そりゃ韓国保守派は、そうなるわな…

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4月15日に韓国では総選挙が行われて、与党、共に民主党が小選挙区で圧勝することによる、圧倒的第一党になったのですが、選挙の総括として「保守政党はもう社会は変わっているのに、未だに自分がメインストリートに居ると勘違いしている」みたいな総括をいくつか目にしました。

「長期的な現象として、韓国保守政党の退潮が始まったという側面もある」と、朝鮮半島情勢に詳しい静岡県立大学国際関係学部の小針進教授は指摘する。2016年に朴槿恵・元大統領が初めて弾劾によって大統領職を罷免されたことで保守勢力は大きなダメージを受けた。保守勢力にとってそこからの回復が容易ではないことを示したともいえる。そのため、66.2%(前回58.0%)という28年ぶりの投票率の高さだったにもかかわらず、特に首都圏に多い若者層、浮動層からの支持を得られなかった。

コロナ禍を追い風に与党が圧勝した韓国総選挙 対日改善は期待薄、南北関係で進展できるか | コロナ戦争を読み解く – 東洋経済オンライン

このような分析の裏にどういうものがあるのか、というのを色々と気になって調べて、選挙のときにどういう言動がなされたかというのはちょっと知ったのですが。

(3)統合党、相次ぐ暴言

選挙の大詰め段階で大きく取り沙汰された暴言論争も変数になった。統合党では「3040無知」「年を取ればみな障がい者」発言〔ソウル冠岳(クァナク)甲・キム・デホ〕、「セウォル号テントの中の乱れた行為」発言〔富川(プチョン)丙・車明進(チャ・ミョンジン)〕などが続いた。キム・デホ氏は6日、「3040世代は無知だ」と発言して党から警告を受けたが、翌日7日には「年を取れば皆、障がい者になる」と高齢者・障がい者に対して暴言を発した。車明進氏も6日、選管委主催のテレビ討論会で「セウォル号遺族が乱れた行為をした」と話した。

問題の発言が首都圏候補者の口から出たうえ、勝敗のカギを握る首都圏中道層が世論に敏感である点を考慮すると、首都圏の選挙には悪材料にならざるをえなかった。

<韓国総選挙>トランプ氏「SOS」、終盤の災難支援金…与党に勝利をもたらした5つの場面(2)

チャ候補は8日に録画放送されたOBSの討論会で、セウォル号の遺族がセウォル号座り込みテントで乱れた性関係を持ったと発言し、党倫理委から「離党勧告」措置を受けた。しかし、チャ候補は除名懲戒を免れると、その後も「今すぐセウォル号テントの真実を解明せよ」として遊説に出るなど、論争を続けた。また11日には、自分の選挙横断幕の上下にライバルである共に民主党のキム・サンヒ候補の横断幕がかかっていることをめぐり、セクハラ発言を自分のフェイスブックに書き込みもした。ファン代表は最高委を終えた後、「国民の心を傷つける政治はなくならなければならない」とし、「自制する機会を与えた。それでも再びそのような発言をした部分に関して最高委が深刻に、重要だと判断した」と明らかにした。

一方、チャ候補を除名したところ統合党の掲示板には指導部を非難して除名に反対するコメントが殺到した。

未来統合党、「セウォル号暴言」チャ・ミョンジン候補を除名

セウォル号事故というのは、やはり朴槿恵政権が倒れるきっかけとも言える、ある意味今の原点と言える出来事であり、朴槿恵を未だに引きずる保守勢力(未来統合党の選挙時の代表はパク・クネ政権下で法務部長官や国務総理などを歴任したファン・ギョアン氏でした。セウォル号事故の対処にも関わっていましたし、日本の話題としては産経新聞支局長の出国拒否事案にも関わっていました。)はあの事故で政府に怒りをぶつけていた遺族の方にたいし、バッシングとしか言いようがない言動を、当時からしていたのですが、未だにそれも引きずっているようです。
一方、ムン・ジェイン大統領も、セウォル号事故から6周年の日に、コロナ対応とセウォル号事故を結びつけるなど、やはり韓国社会にて一つの象徴として重要なものとなっているのがわかります。

