東京高検検事長の「定年延長」問題

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政府は、国家公務員の定年の段階的な引き上げに合わせて、検察官についても定年を65歳に引き上げるための法案を、来週にも国会に提出する予定です。
これを前に、自民党の総務会で法案の審査が行われましたが、出席した議員からは「国会で、東京高等検察庁の検事長の定年延長が議論になる中、なぜ今やる必要があるのか」などと慎重な意見が相次ぎました。
このため、法案の了承は見送られ、来週の総務会で改めて議論することになりました。
鈴木総務会長は、記者会見で「検察官については丁寧な説明が必要なのに、議論が煮詰まらず持ち越した。次回、了承したいと思っている」と述べました。

検察官などの定年延長法案 了承見送り 自民総務会 | NHKニュース

『次回了承したい』と総務会長が明言しているように、この自民党総務会の了承見送りは、公明党もよくやるアリバイ作りだと思うのですが、少なくともアリバイ作りをしないといけないという判断はなされているようです。

このアリバイ作りをしないといけないと思われた理由である『東京高等検察庁の検事長の定年延長』はどのような問題なのでしょうか?

発端は、1月31日に行われた、閣議決定でした。

政府は31日の閣議で、2月7日に定年を迎える黒川弘務東京高検検事長の勤務延長を決定した。延長は2020年8月7日まで。検察庁法は検察官の定年を原則63歳、検事総長は65歳とし、黒川氏は2月8日に63歳になる。

黒川東京高検検事長の勤務延長: 日本経済新聞

この閣議決定がなぜ問題となったのか?

検察官の身分について色々と定められている、検察庁法の定年の規定は以下の条文しかありません。

第二十二条 検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する

この条文しか存在しないということは、検察庁法上では、特定の年齢に達したら無条件に退官をすることが原則であって、例外は規定されていない、ということになります。
つまり、勤務延長の根拠が検察庁法には存在しない、ということになります。

また、この検事長の定年の延長案が出てきた背景として、官邸に都合のいい人材だからではないか?という疑惑も持ち出されていました。

黒川氏は、検察首脳として安倍首相の意向を踏まえて共謀罪などの実現に奔走し、森友学園問題における財務省の公文書改ざん事件でも、佐川宣寿元国税庁長官ら関係者全員の不起訴処分を主導したとされる。このため、政界では「安倍政権のスキャンダルをもみ消す官邸の番人」などと呼ばれてきた。

東京高検検事長の「定年延長」、その本当の狙い | 国内政治 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

何を根拠にして勤務延長を行ったのか。どのような経緯で勤務延長を行ったのか。政府は以下のように説明しています。

○安倍内閣総理大臣
 先ほど申し上げましたように、この人事においては、法務省の中において決定し、閣議の請議をされ、そして閣議決定したところでございます。
○森国務大臣 
 委員もよく御存じだと思うんですけれども、検察庁法は国家公務員法の特別法に当たります。そして、特別法に書いていないことは、一般法である国家公務員法の方で、そちらが適用されることになります。

 検察庁法の二十二条を今お示しになりましたが、そちらには、定年の年齢は書いてございますけれども、勤務延長の規定について特別な規定は記載されておりません。

 そして、この検察庁法と国家公務員法との関係が検察庁法三十二の二に書いてございまして、そこには二十二条が特別だというふうに書いてございまして、そうしますと、勤務延長については国家公務員法が適用されることになります。

第201回国会 予算委員会 第5号(令和2年2月3日(月曜日))

『人事案は法務省から上がってきたものを了承したわけで、官邸は介入していない』

『検察庁法は特別法(特例)なので、そこに決まっていないものは、一般法の規定が存在するならばそれが適用できる。そして一般法である国家公務員法には勤務延長の規定があるので、それを根拠に勤務延長ができる』

これが政府側の説明でした。

一方で、野党側は、検察庁法と国家公務員法の関係の解釈について、複数の反論材料を持ってきました。

まず、過去の政府側の答弁です。

衆院予算委員会でこの日質問に立った立憲民主党の山尾志桜里氏は、定年や定年延長を導入する国家公務員法改正案が審議された1981年の衆院内閣委員会での政府答弁を紹介。議事録によると、当時から定年制があった検察官や大学教員にも適用されるか問われた人事院任用局長(当時)が、「今回の法案では、別に法律で定められている者を除くことになっている。定年制は適用されない」と答弁していた。

