在留資格拡大「大卒・院卒」「クールジャパン」

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数ヶ月前の情報ですのでここから詳細とか色々と、進んでいるのかもしれませんが、とりあえず追加報道は見当たらなかったので、現状知ったことを書きます。

10月末、東洋経済オンラインに「日本で年収300万超の外国人が大量に働く日」という記事が掲載されました。

日本で年収300万超の外国人が大量に働く日
「特定技能」という新たな在留資格を設け、外国人の単純労働者を受け入れるための入管法改正案が、開会中の臨時国会に提出される。成立した場合、来年4月から、外食、介護、建設、農業、宿泊など十数種の分野で202…

こういう記事は基本的に煽り成分が強いのであまり読まないようにしているのですが、流し読みしてみたところ、重要な情報が含まれていました。(煽り記事というものは得てして、こういうファクトを軸に、解釈などで暴走していくのですが…)

重要な情報というのは、国会で議論されている入管法改正案の特定技能以外にも、外国人労働者が増加するような、制度の変更が行われることが検討されているというものです。

ちなみに、日経新聞の記事にこの情報が簡潔にまとめられた記事が存在しました。
東洋経済オンラインの記事もこのような報道がベースにあったのでしょう。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35015520V00C18A9MM8000/

これら記事によると、まず、現在は学んだ分野の関連でのみ認められていた大卒・院卒の方の就職での在留資格が、学んだ分野に関連がなくても『年収が300万円以上である』と『日本語を使う職場である』という二点を満たすことで許可が下りるようになる、とのことです。

これ、まずこれまで関連の職ならOKだったというところから知らなかったのですが、個人的には年収要件が300万以上が、日経新聞の記事によると『独立して生計を維持する能力を示す基準として年収300万円の要件を満たせば』というように、独立して生計を維持する基準として設定されているのが気になるところです。

新制度では独立して生計を維持する能力を示す基準として年収300万円の要件を満たせば就職先を幅広く選べる。同様の基準は永住権の取得許可などでも使われている。国税庁の2016年の民間給与実態統計調査によると、勤続1~4年の日本人の平均給与は303万円で同水準だ。

留学生、大学・院卒後に年収300万円以上で在留可能に: 日本経済新聞 

この日経新聞の記述で注意なのは、日本人の年収は「平均年収」であって、それ以下の存在も多数いることです。
つまり、独立して生計を維持できない勤続1〜4年めの社会人が多く存在しているということです。

独立して生計を維持できる人だけを受け入れる、というのは日本の国益なるものを守るという観点がメインで、それを包む建前として「外国人に社会保障を使わせるな」「外国人が社会保障にタダ乗りしている」というような外国人へのバッシングを防ぐ狙いがあるという言い分がありえるのだろうと思うのですが、生計を維持できる外国人しか日本にいない一方で、日本人には生計を維持できない人がいる、となってしまうと「外国人ばかり生計を維持できて、本国人は生計を維持できないのはおかしい」という感情が生まれるのだろうと思います。
「外国人ばかり生計を維持できて、本国人は生計を維持できないのはおかしい」というのは、国家が事前に「社会保障を使わない」ような外国人労働者のみを選別して受け入れるという意志が機能している証拠なのですが、どっちにせよ外国人労働者への憎悪を抱く人が出てくるのだろう、という諦念を私は抱いています。

政府はそういうバッシングを防ぐ気があるのか?防がなくてもいざとなったら追い出せば国益は守れるなんて考えているのか?
どうせ施策推進者(というより自民党関係者)には後者の人が多いだろうというのが、今回の外国人労働者関係の施策に私が賛成できない大きい理由だったりします、

日本の専門学校を卒業した留学生には、アニメやマンガ、日本食など日本文化に関わる仕事での在留を幅広く認める。働きたい分野の技能を専門学校で習得したことが条件だ。作品の設計など高度な業務だけでなく、背景の色塗りなど補助的な仕事も対象とする。日本文化の魅力を発信する「クールジャパン」推進へ人材を確保する。

留学生、大学・院卒後に年収300万円以上で在留可能に: 日本経済新聞

これと同時にクールジャパン人材として、専門学校卒の方を受け入れるなんてことも触れられていますが、この施策については産経新聞いわく「クールジャパンで在留資格が得られる対象となるのはアニメーション、ゲーム、漫画、日本料理などに従事する外国人を想定。また特定活動での在留は最長5年になる。」とのことですが、一定の基準を設けないと、現行の一部の技能実習生のような、格安の賃金での労働職確保につながるだけなのではないか?という想像が容易に思いつくのではないかと思うのです。

格安の労働力によって日本文化が支えられるなんていう、クールジャパンが労働者に冷淡な日本という意味になるようなことは起こらないでほしいので、労働者保護をキチンと徹底することが必須だろうと思います。

一方で、繰り返しになりますが、外国人労働者をきっかけに労働者保護が手厚くなったら「本国人には冷たいのに外国人労働者だけ!」なんてバッシングも始まるだろうな、なんて考えてしまうのが悲しいですが。

外国人労働者も日本人労働者もともに手を取って同じ労働者として、労働者保護やら労働者地位向上やらに動けたらいいんですけどね。

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