犬笛を懸念する二つの言葉

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犬笛という概念があります。日本ではアメリカの大統領選挙でのキャンペーンについてそういう概念で解説する話が多いように思います。

普通のアメリカ白人がトランプの"差別の犬笛"に反応してしまう理由 - 政治・国際 - ニュース
自ら露骨に人種差別を口にすることはなくとも、その言動は明らかに「差別をする人々」に対する政治的アピールで満ちあふれている......。そんなトランプ大統領の"犬笛"の魔力を、『週刊プレイボーイ』で「...

犬笛とは、犬にしか聞こえない周波数の音を奏でる笛だ。

 英語ではドッグホイッスル。選挙の季節になると、欧米ではこの言葉を時々耳にする。犬にしか聞こえない周波数のように、差別意識の強い人を刺激する差別助長のメッセージをさりげなく盛り込んだ選挙広告を「犬笛」と呼ぶ。

 この夏、トランプ米大統領陣営が作ったCMもその典型だった。

火論:犬笛選挙広告のワケ=大治朋子 – 毎日新聞

特定の層向けには意図が伝わるメッセージ、という風に私は見ているのですが、世の中でそういう機能をしているように見える言葉と言うのは、結構世の中にあるものです。
(この犬笛を批判すると、時に「穿ちすぎ」「妄想だ」ということにもなりかねないのですが、それを考慮して気にしていることです。)

その中で、今回は菅義偉総理が掲げたことばを二つ取り上げます。

菅首相が掲げた『国民のために働く内閣』に「当たり前」の声相次ぐ 好意的な反応も
菅首相は、安倍政権を継承する姿勢を改めて示した。そのうえで掲げたのが「国民のために働く内閣」だった。

まず一つ目は、総裁選から掲げたことば、「自助・共助・公助」です。

この言葉がどういう意識を呼び起こすのかというのは、竹中平蔵氏流ベーシックインカムの議論と似たようなものがあるように私には見えます。

要するに、「批判者は働く気のない怠け者だ」とか「批判者は税金をむしゃむしゃ食べまくった太った豚だ(by馬場伸幸)みたいなイメージを呼び起こすわけです。

実際にそういう反応(「批判してる人は足りないとばっかり言ってるけど私は働くからこの人たちとは違って助かる!」的な。ちなみに)をTwitterで見てしまい、大きな溝がまた一つ可視化されたなぁ、と思いまして。

こういう経済状況による分断、ことなる経済状況にあるものへの憎悪を加速する可能性がある言葉が「自助・共助・公助」なのではないかと思うのです。

もう一つ犬笛のような言葉に見えるのは「国民のために働く内閣」です。これはとても穿った見方なのですが、過去の犬笛事例を思い出してしまうのです。

ここで「過去の犬笛事例」というのは、野党自民党が打ったCMでの「日本の政党 自民党」というワードです。

2009年から、自民党はネガティブキャンペーンCMを打つなど、反民主党政権に特化したメッセージを打ち続けていたのですが、それが選挙に向けて一層露骨なことになります。

この際に合言葉になったのは「いちばん」。どう考えても蓮舫氏を意識しまくったワードです。

それと同時に、CMの締めの言葉に入っていたのが「日本の政党 自民党」というワードでした。

この「日本の政党 自民党」という言葉。
要するに「日本の政党」じゃない政党があるよ、というメッセージでしかありません。

私が、自民党に二度と票は入れない、と固く決めている理由に、こういうメッセージで排外主義者の行動を煽り、それをしれっと利用した、という実態があるからです。

で、このような記憶を元に「国民のために働く内閣」という言葉を聞いてしまうと、どうしても反対者を「非国民」だというための言葉のように見えるのです。

まぁ、今のところ見ていると、「国民のため」より「働く」というワードに力点がある、つまり官僚にブラック労働させるためのワードっぽいなという印象を受けるのですが。

ただ、自民党は自党の強みとして「日本の政党」を捉えていることは間違いないと思います。
ですから、保守政党によくある、対立政党を「外国の手先」であるかのように扱うことで自党を優位にしようとすると言うことをいつかし始めるでしょう。

そういう転換を容易にできるような、そういう余地のある言葉のように私は思うのですし、ヤフコメを見ると、それで動員出来そうな人はたくさんいるように見えます。

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