検察官は定年延長「適用されない」 39年前に政府答弁:朝日新聞デジタル

国家公務員法に定年延長を含む定年の概念を改正で導入する際に、政府答弁として『すでに定められているものには適用されない』としていた、というのです。

同様の記述は、当時の想定問答集にも存在していたようです。

文書は、内閣法制局がまとめた法律案審議録にとじて保管されている「国家公務員法の一部を改正する法律案(定年制度)想定問答集」と題された80年10月のもの。

 文書では「検察官、大学の教員については、年齢についてのみ特例を認めたのか。それとも全く今回の定年制度からはずしたのか」という問いに、「定年、特例定年、勤務の延長及び再任用の適用は除外されることとなるが、第81条の5の定年に関する事務の調整等の規定は、検察官、大学の教員についても適用されることとなる」としている。

「勤務延長、検察官は除外」 1980年の文書が見つかる 検事長定年延長 – 毎日新聞

このような反論材料をもとに、政府に見解を問うたところ、政府答弁がギクシャクし始めます。

まず、人事院給与局長の答弁を紹介します。

東京高検検事長の定年延長問題をめぐり、人事院の松尾恵美子・給与局長は12日の衆院予算委員会で、国家公務員法の延長規定が検察官には適用外とした1981年の政府答弁について「現在まで同じ解釈を続けている」と語った。

 ただ、「検察庁法に定められる特例の解釈に関わる。法律の解釈なので法務省で適切に整理されるべきだ」とも述べた。人事院の見解は国家公務員法を延長の根拠とする法務省とは異なるものの、最終的な判断は法務省に委ねるとの姿勢を示した形だ。

検察官は定年延長の適用外? 「今も同じ解釈」人事院:朝日新聞デジタル

人事院の松尾恵美子給与局長は12日、「制定当時はそういう解釈だ。現在までも特に議論はなかったので同じ解釈を続けている」と述べた。
検察庁法では検察官の定年年齢と退職時期の規定はあるが、定年延長に関する規定はない。森氏は「国家公務員法は公務遂行上、必要であれば勤務延長することになっている。検察官は一切、定年延長できないのはおかしい」との見解を示した。

検事長の定年延長 野党「違法」と追及 法相「公務員法を適用」: 日本経済新聞

「現在まで特に議論はなかったので同じ解釈を続けている」
このような解釈を人事院としてはしていることを答弁で述べています。
一方で法務省が最終的には判断すべきだ、と。

一方で、安倍晋三総理大臣は、この人事院給与局長の答弁の翌日、以下のような答弁を行いました。

国家公務員法の定年制が検察官に適用されないとした人事院幹部による一九八一年の国会答弁に関し、立民の高井崇志氏から認識を問われ、首相は「当時、検察庁法により適用除外されていると理解していたと承知している」と認めた。

 一方で「検察官も一般職の国家公務員であるため、今般、検察庁法に定められている特例以外には、一般法の国家公務員法が適用される関係にあり、検察官の勤務(定年)延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした」と述べ、法解釈変更に言及した。

東京新聞:首相、定年延長「解釈変更」 国家公務員法 検察官に適用:政治(TOKYO Web)

安倍首相は『過去にそういう解釈を取っていたことは知った上で、今回解釈の変更を行ったのだ』という答弁を行ったのです。

ここで論点となったのは、本当に閣議決定当時に過去の解釈を知っていたのか?
法解釈の変更を行うに当たって慎重な検討や手続きは行われたのか?というものでした。

なぜそういう疑惑が起こってしまうかというと、給与局長の答弁もそうなのですが、他の大臣も、このような答弁を行っていたのです。

山尾氏は、81年の国会審議で人事院が「検察官と大学教官は既に定年が定められている」と述べたなどとして、検察官の定年延長は適用されないとの認識を主張。森氏は「当時の議事録の詳細を存じ上げない」として「国家公務員法の(勤務延長)規定が適用される」と反論した。森氏に業を煮やした山尾氏は菅義偉官房長官に質問したが、菅氏も「検察官も一般職の国家公務員。国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用される」と主張した。