チョン議員の末息子チョン・某氏は、セウォル号沈没事故発生の2日後である18日、自身のフェイスブックに “同じ事件が起きても理性的に対応する他の国家事例とは違い、韓国民は大統領が行って最大限捜索に努力すると言ってるのに大声を上げて罵り、国務総理に水洗礼しているじゃないか、フフフ。国民感情自体がとても未開なのに、大統領だけが神のような存在になって国民のすべてのニーズを満たすことを期待するとは話にもならないってことだね。 国民が集まって国家になるのに、国民が未開だと国家も未開になるということじゃないか” と書いた。 これは前日の17日に失踪者の家族たちが珍島を訪問した朴槿恵(パク・クネ)大統領とチョン・ホンウォン国務総理に荒々しく抗議したことに対して言った話と見える。 チョン氏のフェイスブックに上げた文が物議をかもすやチョン・モンジュン議員は21日 「私の末息子に分別がないことに対し、父親として申し訳ないことこの上ない」と謝罪した。

[珍島海上 旅客船沈没 大惨事]「チョン・モンジュンは、その未開な国民の投票で7選議員に…」
【韓国船沈没】「死体商売」北朝鮮の陰謀論も...韓国社会で失言の嵐
韓国南西部で起きた大型旅客船「セウォル号」の沈没事故を巡り、国会議員らの発言やネットへの書き込みが物議を醸している。代表的なものを紹介する。

セウォル号惨事を狙った未来統合党関係者の暴言は、チャ・ミョンジン候補が初めてではない。しかし統合党は遺族を侮辱し、嘲弄する暴言が議論になっても、“生ぬるい”懲戒にとどまった。“暴言リレー”の背後にいるのが統合党指導部だと批判されるのもそのためだ。今回の総選挙を控え、セウォル号関連の暴言で物議をかもした人々は、これといった不利益を被ることなく、ほとんどが公認を受けた。

未来統合党、後を絶たないセウォル号関連の“暴言”を吐いても公認確定
文大統領「コロナ対応にセウォル号の教訓が入っている…二度と手を逃さないだろう」
中央日報 - 韓国の最新ニュースを日本語でサービスします

一方で、選挙活動中以外での言動をあまり知らなかったのですが、先日、一つ知ってしまいまして。

そのきっかけは、この記事を読んで、どんな人の発言なのか調べようと検索を掛けたことなのですが。

市民団体「行動する自由市民」の共同代表、KAIST(カイスト)のイ・ビョンテ教授が「親日は当然のことだ」というタイトルの文章をSNSに掲載して論議を呼んだ。イ教授は7日午後、自身のフェイスブックを通じて「国交を正常化すればどの国とも仲良くしてこそ平和で共同繁栄が可能だ」として日本の経済報復措置以降広がった反日の雰囲気を批判した。

韓国人教授「国交正常化をすれば親日は当然のこと」文章が論議に

まず、この「行動する自由市民」は右派団体です。しかも結構強めの。

9月28日(土)、「行動する自由市民」という右派団体のイベントがあり、そこに参加することにした。

 ちょうどその会場が大検察庁の向かい側にあり、午後3時頃に会場に着くと、何やら喚声が聞こえてきた。よく聞いてみると、「検察改革」というかけ声だ。

「行動する自由市民」のイベントには、国会議員、大学教授、軍出身の大学教授、弁護士、フランチャイズ店の代表が出演し、それぞれ現政権に関して話を進めていた。

 そこに集まっていたのはせいぜい数十人。

 このイベントには最近浮上している「国代(国家代表の略)トッポッキ」というチェーン店を展開している代表、キム・サンヒョン氏が出演した。

 彼が注目されたのはフェイスブックに「文在寅は共産主義者、コーリンクは曺国(チョ・グク=法務長官)のもの」をハッシュタグつきで投稿したからだ。

反日熱冷めても韓国の週末は大炎上 | ニコニコニュース

政治の場面で「自由」という言葉が使われる場合、反共、つまり共産主義、もしくは社会主義へのカウンターとして自由主義が置かれることが多く、この団体もそういうことのようです。

当選の原因としては自由市場経済を追い求めて逆境を押し切って大韓民国に来た点を挙げた。彼は「死を押し切って自由と民主主義の市場経済の価値観を求めて大韓民国に来た」として「地域の懸案を市場経済の原理で解決するのが私だとアピールした」と分析した。声がかれた太氏の感想でははっきりと北朝鮮なまりがにじみ出た。

ソウルの代表的にお金持ちの多い町である江南甲が脱北外交官の軍配を上げた理由は現政権の不動産政策に反感を持つ江南投票者の心をつかんだのが奏功したという見方がある。江南甲には4選議員出身であり国会国防委員長と事務局長を務めたキム・ソンゴン前共に民主党候補が再挑戦に出たが劣勢を乗り越えられなかった。江南甲は過去28年間民主党傾向の議員が当選したことがない「保守畑」でもある。

