般的なブラック企業と違うのは、ワタミの場合は渡邉美樹氏の労働体験が下地になっているため、ブラック性をブラックと認識していない。

渡邉美樹氏を主人公にした高杉良氏の「青年社長」にも書かれているけども、渡邉美樹氏は起業するにあたり、その資金を佐川急便で働いて貯めた。当時の佐川急便は仕事の厳しさで知られていたが、その反面、給与の良さでも知られていた。

激務の間のわずかな睡眠。その繰り返しの果てに得たお金での起業。

彼は過酷な労働の結果、夢をかなえた。成功をつかんだ。そしてこの過程で人間性も高まった。こう思っている。

佐川急便の日々は、ブラックな日々ではなく、夢をかなえるための日々。これが彼にとっての認識。ここに一般的な認識との齟齬がある。

そしてもう一点、決定的な問題がある。それは、渡邉美樹氏がそれなりに謙虚な人物であるということ。本来ポジティブな意味合いを持つ謙虚さが、実はワタミにおいてのブラック性を強めてしまっている。

どういうことか。渡邉美樹氏は自分のことを特別な人間だと思ってはいない。そういう謙虚さがあるので、自分ができたことは、他の人にもできると思っている。自分の能力でできたのだから、他の人にもできないわけがない。できないとしたら能力の問題ではなくて、やる気とか、意気込みとかの問題ではないか。

しかしながら彼の働き方を誰しもが真似できるかというと、それはなかなかに難しい。なかなかに難しいから、彼のよう成功した経営者は少ない。それが運のせいであれ、周りのおかげであれ、稀有な成功をしているという時点で、誰しもが真似できるわけじゃない。

けれども、渡邉美樹氏は「できる」と思っている。真似できる。やればできる。がんばれ! と。謙虚なだけに本気でそう思っている。しかしながら、この謙虚さができない人間にとっての絶望を深め、ブラック性を際立てていることに彼は気づいていない。

渡邉美樹氏のブラック性は、謙虚さをベースにした「やればできる」であり、自らの成功体験に基づくもの。お金儲けのためだとか、経営のためだとかというよこしまなブラック性ではない。

渡邉美樹氏の謙虚さが生むブラック性 – (旧姓)タケルンバ卿日記避難所

これが私にとっての叩き上げのイメージであり、私が「強い信念」と言うものを警戒心を抱いてしまうようになったきっかけなのだろうと思うのです。

曲がらない信念に合致しない人間、その人の経験に合わない人間が犠牲になる、そういうものである可能性を常に考えてしまうのです。

菅義偉氏

菅義偉氏は、渡邉美樹氏のようにものすごい時間、自ら働いていること、そしてそれと同じように、秘書や官僚・大臣にも働かせようとしていることが見受けられます。

首相に就任した菅義偉氏はとにかくつねに何か仕事をしていないと気が済まないワーカホリックな人だ。敬老の日をはさむ9月の4連休も連日、ホテルや議員会館の事務所に出かけ、経済やITの専門家らから話を聞いている。何かと制約が増える首相になっても、このスタイルは変えたくないようだ。

菅首相、実はワーカホリックで現実的な「素顔」 | 国内政治 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

「菅さんはだれよりも動き、自分に厳しい。秘書の仕事は、激務だった」。菅氏の私設秘書を2005年から6年間務めた遊佐(ゆさ)大輔・横浜市議(39)はこう振り返る。
 菅氏は、自民党の小此木彦三郎衆院議員の秘書を11年、横浜市議を2期務めた後、1996年の衆院選で神奈川2区(横浜市西、南、港南区)から出馬。以来、連続8回の当選をしている。その選挙の強さを支えるのが、活動量だと言う。
 遊佐氏は、秘書時代は毎日、午前4時半ごろに起きて菅氏を迎えに行き、駅頭で演説するのを見守った。夜も菅氏の街頭活動や会合に付き添うため、遊佐氏が自宅に戻って眠るのは送迎後の午前1時ごろだった。

菅義偉新総裁 「時間は有効に」と昼食は5分、秘書9人を使い分けてフル回転:東京新聞 TOKYO Web

「菅さんにドンドコドンドコ言われてさー」。酔った勢いで上司への愚痴をこぼすなどありふれた光景だが、この発言の主は現職大臣。つまり、話に出てくる「菅さん」とは、首相の菅義偉氏に他ならない。

