稲田朋美氏、調査指示者から調査対象に。

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 南スーダンに派遣されていた自衛隊の日報問題をめぐり、稲田防衛相は21日午後、防衛監察本部の聞き取り調査を21日に受けたことを明らかにした。

稲田防衛相は、1時間ほどの聞き取り調査の中で、廃棄したとされていた日報が陸上自衛隊に保管されていた事実を非公表とする方針について、報告を受けたことはないと説明したという。

監察が稲田防衛相から聞き取り 日報問題|日テレNEWS24

この防衛監査本部というのは、朝日新聞が書いているように、防衛大臣の管轄下の組織であって、そこに防衛大臣が指示したので今回の調査が行われていたのです。

監察は防衛相直轄の防衛監察本部が担当。関係者らから事情を聴き、隠蔽工作の有無などを調べている。だが稲田氏は監察対象ではない。関与が疑われる防衛相の指示で調査するという構図になった。稲田氏は「独立性の高い立場から、徹底した調査を行う」としているが、防衛省関係者は「『茶番』と見られかねない」と漏らす。

調査命じた稲田氏、一転疑惑の人に 自身は監察の対象外 (朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

その調査を指示した本人が調査対象になってしまうというのは、あまりにも残念な状態なのではないでしょうか?

一方、このような状態になったのが、陸自からのリークだったのではないかという話が出ていて、現場のリークで物事が動いてしまうことについて文民統制の観点から問題視する意見も出てきたようです。

『特別防衛監察の結果公表を目前に控えての急展開で、陸上自衛隊など制服組と呼ばれる自衛官の間にくすぶる稲田氏への不満が背景にあるとの見方が出ている。』

『背広組と呼ばれる内局のある幹部は「陸自からのリークではないか」と制服組への不信感をあらわにした。与党幹部は「こういう話が続くのはシビリアンコントロール(文民統制)の観点からすれば問題だ」と懸念を示した。』

稲田氏への不満背景か=「陸自がリーク」の見方も―日報問題 (時事通信) – Yahoo!ニュース

『防衛省内では「特別防衛監察の結果、一方的に悪者にされてしまうと反発した陸自サイドが情報をリークしている」(幹部)との見方が大勢を占める。』

『日報問題の展開に、防衛省内では苦悩も広がる。ある陸自幹部は「組織内で傷つけあっても誰一人、得をしない。国民の信用を失い、周辺諸国を喜ばせるだけだ」と嘆く。非公表方針の決定に関わった省幹部の一人は21日、問題の経過について「全体のマネジメントが適切だったかといえばじくじたる思いはある」と沈んだ表情で語った。』

日報問題で文民統制に深刻な懸念 相次ぐリークに「これではクーデターだ」(1/2ページ) – 産経ニュース

産経新聞が『周辺諸国を喜ばせる』と書いていたり、今回問題視されている『個人的に保持していた』事を隠していたことについて『陸自で見つかったデータが公開されなかったからといって、国民が情報公開上の「実害」を被ったわけではない。』と書いているのは下野する新聞らしいのですが、そもそもの経緯をたどればそんなことは無いはずです。

なぜならば、そもそも隠蔽された理由を振り返ってみてください。
3月の報道を見ればわかるのですが、そもそも統幕に保管されていた情報を公表したのは『情報公開請求を受け、陸自は破棄して存在していないと回答したけれど、その当時調査していなかった統幕に保管されていたので公表』だったはずで、陸自には一切存在しないことを前提にしていたはずなのだ。
今回の個人で保持していたことの公表は、ここの情報公開請求への回答がそもそもおかしかったのではないか、という話に繋がるような情報であるわけで、その情報を隠蔽することは防衛省の情報公開請求への姿勢を見極める材料を減らす行為なので『国民が情報公開上の「実害」』を負うと見るべきではないのでしょうか?
最終的に公開されればそれでいいなんてことではなく、情報公開請求制度がキチンと機能していたのかを検証することが大事なわけです。

エラー - NHK

 政府関係者によると、1月中旬には陸自内でデータが保管されていたことが発覚。統幕のデータを公表した後の2月中旬に開かれた幹部会議では、稲田氏も出席した中で、陸自内の複数の部署や隊員が日報の電子データを保管していたことが報告されたという。会議では「陸自が組織として保管している公文書ではない」との認識を共有。これに基づいて、陸自に保管されていた事実を公表しないことが最終的に決まった。

一方、その前後には陸自の幹部が複数の部署に、日報データについて「適切に管理を」と指示。陸自内で保管されていたデータは一斉に削除されたという。防衛省幹部は「陸自が日報を『廃棄した』として不開示決定をしているうえ、統幕内で見つかった電子データとして日報を公表していた。削除は、一連の対応との整合性を図るためだった」と説明している。

陸自の日報データ、幹部の「適切に管理するように」指示きっかけに削除

日報を巡っては、昨年九月末に情報公開法に基づく開示請求があったが、防衛省は同十二月、派遣部隊が上部機関の陸自中央即応集団に内容を報告後、文書管理規則に基づき日報を廃棄したとして非開示とした。直後の同月の再調査で、同省統合幕僚監部が日報を保管していたことを確認したとして、今年二月に一部を黒塗りで公表した。

東京新聞:PKO日報、陸自も保管 統幕に続き 隠蔽疑い強まる:政治(TOKYO Web)

