ブラック企業は国籍を超える

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NEXT 未来のためにというNHKのドキュメンタリーにて、5月ごろに『中国人社長がやってきた』というなんとも中国への偏見を促しそうなタイトルのものが放送されていまして、先日内容を確認したんですけどその内容が、元のタイトルによって『中国資本への偏見』に囚われてしまってはいけないような、どんな会社にも適用できる普遍的な教訓がそこから導ける内容なのではないか?と思うものでした。

まず、どのような内容であったか書き連ねてみます。

番組の内容

修善寺にある滝亭というホテルが、中国資本の旅行会社により買収されました。そのホテルは買収までの数年は赤字になっていたのですが買収後も雇用や賃金は維持。
その後、買収した旅行会社により中国人客が大勢増えることで、客室の稼働率が買収前の2倍近くになり、買収から2ヶ月で黒字に転換しました。

旅行会社の方針により、おみやげ屋に置いてあるものも地元のものにこだわらず、北海道のじゃがポックルや、カキ肉エキスのサプリメントなど中国人客にウケが良い物に変更。
また、食事の出し方も一品一品出すスタイルから、中国人客には全品最初に一気に出すことで豪華さをアピールする方向に変更。

その一方で中国人客が増えたことで、これまで相手にしていた日本人客の予約を断らないといけないような場面も増えてしまったり、どうしても日本人客向けのサービスが疎かになってしまっていました。

さらに、買収前より客は増えているのに、従業員数は変わらず。そして本社の厳しいノルマが、本社から送り込まれた副社長により現場に。
例えば、売店は売上を前月より上げる事を求められ、料理担当の人たちにはお昼のランチ営業をするように求められました(一応達成報酬はある)。

この現場の負担増に『全員に負担がかかってくるから、考えてやっていられない』というように現場が疲弊。

そこで、接客責任者の方が何度も副社長に『人を増やしてくれ』と訴えても、無視され続ける始末。

接客責任者「『できない』という事に対して、会社からは『なんで出来ないんだ』と言われ、『人が居ないからです』と言っても理解してくれない」

そんな従業員が体力的、精神的に一杯一杯な状況を受けて、何度も従業員を増やすことを訴えた接客責任者は最後の賭けとして副社長に『辞表』を提出。

しかし、副社長は『ホテルの仕事と、彼のやりたいことが一致してないのだろう。一致しているのなら、ここで頑張ることを選ぶはずだ』と待遇のことなど見向きもせず冷たい対応に終始。

接客責任者「心のこもったことをやろうという気持ちはあったが、今は人が居ないし、どうしていいのか僕らにもわからない」

その後、このままだと辞表が受け取られてしまうことを危惧した部長が「彼が抜けたら現場が回らない」と副社長を説得する。

しかし、『もう辞表のことは社長に話がいっている』ということで、接客責任者に対し『本当にこの会社に残りたいのだったら、一ヶ月パートで施設清掃をしろ。その対応ややる気を見て正社員に戻すか検討する』というひどい条件が突きつけられ、接客責任者は『なんなんだこの会社は』と退職。

その後、(従業員約50名中)5名が相次いで退職する事態になりました。

その現場の混乱の一方で、中国人客はどんどん増え、滝亭が受け入れきれない客を他のホテルに紹介することで地域経済も潤っていくように。

そして滝亭が過去最高益を出しそうだということで、本社の社長が現場を視察に。

その際、現場で不満が出ていることを聞いていた社長は従業員一人一人と面談。

その面談の際に従業員から口をそろえて出た訴えは『人手が足りない』というもの。

しかし、それを聞いた社長はNHKの取材に対し次のように答えました。

『売上が上がっても、従業員を増やせば利益が上がらない』
『僕が幼いころから知っている日本は、労働生産性が高い国だよ』

結局、新たな従業員を雇うことはなく、中国の本社から、中国人の若い社員が3名送られてきたのみでした。

 

そして、現場はその事実を受けいれ、中国人社員に一から日本のやり方を教えるように。

一方で退職した元接客責任者は、ハローワークに通った結果、別なホテルで部屋の仕事を一から学ぶことに。

そして中国人社長は新たに買収するホテルを視察に動いていたのでした。

 

感想

冒頭にも書きましたが、この話、『中国資本に買収された』という前提を無くしても、普通に通用しそうじゃないですか?

例えば、自社の利益ばかり追求する会社が、ホテル経営に乗り出して、現場を無視して本社の方針を押し付けて現場が疲弊・混乱して・・・という事を考えてみてください。

日本の大資本でもこういう事ありそうじゃないですか?(幾つかそういう噂を聞いています)

そもそも買収なんかされなくても、社長が利益ばかり見てるような会社ってこういう感じになりませんか?ブラック企業ってそういうことも揶揄した言葉じゃないんですか?

この中国人社長が述べている『僕が幼いころから知っている日本は、労働生産性が高い国だよ』って、要するに日本はバブル期からブラック労働が蔓延していたでしょ?と言っているんでしょう?その通りなんじゃないんですか?サービス残業当たり前とか、そういう労働をしていたから経済成長できたんだ、なんてクソみたいな話もあるじゃないですか。

そういう日本の体質の問題もあると思いますし、中国人社長ということにとらわれ過ぎないほうが良いと思います。(社長の言い訳は最悪ですけどね。)

どこの国の社長だろうが、こういう『利益追求、現場無視』な経営方針を取る社長は存在していますし、個人的には日本には蔓延しているように思います。

そういう実態を無視して、こういう番組だけを見て『中国資本許すまじ』みたいな偏見を抱くのは良くないのではないかな、という事を考えました。

国籍関係なく『ブラック企業許すまじ』です。

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