参議院の選挙制度を引っ掻き回す自民党

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先日、民主党と公明党が参議院の選挙区の合区を行うなどのことについて合意したことから、自民党も合区を受け入れる方向に行ったのですが、そこから自民党がやたら面倒くさい話を掲げ出しました。

その本題を話す前に、まず合区について。参議院選挙での一票の格差が最大に出ているのは『鳥取県選挙区と北海道選挙区』の格差です。(朝日新聞いわく、2013年の参院選時点で『定数(当選する議員の数)1人あたりの有権者数を計算すると、最も多い北海道は、少ない鳥取県の4・77倍だった。北海道選挙区の一票の価値は、鳥取選挙区の一票と比べると、0・21票分しかないことになる。』とのこと。)

そこで票の価値の異常に高い?鳥取県選挙区の一票あたりの価値を薄めるために、同じく価値が高い島根県選挙区と合区する、というのが今回の方向性のようです(票の価値が三番目に高い?徳島県選挙区と高知県選挙区の合区も検討されるとのこと)

要するに今は鳥取県で一人選出、島根県で一人選出となっているのが、鳥取県と島根県で一人選出という選挙になるということです。

個人的にはそれでは選挙区が広すぎるので、一票の価値が低すぎる北海道選挙区に一人(要するに6年で二人選出分)定数増をさせる方向のほうが良いと思うのですが、定数増が有権者に受け入れられないという判断なのでしょう。

 

そういうことで、合区はいいとして問題は次のニュースです。

このため、自民党は「合区」による候補者調整では、一方の県から選挙区に候補者を擁立した場合、もう一方の県からは比例代表に候補者を立候補させることを検討しています。そして、比例代表に回った県の候補者を確実に当選させたいとして、個人名の得票順に順位が決まる今の比例代表の「非拘束名簿式」に、政党が希望する場合は名簿の候補者の順位をあらかじめ決められる方式も加えることができないか検討を進めています。

自民 参院選「合区」導入へ「比例」変更も

 

なんと合区だけではなく比例代表まで手を付けようとし始めました。しかもつぎはぎだらけの中途半端に複雑な形に。

この報道内容が正しいとして比例代表がどうなるかというと、非常に面倒くさい事になります。

まず現在の制度だと、比例代表の名簿を出すときに政党が決められるのは候補者だけです。候補者の優先順位などは名簿には載せられません。そして選挙時には有権者はその政党の比例代表の候補者名、もしくは政党名を書くことで、比例代表の政党に一票を投じる事になります。

そして政党に議席がふられたあとに、議席に座る候補者は、候補者名で投票された票数が多い候補者から順番に決まっていくのです。

そして今回、自民党はここに、現在の衆議院議員選挙だと行われている拘束名簿式という当選順位を予め決めることを政党の希望があれば行うことが出来る、という事を加えようとしているのです。

多分想定されているのは上位に優先的に当選する人を複数名おいて、それ以下の人は個人票の多さで当選者を決めるような形になると思うんですが、これ非常にややこしいことになるのではないでしょうか?

現在、参院選の比例代表制を訴えるとき『政党名ではなく候補者名を書いてください』という訴え方をする候補者が多いと思います。もしこの自民党の検討が形になった場合、比例名簿に『個人名を書いたらその人の当選に貢献出来る人』と『個人名を書かずとも当選できる人』が両立することになります。これ、複雑この上ないと思うんですが。

前回の参院選で渡邉美樹氏を巡って、比例代表制の仕組みが複雑ということが露呈したように思うのですが(参考『渡邉美樹の当選防止方法』)そこに更に新しい骨組みを付け足すのはどう考えてもさらなる混乱を生むのがオチだと思います。

こんな面倒くさい事するならば、非拘束名簿式の比例代表制をやめて拘束名簿式の比例代表制に統一すればいいんじゃないんでしょうか?(個人的には非拘束名簿式のままでいいと思いますが)

こうやって『一票の格差』だとか『党内事情』でつぎはぎだらけの選挙制度が出来ていくというのは非常に日本らしい(ウヨに日本ヘイトとか言われますかね?これ。)のかもしれませんが、きちんと『参議院はどういうポジションに置くのか』という事を考えないと、参議院不要論ではないですけど、参院の選挙制度改正がアホの『歳費の無駄!』論を加速させる事になりかねないと思うんですが…

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