働き方改革と同時に『プロなら怪我に甘えるな』という趣旨の発言が飛び出す違和感

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首相は、大相撲春場所で負傷を押して出場し、劇的な逆転優勝を飾った横綱稀勢の里の姿勢を「高いプロ意識」とたたえ、「皆さんも『プロ』の行政官。一つひとつの仕事が日々の国民の暮らしに直結している。いささかの甘えも許されない」と自覚を促した。

また、「最大のチャレンジは働き方改革だ」として、「これまでのような『画一的』『横並び』の風土を打ち破り、多様性が尊重される新しい時代をつくりあげていく」と述べた。

稀勢の里を例に首相、公務員に「甘え許されぬ」

働き方改革って、プロがどういうものであるかも多様化していくんだと思ってました。

また、怪我を押してでも働くなんていう個人への過負担を避けることも目的の内に入っていると思ってました。

文化やライフスタイルとして長年染みついた労働慣行が本当に改革できるのかと半信半疑の方もおられると思います。ここにはおられなくても、外の方にはだいぶおられるのではないかと思いますが、しかし後世において振り返れば、2017年が日本の働き方が変わった出発点として、間違いなく記憶されるだろうと私は確信をしております。

平成29年3月28日 働き方改革実現会議

このように総理は述べていました。しかし、こんかいの訓示にて、伝統的な文化である相撲で起きた伝統的な無理の仕方をプロだと肯定的に述べる、という長年染み付いた歪んだプロとは何かという定義に疑問を挟めないと言う事がわかった様に思います。

それでは、『長年染みついた労働慣行』なんて変わらないだろうし、『2017年が日本の働き方が変わった出発点』になるとは到底信じられません。

『画一的』『横並び』なプロ意識はこれからも続き、『痛みに耐えてよく頑張った、感動した』という言動が無批判で垂れ流され、褒められた方は怪我の影響から二度と復調せず、そのまま引退していく、なんていう静かな悲劇の始まりがこれからも何度も続いていくのでしょう。

 私は基本的には重傷をおしての強行出場には反対の立場だ。小泉元首相の「感動した!」で有名になった貴乃花の優勝も、確かに衝撃的だったし、うれしかったが、あれをもって貴乃花の力士生命がほぼついえてしまったことを考えると私は手放しで「感動した」とは言えない。だから、今回の稀勢の里の出場についても大反対の立場だった。稀勢の里には丈夫な体で長く相撲を取ってほしい。

ただ、そういった私の「常識的」な思いをぶちやぶってしまうことが起こるから大相撲は面白いのだとも言える。そこには大いに矛盾があるが、矛盾があっていいのだ。

能町みね子氏 こんなドラマが…稀勢は貴乃花を超えてしまったかも

エンタメ論としてはこういう肯定もありかもしれないが(当然複雑な感情は抱く)、労働者はエンタメではないのです。

それこそ「常識的」な思いを反映すべきなのが働き方改革でしょう。

働き方改革を『働かせ方改革だ』と述べる人も多いですが、働かせ方の中でも最悪な『異常なプロ意識を求める』働かせ方が、これからも続いていきそうで、やはり、行政主導·政治主導·経営者主導ではなく、市民主導·労働者主導で色々な事を行わないといけないのだろうな、と思うのでした。

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