<韓国総選挙>太救民元北朝鮮外交官当選…北朝鮮エリートがソウルで代表的な「お金持ちの多い町」を掌握

で、そんななかこの共同団体の教授の過去の発言を探したら、こんな記事が見つかったわけです。

韓国社会を「ヘル朝鮮」と批判する若い世代に向かった文章をソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に掲示して話題になったKAIST(韓国科学技術院)経営大学のイ・ビョンテ教授が自身の発言をめぐる一部の批判に対して「何を反省し、反省せよと言うのか」と反問した。

イ教授は18日、自身のフェイスブックに「私は韓国の歴史が5000年だと信じていない。歴史が5000年だといっても我々の世代だけでなく今も最も豊かな時代だと信じている」として「私は反省しない。特に、若い世代が我々に反省を求める資格はないと考える」と明らかにした。

彼は「子供たちはみんな可哀そうだ。私も夏休みにも遊べずインターンをしている私の娘も可哀そうだと思っている」とし、「しかし、それは現実だ。大韓民国の外でも同じ事態が起きている。米国や英国も二分され、日本の若い世代は草食動物になっている」とした。

また、「我々はこの厳しい現実を認めなければならないだけで何の反省も要らない」と反問して「我々が過去に戻ったとすれば、どうすれば今の『ヘル朝鮮』より良い朝鮮を作ることができたのか、代案を出してから反省を云々せよ」と指摘した。

さらに、「多くの問題は経済がグローバル化し、韓国より貧しい中国とインドが経済圏に入っている。多くの開発途上国が競争国になることで現れるグローバルな現象という認識を持っている」とし「その現実を度外視して何の代案もなしに、正確な分析もなしに韓国内部の問題であるかのように、旧世代の無能さのせいかのように批判するのは偽反省だ」と批判した。同時に「反省をしたなら、何が我々の世代と旧世代にできたのかを話してください。私は、旧世代が最善を尽くして各自の人生を生き、我々の前の世代は成功的に生きてきたと信じているだけ」と付け加えた。

これに先立ち、イ教授は16日、自身のフェイスブックに「若者たちに心から訴えたい」というタイトルの文章を掲載して若者たちに旧世代の達成と汗を貶めないでほしいという趣旨の文章を掲載した。彼は「この土地が住みやすいところになっていないからと言って『ヘル朝鮮』とののしる前に、一度でもあなたの祖父母と両親を考えよ」とし「韓国に雇用が足りなくて大学を卒業してもドイツの鉱山の鉱夫に行き、看護師に行った。それで国際迷子になったあなたの祖父・祖母時代の話を聞いてからそのような話をせよ」とした。

しかし、このような文章に対して漢陽(ハンヤン)大法学専門大学院のパク・チャヌン教授が「5000年の歴史で最高に幸せな世代の傲慢」と強い批判を吐き出し、フェイスブック上の論戦が繰り広げられた。パク教授は「我々の世代のうち相当数は韓民族5000年の歴史で一番幸せな世代という点を認めなければならない。両親の世代は留学にいかなくても、英語ができなくても“神の職場”といわれる企業に入ることができたが、今はとんでもない話」とし、旧世代が変わった環境に置かれた若い世代の話に耳を傾けて反省しなければならないと指摘した。

KAIST教授「若い世代、旧世代に反省を求める資格がない」

なんというか「渡邉美樹の説教」みたいな感じですね。

俺たちは必死に頑張って成功したんだ。俺たちの成功を汚すな。若者は可愛そうだが俺も苦労した。上の世代は居お前らよりもっと苦労した。だからお前たちも苦労するのを嘆くな、と。

日本でも、就職氷河期世代、ゆとり世代、さとり世代などに浴びせられる言説がありますが、韓国はもっと先鋭化してそうですね。

韓国はこのヘル朝鮮系の言説が共に民主党支持につながったことが政権交代の1要因なんて話も読んだことがあります。
ただし、現政権の施策は必ずしもうまくいっておらず、一部若者支持の離脱が見られる、とも。

かしいくら支持層が離脱しても、敵対勢力に拾われなければさほどダメージにならないというのは、日本の事例でよく知っておりまして・・・。

今回の総選挙の総評として、保守勢力が、極右・太極旗勢力に引っ張られすぎている、という話がありましたが、それには、こういう「ヘル朝鮮」系の言説への拒絶姿勢も含まれるでしょうし、それは結果として若者社会の不理解へのつながるでしょう。

それを己の不理解を認めず、表面だけ取り繕って「俺はわかってる」と言い出してもどうしようもないでしょうし、そもそもの世界観が「ヘル朝鮮」とは合わない以上、その世界観を再構築しない限り、どうしようもないのでしょう。

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