フランスの左派大統領候補予備選にてベーシック・インカムが取り上げられた模様

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1月12日と19日、第二回社会党予備選の討論で、弱冠50歳のブノワ・アモン元文部・高等教育・研究大臣が、国民に最低限度の生活を保障することを目的としたベーシックインカム導入を提案、一躍、脚光を浴びた。

これは、2018年から、現在、積極的連帯所得手当(RSA)とよばれている生活保護費、日本円6万4千円を7万2千円に引き上げ、将来的には収入額にかかわらず、すべての国民に9万円を支給するというものだ。

現行の積極的連帯所得手当は、25歳以上の無収入および低収入所得者(月収1139.13万8千円以下)を対象にしている。金額は家族構成によって変わるが、独身で無職の場合には満額6万4千円が、3万円の収入がある人には、6万4千円から3万円を引いた差額が支給される。

しかし今回、アモン氏が導入を提案したベーシックインカムは、18歳以上の全国民を対象にしたもの、いってみればホームレスの人も億万長者ランキングに名を連ねる大富豪にも一律に支給されるものだ。

仏国民全員に750ユーロ(約9万円)のベーシックインカムは可能か?(プラド夏樹) – 個人 – Yahoo!ニュース

フランスの左派連合の大統領候補を選ぶ予備選で、ベーシック・インカムを提言した方が居て、決選投票に進んだようです。

ベーシック・インカムを提言するに至った理由は記事によると、

  • システムが複雑で、対象になる人の半分はその書類手続きの面倒さに耐え切れず受給を諦めるという問題
  • 満額6万4千円では暮らしていけない

この2つの問題を解消するためだそうです。

システムの簡素化のために全員支給という原則にし、現状は額が少なすぎるから増額する、という話ですね。
システムが難しすぎて、という話は日本の生活保護でも参考に出来る話なのではないかな?と思います。(日本の場合、システムを簡素化しても窓口がまともに取り合っていないから機能していない、という話でもあるのですが。)

また、特に今回の引用した記事で重要だと思うのは、無申告で働かないと、食べていくことができない。という事をしっかりと記述していることのように思います。

問題と言われる不正受給の中には、こういう『働いているのに無申告』という問題もあるように思うのですが、その中に一部、生活保護の収入だけだと不足してしまう、という問題が潜んでいる可能性があるということです。
こういう不足側の問題は触れられず、総受給量を減らすような問題の取り上げ方ばかりされてしまうのが、個人的には非常に不満です。

なので、このフランスのブノワ・アモン氏の提案は良い提案だと個人的には思います。(現実、どういう形になるのか、などは別として)

このような議論が日本でもできたらいいんですけどね・・・

 

 

また、冒頭の記事を読んで初めて

フランスでは2008年から2009年にかけて主要電気通信事業会社フランス・テレコム(現オランジュ)で、リストラハラスメントによって35人が連続自殺したという事件があった

この事を知りました。

この連続自殺の原因は、会社側が理想の成果を生み出さない労働者に、成果主義という理屈を使い、部署異動などの様々なプレッシャーを与え続けた事が原因のようです。

別な記事では、『France Telecomが民営化に向けた準備を進めていた2000年には28人、2002年には29人の社員が自殺している』との話もあり、労働と自殺について海外でも大きな問題が存在している事がわかります。 欧州から眺めるITトレンド (34) 1年半で自殺者24人、フランステレコムの事件が問いかけるもの | マイナビニュース

この自殺連発について、ブルームバーグの記事では『競争が激化したことと労働時間などの労働者保護規制が進んだことが同時に起こったことで、経営者が短くなった労働時間分の結果を取り戻そうとして、摩擦や圧力が起こっている』というような内容の分析がなされていました。(自殺多発するフランステレコムの闇-週35時間制がストレスの温床か – Bloomberg

こういう企業のプレッシャーでなくなる労働者というのは、先日、日本でも電通の女性社員の自殺により問題視されるようになりましたが、こういう際にどうしても『労働者保護のための過剰な規制をやめよう』みたいな話が出てきてしまうので、個人的には、どこがどう過剰なのかをしっかりと見極めることと、出来る限り規制をなくさない方向に出来るように、別な道を探し出せたらいいなぁ、と思います。

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