森雅子法相と山尾志桜里衆院議員が「法曹女子」対決 – 社会 : 日刊スポーツ

このとき、解釈変更の元の解釈の根拠となる一つである過去の答弁について『存じ上げない』とした上で、「一般法だから」という説明を行っているのです。
つまり、過去の解釈については言及せずに、私はこれが正しいと思っています、と政府側は述べていたわけです。

しかし、総理が『今回の閣議決定のタイミングで解釈変更を行った』ことを明言したということは、この2月10日時点で、過去の解釈について知っていないとおかしいことになります。

そこで、まず人事院給与局長の答弁について訂正が行われました。

人事院は19日の衆院予算委員会で、検察官の定年延長に関する法解釈を巡る12日の衆院予算委の答弁を訂正した。検察官には定年延長の規定が適用されないとの従来の解釈について「現在も引き継いでいる」との答弁を「1月22日に法務省から相談があるまでは引き継いでいる」と変更した。

森雅子法相は、解釈変更について人事院から「異論がない」との回答を得た1月24日を「解釈変更の時期だ」と説明した。人事院の松尾恵美子給与局長は2月12日の審議で、従来の解釈について「現在までも特に議論がなかったので、同じ解釈を引き継いでいる」と答弁していた。

人事院、国会答弁を訂正 検察官の定年延長巡り: 日本経済新聞

山尾氏がこの点をただすと、松尾氏は「『現在』という言葉の使い方が不正確だった」と述べ、12日の答弁を撤回。反発した野党が退席し、審議は一時中断した。  再開後、松尾氏は「現在まで」の部分を「1月22日に法務省から相談があるまでは」に修正。

人事院局長、異例の答弁修正 検事長定年延長で審議紛糾―衆院予算委:時事ドットコム

「現在=1月22日に法務省から相談があるまで」でした、という答弁修正を行ったのです。

2月12日に「現在」って言葉を使って、それが「1月22日」を指しているなんてことあります?

この点に関しては、産経新聞すら、社説で「あまりに不自然である」と触れています。

一方、この解釈変更を閣議決定前に行った証拠として、法務省などは文書を国会に提出しました。
が、これも疑惑を解消するどころか、加速させる材料となってしまいます。

法務省が提出した文書は「検察官にも国家公務員法の規定が適用されると解するのが自然だ」と強調した。検察官の定年延長について国家公務員法を適用して認める内容だ。人事院も法務省の見解に関して「特に異論を申し上げない」と記した文書を提出した。

共同会派で無所属の小川淳也氏は20日の予算委で、文書に日付を記載していない理由をただした。森雅子法相は「日付はないが、答弁している日付で協議されたことは確実だ」と述べた。人事院の松尾恵美子給与局長は「法務省に直接書面を渡しており、特に日付を記載する必要がない」と説明した。

小川氏は「何月何日に改正されたか分からない法令改正はない。決裁はとっているか」と質問した。松尾氏が「人事院会議で決定したわけではないが(総裁ら)3人事官の了承は得ている。決裁はとっていない」と答えると、野党側は「決裁がない」との発言を批判して審議が中断した。

審議が再開すると森氏は「部内で必要な決裁をとっている」と述べた。小川氏は決裁文書と文書を作成した職員のパソコンの電子記録を予算委に提出するよう求めた。

検察官の定年延長 解釈変更を文書で提出 法務省、衆院予算委で: 日本経済新聞

政府は二十日と二十一日にかけて、定年延長を決める以前の検討状況を記録した文書計三通を衆院予算委員会の理事会に提出。法務省が一月に内閣法制局、人事院にそれぞれ交付した文書は「定年延長制度の検察官への適用について」と題し、八五年の改正国家公務員法の施行後は、定年延長制が「検察官にも適用されると解するのが自然である」と結論づけた。

 内閣法制局の「応接録」と題した文書には、一月十七~二十一日にかけて法務省から照会を受け「意見がない旨回答した」と了承したことを明記した。人事院は翌二十二日に法務省の文書を受け取り、二日後に「特に異論を申し上げない」と文書で回答した。