そして新しい情報として出てきたのは、防衛大臣が了承したどころか、防衛大臣抜きで結論が出されそれを追認した形だったという情報です。

2月15日に防衛省の黒江事務次官や岡部陸上幕僚長らが公表しない方針を決定していたことが複数の政府関係者への取材でわかった。保管されていた日報は、個人的なもので、公開すべき行政文書にあたるか不明だとして、公表の必要はないという考えで一致したという。稲田防衛大臣は、この同じ日に岡部陸上幕僚長らと協議したことは認めているが、自らの関与は否定している。非公表の方針を決めた打ち合わせの出席者とされる幹部らは、防衛監察本部による調査中であることを理由に口を閉ざしている。

【報ステ】日報“非公表”黒江事務次官らが決定か

防衛省関係者によりますと、この日報の取り扱いをめぐってことし2月15日、防衛省の黒江事務次官や陸上自衛隊の岡部陸上幕僚長、それに統合幕僚監部の辰己総括官ら上層部が事務次官室に集まったということです。

この中で、破棄したとしていた日報のデータが陸上自衛隊司令部のパソコンに一貫して保管されていることが、岡部陸上幕僚長から黒江事務次官に説明されたということです。そのうえで、「保管されていた日報は隊員たちがそれぞれパソコンに残している個人データであり、公開すべき行政文書に当たるかどうか不明だ」などとして、公表の必要はないという考えで一致したということです。

一方、防衛省関係者によりますとこの会議とは別に、同じ2月15日に防衛大臣室で、稲田大臣と黒江事務次官や岡部陸上幕僚長らが会議を開いたということです。この中では陸上自衛隊の情報公開に関して説明が行われ、稲田大臣からは、今回、情報公開請求を受けてから日報を探すまでにどのような対応をとったのかなどについて質問があったということです。

日報 公表しない考えで防衛省上層部は一致 | NHKニュース

この日報の対応をめぐって2月15日に防衛省の黒江事務次官や岡部陸上幕僚長など上層部が集まり、公表の必要はないという考えで一致したということです。また、この日は事務次官や陸上幕僚長など防衛省上層部のメンバーが参加して稲田防衛大臣との会議が開かれました。

防衛省関係者によりますと、稲田大臣などから陸上自衛隊が情報公開請求にどう対応したのか質問が出され、そのやり取りの中で陸上自衛隊の幹部が日報のデータが保管されていると伝えたということです。これに対し、稲田大臣から特に発言はなかったということです。

そして、この翌日の16日には黒江事務次官と岡部陸上幕僚長との協議が次官室で行われ、黒江事務次官は「日報は統合幕僚監部で発見し公表しているので法的な問題はない。陸上自衛隊は情報保全に注意してほしい」などと述べたということです。

防衛省関係者によりますと、この発言について岡部陸上幕僚長は防衛省として陸上自衛隊に日報があることは公表しない方針だと受け止めたということで、結局、日報の存在は伏せられたままとなりました。

防衛省日報問題 公表しなかった経緯明らかに | NHKニュース

この報道から見えることは、大臣に『強力な政治力(by菅官房長官)』など存在せず、常日頃から稲田大臣の意思を忖度して官僚が勝手に動くことで物事が成り立っていた可能性が非常に高いということです。
そして、その忖度が悪い方向に動いたことで、お互いに責任を押し付けあう泥仕合になっている、ということなのではないでしょうか?

これは大臣が専門の知識があるわけではないから、そういう形でないと省庁が動かないという実態もあるように思います。
ただし、そういう知識がない点をサポートするために官僚や副大臣・政務官・事務次官などがいるわけで、そういう人たちのサポートが

そういう稲田朋美氏の無能さに関してフジテレビの平井文夫・上席解説委員が、『少し同情する点があるとすれば、皆で稲田さんをいじめている。』と述べているようです。

https://www.houdoukyoku.jp/posts/15382

一つは平井文夫氏いわく『左翼勢力』らしく、要するに野党が徹底的に稲田大臣を追及していることを指しているようなのですが、それをいじめというのは感情的に過ぎます。
そしてもう一つが『自衛隊とか、防衛大臣経験者とか防衛記者会、この三者が防衛インナーサークルで防衛会を牛耳っている。』とのこと。

正直、この平井文夫氏の発言自体信用出来ないのですが(なんでこんなのが上席解説委員なんでしょうか?)、もし防衛インナーサークルなどというのが存在しているならば、これを壊すことこそ『憲法9条改正の足がかり』だとして、安倍総理がしっかりと稲田朋美氏をサポートすべきだったように私は思います。
しっかりと信頼できる大臣と大臣サポート体制があってこそ、文民統制が成立しており、安心して自衛隊を動かすことが出来る、という話なのではないのでしょうか?

それが出来ない上で、稲田朋美氏を防衛大臣に任命した安倍晋三氏の任命責任は重いと思います。
今回の騒動はキチンと『政権』として関与し終結させるべきでしょう。

ちなみに平井文夫氏は『軍事クーデター』と述べていますが、その中身として『今回は軍の人たちが文民はおかしいと言った。それは困るんですよ。ルールとして。』というのは違うように思うのです。公益通報者などは軍からも出てくることは普通でしょうし、文民だって何をしてもいいというわけではありません。
軍の動きを勝手に変更するなどをして、無理やり主導権を握って国家方針を変えるなどならクーデターでしょうが、今回は大臣まわりがおかしなことをしているのに、それを軍の責任にして逃げ切ろうとしているのに抵抗しているだけなので、今回はクーデターというより統制するはずの文民側が勝手に崩壊していたという感じなのではないでしょうか?
手法も普段の官僚が行うような手法と変わらないように思いますし、今回の話を軍事クーデターとつなげるのは個人的にはおかしいと思います。

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