 東京・恵比寿にある瀟洒なフレンチレストランでウイスキーのロックを呷っていたのは平井卓也・デジタル改革担当相(62)。菅首相肝煎りのデジタル庁新設を託された目玉大臣だが、この日は同僚議員を相手に少々口がなめらかになっていたようだ。

「事務所に菅さんから電話が入って『大臣頼む』って一言。冗談かと思ってすぐに電話かけ直したよ」

 と就任時のことを誇らしげに語り出したのもつかの間、冒頭の愚痴が飛び出した。

「菅さんマジ厳しいぜー……世間を味方に付けて立ち上げたもののさ……政務官が使えないんだよね……」

 半個室の外にまで漏れ聞こえるほどの声量だった。

平井デジタル相 ほろ酔いで「ガースー、マジ厳しい」発言|NEWSポストセブン

「菅さんは国会議員の秘書だった時、『菅さんがいなければ事務所が回らない』と言われたほど働いたし、横浜市議になって誰よりも選挙区を回りました。今は官房長官として1日2回の会見をこなし、夜は会食を3階建てで回し、翌朝5時に起きるのです。

 これだけ努力して成功した分、周りも頑張って当然と考えがちで、努力しない人にはドライな印象です」(同)

 実際、「私は性別問わず、きちんと仕事をする人が好きです」と語っている(『週刊文春WOMAN』 2019夏号』)

「言うほどたたき上げでもない」「努力しない人にはドライ」“パンケーキおじさん”菅氏が若者に冷たい理由

こういう自己を律して、その分他者にも厳しい、という傾向は渡邉美樹氏と同じ傾向のように見えます。

ただ、菅義偉氏が渡邉美樹氏と違う部分があり、それは「たたき上げ」という総裁選挙前後に打ち出した自己の背景に演出が含まれていると指摘されていることでしょう。

菅義偉首相の父は「秋田のいちご王」 町会議員も務めた名士
世襲政治家でない菅氏が、父親について言及することはほとんどない。しかしその実、政治家になる経緯において、父親ほど大きな影響を与えた存在は、恐らくいない。森功氏(ノンフィクション…

その演出という指摘がどこまでなの真実なのかはわかりませんが、ここは渡邉美樹氏とは逆と言うか、意識的に「なり切れないもの」になろうしているのではないか、と思ってしまったりもするのです。偏見かもしれませんが。
特に自助を強調する姿勢とかがそう見えるのですが、政策立案がこのイメージ演出に使われたら、そのために犠牲が出かねない、つまり理想実現のために誰かが犠牲になると言うのは渡邉美樹氏と同じだとは思います。

またもう一つ渡邉美樹氏と菅義偉氏が違う点は、菅義偉氏は論を語らない、雄弁に理想を語ることがない、と言うことです。

「駅に行くのは、Aの道とBの道がありますよね。Bの方がこれこれこういう理由でいいと思いますが、なぜAを選んだのですか」

「Aがいいからです」

 文字にしてみれば、まるで小学生のような回答だが、乱暴に言えば、菅義偉・新総理の論法は、これを多少、複雑に述べているに過ぎない。

「菅総理」最大の弱点は「しゃべり下手」 語彙力不足、すでに失言も | デイリー新潮

この表ではなかなか何も語らない、という姿は自ら理念集を作り上げ、それを布教するような姿勢とは正反対です。番記者とパンケーキ食ってたりするのを見ると、身内にはそれなりに喋ってるのかもしれませんが。

酒は飲まず、甘党でパンケーキが大の好物。番記者との懇談会ではよくパンケーキを食べたが、菅氏が子供のような笑顔でほおばる姿が忘れられない。

元番記者がみた菅氏 パンケーキとウオーキングで激務乗り切る – 産経ニュース

菅義偉首相が10月3日朝、パンケーキで有名な都内のレストラン「Eggs ’n Things(エッグスンシングス)原宿店」で、報道各社の首相番記者と懇談した。時事ドットコムの首相動静によると、菅首相は午前7時24分から9時6分まで、約1時間半にわたって滞在したという。