 三通の文書には、法解釈の「変更」「見直し」といった表現はなく、解釈を改めたと理解できる記載もない。政府は定年延長は八五年当時から可能だったと解釈し、黒川氏の定年延長を決めたことになる。

東京新聞:法解釈変更記載なし  検事長定年延長 閣議決定前の政府文書:政治(TOKYO Web)

文書に日付がない。
決裁も行われたのか証明しきれない、そんな文書だったのです。

その野党の批判に対して、政府の反論などの対応は以下の通りです。

法務省が国会に提出した、東京高等検察庁の検事長の定年延長が妥当だとする文書について、森法務大臣は、今月20日の衆議院予算委員会で、「必要な決裁は取っている」と答弁しましたが、翌日の予算委員会の理事会で、法務省の担当者は「正式な決裁は取っていない」と述べました。

これについて、森法務大臣は、記者会見で、「文書は、内閣法制局と協議するのにあたって、事務次官まで部内で文書を確認して内容を了解する口頭の決裁を経た」と説明しました。

そのうえで、「決裁には口頭の決裁もあれば文書の決裁もあり、どちらも正式な決裁だと理解している。文書における決裁を取らなければならない場合というのは、決められているわけだが、今回はそれにあたらない」と指摘し、正式な決裁の手続きが取られたという認識を示しました。

検事長の定年延長「口頭決裁も正式な決裁」森法相 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン

これを受けて法務省は、解釈の妥当性を人事院に問い合わせた日付として「1月22日人事院に交付」と記入し、衆議院予算委員会の理事会に改めて提出しました。

また人事院が法務省の見解を容認した文書についても「法務省1月24日受領」と記入して再提出したほか、内閣法制局は、法務省から先月17日から21日にかけて相談を受け「意見がない旨回答した」とする記録を提出しました。

検事長の定年延長 法務省が日付入り文書再提出も野党は反発 | NHKニュース

このように日付を後から書いて再提出した上で、更に別なメモを提出しました。

法務省は二十六日の衆院予算委員会理事会で、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を巡り、政府の法解釈変更に関する省内の検討過程に関し、一月十六日に作成したとする「メモ」と称する文書を提出した。「検察官も国家公務員法に規定される延長制度の適用は排除されていない」と解釈変更の妥当性を主張した。野党は「極めて信ぴょう性は乏しい」と反発した。

 解釈変更が「後付け」だとの批判を受け、定年延長を閣議決定した一月三十一日以前に省内で検討していたと裏付ける狙いがあるとみられる。森雅子法相は理事会後の予算委一般質疑で「一月十六日に部内で解釈について検討していたことを証明できるものだ。後日作ったものではない」と強調した。

 立憲民主党の黒岩宇洋氏への答弁。黒岩氏は「後刻、作ることもできる文書だ」と指摘し、文書の作成過程を示す電子記録(ログ)を示すよう要求。森氏は「しっかり探させたい」と語った。立民の大串博志幹事長代理によると、法務省は理事会で、担当者が内部検討のメモとして作成した文書で、一月十六日ごろに事務次官まで報告を上げたと説明した。

 文書は「定年退職の特例として、定年退職日以降も一定期間、職務に引き続き従事させることができるとの要請自体は、検察官にも等しく妥当する」とも記載した。

東京新聞:検事長定年延長 「法解釈変更メモ」提出 法務省、妥当性強調:政治(TOKYO Web)

この文書、なぜか産経新聞が国会提出前に入手していたようです。

文書は、法解釈を担当する法務官僚が作成した。

 文書では、国家公務員法(国公法)では「職務の特殊性」や「職務遂行上の特別な事情が認められる場合」に定年延長が認められているが、同様の事情は検察官にも「等しく妥当(あてはまる)」と判断した。

 そもそも、検察官の定年制度は「適正な新陳代謝の促進等により能率的な公務の運営を図る」という国公法の定年制度の趣旨と「差異はない」とも定義。検察庁法では定年の「延長」に関する規定がないことも踏まえ、国公法の定年延長制度は検察官にも適用可能と結論付けている。

