加計学園グループの獣医学部新設、認可保留

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加計学園の申請内容に対して、文部科学省の審議会が課題があると指摘したのは学生に対する実習の計画です。

実習の計画について、学園では、140人の学生を2つのグループに分けたうえで、1つの実習科目をおよそ1か月間で履修する時間割を組んでいました。

これについて審議会では既存の獣医学部の場合、実習はおよそ4か月間実施していると指摘され、「学園の計画は、短期集中型で、学生が予習や復習も含めて知識や技術が身につけられない」として計画を見直すよう求めました。

また、学外の実習施設の中には、大学から移動するのに車で3時間以上かかるものもあるとして、学生の負担にならないよう見直しを求めています。

このほか、全国で最も多い140人の学生に対し、教員の指導体制が不十分であることや、学生が研究を進めるうえで十分なスペースが確保されていないのではないかといった指摘がされています。

加計の獣医学部の認可保留 10月に結論 文科省審議会 | NHKニュース

加計学園グループが新設しようとしていた獣医学部の認可が『保留』となったようです。

個人的に気になったのはそこで指摘されていた内容です。
この短期集中型の実習が本当に誤っているやり方なのかはわかりません。

しかし、ここで振り返ってほしいのは、この獣医学部新設など、獣医学部が注目されている理由は『人員増加』という観点だけではなかったはずだということです。

例えば、ワーキンググループにて八田達夫氏は『質の悪いものが出てきたらどうするか。これは、実は新規参入ではなくて、おそらく従来あるものにまずい獣医学部があるのだと思います。そこがきちんと退出していけるメカニズムが必要で、新しいところが入ってきて、そこが競争して、古い、あまり競争力がないところが出ていく。そういうシステムを、この特区とはまた別にシステムとして考えていくべきではないかと思っております。』と述べていて、質の良いものが新規参入することで、従来ある質の悪い獣医学部を淘汰出来るということを述べていたはずです。
しかし、そもそもワーキンググループを通した計画が杜撰なものであったら、このシステムやメカニズムは出来ようがないのではないでしょうか。

今回の規制緩和について推進者と言われている唐木英明氏は、過去に獣医学部統合再編運動を主導していました。
それが目指していたものは『大学はしっかりした教育・研究をするのが大前提だ。それを実現するには教員や研究施設といった教育資源を集約するしかない。』という発言から分かる通り、資源の集約を行い、質の良い教育環境を作り出すことにあったはずです。
今回、加計学園が作ろうとしている獣医学部が定員が多いのは、この理想を反映して設計している面があるように思います。
要するに、各大学の自主的な統合再編がうまくいかないならば、大きい規模の新規獣医学部を参入させ、将来、その新規参入した学部が実力で他の大学を飲み込んでしまえば、統合再編という目的は達せられる、と。

十勝毎日新聞1999/12

しかし、NHKが報じている指摘内容に『教員の指導体制が不十分であることや、学生が研究を進めるうえで十分なスペースが確保されていないのではないか』という物があります。
ワインセラーを計画するほどに広いスペースをとっているのだろうと思っていたら、不十分なのではないか、という指摘があるというのは驚きです。

また、メインで指摘されているように触れられている『実習計画が短すぎるのではないか』というものも、臨床などの教育の充実を図るために統合再編運動が起こっていたことを考えると、本当にこんな感じで良いの?という疑問が浮かびます。
(最初の方に『間違っているのかはわからない』と書いたとおり、実習計画については『他の大学が長く取りすぎていて、結果薄っぺらい教育しか出来ていないのだ』という反論は可能であるとは思います。実際のところはわかりませんが。)

他の大学を引き締めるための新規参入なはずなのに、不十分な状態で認可申請がされてしまっている可能性が高い。
これを見るに、やはりあの『平成30年4月開学を前提』という条件が、『行政を歪ませた』と言わざるを得ないくらいには質の低下をもたらした可能性があるように思うのですが、ワーキンググループの方々などの国家戦略特区関係者はどう思っているのでしょうか。(どうせ、文科省が規制緩和されて悔しいからいちゃもんつけてるとしか思ってないのでしょうけど)

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