菅義偉首相が「エッグスンシングス 原宿店」でオフレコ懇談会。欠席した新聞社が意見表明 | ハフポスト

鎌田桂輔氏(立憲民主党岡山県第5区総支部長)

こういう「叩き上げ」について、野党は世襲議員が少なく、公募に自推して立候補するという、おのずと叩き上げ意識が高い人が多い構図になりがちです。

ですが、実際にそういう人が当選することが少ないことや、実際に立法で野党が影響力を持った期間が短かったり、叩き上げであること以外の問題が多かったりして、そういう観点の問題が注目されることは少ないように思います。

しかし、民主党・日本維新の会・みんなの党等々、叩き上げ政治家と言うのは野党では一定の割合を占め続け、その政治家の背景の影響が官僚や政策への姿勢などに影響しているように見える場合も無きにしも非ずなのではないでしょうか。
(官僚などへの姿勢については、政権や官僚(行政)側の上層部が油ブチ撒いてる場合も多く、叩き上げはそこまで関係ない場合が多いですが、ごく一部にはそういう面もあるように見えます。)

で、今回取り上げるのは、「自己の経験を絶対視している」結果「他の人の意見を受け入れる領域が狭い」ように見える、信念を貫く政治家、鎌田桂輔氏です。

『金で解決することって実は本当は容易い。』なんてことは言う必要ないんです。だって鎌田氏が「金があっても解決できない問題」として言及している「人の生命、差別、性、門地、病苦、親と子、虚しさ。」と金ってリンクしてる場合も多いじゃないですか。
生命とつながる病苦の治療には金が必要、親子関係に経済が絡む場合もある、差別や性の問題もお金が絡む話はある。
だから、『経済にばかり話題が収斂し、人の痛みや社会問題への深い視座が全然感じられない』への反論としては、私はお金の問題もお金で解決できない問題も等しく問題視するという内容にすべきだと思います。

なのに、お金の問題はたやすいと言ってしまう。
多分、この言いぶりって、お金の問題を自己は(ある程度)解消できたけど、虚しさについては解決できていない。だからお金の問題を容易いものと断じ、自己が未だに解決できてないものは大変だと言う、そういう判断をしているように見えるのです。

ですが、これはとても視野が狭いことの表れでしかないのです。その証拠がこのツイートの流れに露骨に表れています。

上の2ツイートは文脈を見せるために引用しました。

本題として、最後のツイートで『あなたは、そうした苦悩を知らないんだと思う。』と断じています。
が、私はこの引用RTで変身されてる人間を知っているのですが、鎌田さんが「金があっても解決できない問題」としたもの、いくつか抱えてます。(プライバシーに関することを、了承もとらず書いてるので、(本人の目に触れたら)後で謝罪しようと思います)
そして、おのずとそれらの問題とお金もリンクしています。「金があっても解決できない問題」のせいでお金の問題が発生したり、お金の問題が「金があっても解決できない問題」に化けたり・・・。
そういう経験を積んだ人間だと思います。
ですから『金より大事なものがある』という話に反発し、ある種の侮蔑の視線で鎌田氏のツイートを見ているのだろうと思うのです。

そもそも、『金より大事なものがある』という主張がどうなるかって、ワタミみたいに金の問題は放置され「お金の問題はたやすいから頑張れ」と言われて終わりになりかねないわけです。
そして鎌田氏の主張が「金を刷れ、金を配れ」「消費税○%でまとまろう」を真っ向から否定した上で「金があっても解決できない問題に取り組む」と言ってしまっている以上、そうなりかねないでしょう。

それは「金があっても解決できない問題」に集中して解決することを阻害するのです。
お金がなければ「金があっても解決できない問題」に対峙することもできない。そしてお金の問題を解決する、お金を手に入れることは、容易いものではないのです。
そこは比較して一方を否定するような言及をする話ではありません。

それに気づくことなく、自己の過去の経験・感覚で言及をする視野の狭さ、それがたたき上げという背景が一番害悪になる素材だと思うのです。

それを示す格好の材料だと思ったので、鎌田桂輔氏を取り上げました。

(ちなみに、鎌田桂輔氏の選挙区、岡山五区の自民党現職議員は、それなりの視野の広さで質問に対して誤魔化した回答をし続ける加藤勝信官房長官です。)

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