検察官定年延長、1月16日付文書で「妥当」 法相「後付け」否定(産経新聞) – Yahoo!ニュース

この法務省メモを巡って、森雅子法務大臣の答弁とのズレなどが疑問視されています。

の適用外とした一九八一年の政府見解を知った時期について「人事院から考えが示された時で、一月下旬だ」と述べていた。政府はこれまで法務省が定年延長制の適用に向けて一月十七日から二十四日にかけて内閣法制局、人事院と順に協議したと説明している。

 森氏の十九日の答弁が正しければ、法務省と内閣法制局の協議の段階では八一年見解を把握していなかったことになる。国民民主党の玉木雄一郎代表は二十六日の衆院予算委で「時系列が合わない。知らないことを人と協議することはできない」とただした。

 これに対し、森氏は法務省メモに触れ「一月十六日の文書が作られた時には事務方から説明を受けている。当初の政府解釈は理解していた」と説明を変えた。十九日の答弁については「騒がしい中で(質問が)しっかりと聞こえなかった」と釈明した。

 これに先立ち質問した立憲民主党の枝野幸男代表は、政府が解釈変更の経過を記したとする別の文書や法務省メモが八一年見解に言及していないことを取り上げ「法解釈を変える論理的な説明が一言もない」と批判した。近藤正春内閣法制局長官は玉木氏の同趣旨の指摘に対し「(八一年見解が)書いてあろうが、なかろうが、そういう前提で議論した」と語った。

東京新聞:森法相、また答弁修正 定年延長野党「後付け」と批判:政治(TOKYO Web)

一方、口頭決裁については、以下のような時事通信の記事があります。

中央省庁の決裁方法は、役所ごとに文書管理の規則や要領などで決まっている。環境省担当者は「省内は原則すべて電子決裁」と説明。「他省庁のことは分からないが(環境省では)今まで口頭決裁している例は目にしたことがない」と語る。別の省庁の幹部OBも「口頭決裁なんてしたことがない」といぶかる。

 ただ、決裁の定義は明確とは言えない。国土交通省では、紙かシステムでの決裁を定めており、口頭決裁の記述はないというが、担当者は「意思決定を口頭で行うことは常日頃ある」と話す。

 文部科学省も文書での決裁方法を規則で詳しく定めているが、「そもそも『決裁』について明確な定義はなく、全ての事柄について文書決裁をするわけではない。上司の了解を口頭で得ることはある」(担当者)。

 先のOBも口頭了解は日常あったと指摘。決裁は口頭で行ってはならないという明確な決まりもないため、「(今回の関係者は)そこに着目し、口頭決裁と言っている部分はあるのでは」と推測する。

 2月28日の閣議後記者会見では閣僚から発言が相次ぎ、高市早苗総務相は「原則、文書管理システムなどを用い、電子決裁している。口頭で了解を得るような場合は、決裁ではなく『口頭了解』と呼んでいる」と説明。北村誠吾地方創生担当相は「必要な指示や意思決定は口頭でも行っており、それを口頭決裁と言うのであれば、行ってきたということになろうかと思う」と話している。

霞が関で口頭決裁「例がない」 定義にあいまいさも―検察人事:時事ドットコム

この話については、森雅子法務大臣の不信任決議案が否決されたことや、COVIT-19についての議論が加速したので、今後国会で取り上げられる割合は少なくなるのかもしれません。

ただ、参議院での予算審議でもこの件が取り上げられ、森雅子法務大臣の答弁が記事になっています。

「個別の人事プロセスでございますので、お答えは差し控えさせて頂きたいと思います」。森雅子法相は6日の参院予算委員会で、東京高検検事長の異例の定年延長をした理由や段取りを問われると、「個別の…」との言葉を繰り返し、説明を拒んだ。その数、45分間で36回。「リピート再生」機能が働いたかのようだった。

「個別の…」36回リピート 法相、定年延長の説明拒否:朝日新聞デジタル

政府は説明は程々に逃げ切る気のようですが、これからも、今回の人事、法解釈変更は疑念のあるものであることをはっきりとさせておくことは重要なのではないかと思います。

更に言うと、どんな審議でも野党の質問の拙さに付け込むばかりで、自ら説明しようとする姿勢が皆無であることも、COVIT-19の施策の話も含めて、強調できれば良いのではないかと思います。

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