沖縄県知事選挙が2026/09/13に投開票されました。
それ関連で考えたことを書き残しておきます。
いくつもの報道機関がSNSについて記事を残すくらいには、今回も荒っぽいことになっていたというか、どうしようもない言説がたくさんあり、それが現実の選挙戦に一定の影響を及ぼすようになったように見えました。
今回の沖縄知事選では、候補者に関するデマや 誹謗ひぼう 中傷がSNS上で飛び交い、各陣営が対応に追われた。
(中略)
古謝、玉城さんの各陣営によると、玉城さんへの批判的な内容が圧倒的に多く、中には玉城さんがロードローラーのようなものにひかれるAI作成とみられる動画も拡散した。
沖縄県知事選挙:SNSに候補者のデマや中傷多数、玉城氏への批判が圧倒的「見えない敵との戦いに追われた」 : 読売新聞
各陣営はSNSに神経をとがらせている。
古謝陣営の選対幹部は「火種が広がる前に打ち消すことが重要」とし、誤った投稿を見つけ次第、選対メンバーの各議員らが自身のアカウントで否定したり、削除を求めたりしている。幹部は「野放しにすれば虚偽情報の拡散に歯止めがかからなくなってしまう」と警戒する。
玉城陣営はXで12万人超のフォロワーがいる玉城候補のアカウントによる情報発信が「最も効果がある」とする。3月に辺野古沖で女子高生らが死亡した小型船転覆事故を巡り、移設に抗議する団体が船を運航していたことから、ネット上で移設反対の玉城候補に「共犯だ」などと中傷する投稿が相次いでおり、「悪質なものには踏み込んだ対策をしていく」としている。
沖縄県知事選挙:デマ拡散、AI作成の偽ポスターや発言のすり替えも…陣営「野放しにすれば歯止めがかからなくなる」 : 読売新聞


沖縄で選挙やらなにやらがあるたびに、色んなところから反日だ国の言いなりだなんだと罵詈雑言が飛んでくるのは、冷静になるとある意味『見慣れてしまった光景』だったのかもしれませんし、昔だったら怪文書が飛び交う選挙戦というある意味慣れた光景だったのかもしれません。



しかし、そういう話題単独でここまで選挙戦を支配したのは、なかなか記憶にないものです。(ここ数年は各地の自治体首長選挙で起きがちですが。)
それが今回の沖縄県知事選挙でなぜ起こったのか?
それは様々な理由が重なった結果でしょう。そもそも沖縄には、基地の問題。オール沖縄VSチーム沖縄。辺野古での事故。中韓や日本政府との関係などなど、色んなイデオロギーの方の目を向ける材料がたくさんあります。
また、右派的には「左翼による支配」というストーリーを1の実態を10まで膨らませて妄想するということがしやすい状況であったことも大きな原因でしょう。
しかし、(いつもながら)SNSから飛んでいく沖縄への言及は地域差別を含む酷いものが多く、その結果、兵庫県知事選挙や宮城県知事選挙のように真偽を一々見分けていられないほどの発信量に加え、地域差別的な視点も加わり、更に酷いことになっていたように思います。
よく保守系の勢力が基地反対派を揶揄する言葉として『県外から来た活動家が云々』と言い出すことがありますが、今回のインターネットによる混乱こそ県外の活動家が様々な点で焚き付けられて集ってきた結果としか言えないのではないかと思います。
今回の沖縄県知事選挙で多く見られた動画の大半は沖縄県外の方による動画です。(下手したら視聴者も殆ど県外の人だったのではないか)
琉球新報は先月27日の告示後1週間の間に投稿されたユーチューブの動画2871本を分析。再生数上位30本のうち、公開データで発信元を確認できた18本(6割)は全て沖縄県外からの投稿だった。残り12本も過去の投稿内容から県外の可能性が高く、地元発信と確認できる動画はなかった。上位30本で全体の再生数(約5020万回)の約35%を占め、うち20本は現職に否定的な内容だった。
神戸新聞が調べたところ、この上位の中に、兵庫県知事選でも多数の動画を投稿していたアカウントが複数含まれていた。沖縄県知事選関連で再生数1位(告示後1週間で約490万回)の「おみそちゃんねる【世界どん深闇ニュース】」は、動画内で沖縄の基地反対運動を批判。兵庫県知事選前には「姫路港の改革に手をつけようとした県知事は利権者の激怒を買い、マスメディアから総たたきにあっている」と不正確な情報を発信した。兵庫県絡みで30本以上の動画を上げ、いずれも10万回以上再生されている。
再生数2位(同約246万回)は、ジャーナリストの須田慎一郎氏らが出演する「真相深入り!虎ノ門ニュース」。兵庫県知事選前から多くの動画を配信しており、知事選で「二馬力選挙」を展開した立花孝志被告と対談する動画や、須田氏が応援演説に立つ動画を選挙期間中に上げていた。(中略)
ユーザーローカル社のSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」を使ってXの投稿状況(リポストを含む)も調べた。
「沖縄県知事選」は10日時点で約150万7千件の投稿があり、約9割が沖縄県外の発信だった。中には新人候補のポスター風の偽画像や現職を中傷するような動画もあり、人工知能(AI)を悪用したとみられるケースもあった。一方、「兵庫県知事選」は投開票日を含め18日間の期間中に約74万1千件の投稿があり、約8割が兵庫県外発信。「宮城県知事選」は約19万6千件の投稿で、こちらも発信元の約8割が地元以外だった。
沖縄知事選、荒れるSNS 動画、Xの大半が県外発 AI悪用し中傷拡散 兵庫知事選と重なる投稿者も|社会|神戸新聞NEXT
このように殆どが沖縄県外からの発信。そして沖縄県外から来た人たちの一部は、視線が沖縄ではなく中国や日本政府にしか向いていなかったりしますし、沖縄県民を平気で侮辱するような発信も当然ありました。



一番最後に画像を貼った北村晴男参議院議員は、古謝氏を推薦した日本保守党の参議院議員で、応援演説もしていた人物です。

日本保守党は、右派の荒っぽい言説を取り込み、撒くことで支持を得るタイプの政党であり、この勢力の参戦がSNSの荒れ具合を加速させたであろうことは容易に想像ができます。(参政党の推薦も古謝さんは受けていて、これもまた悪影響であったと思われます。)
事実に基づく政治家への批判と、無根拠なデマとは厳然と区別されなくてはなりません。
なにより、対立候補の古謝玄太氏は、本土のネトウヨや陰謀論勢力(日本保守党や参政党も)と組む形、つまり意識的に石川や宮城の知事選と同じ構図を作り出すことで現職を叩き落とす選挙ハッキング戦略を取っているといえる。もちろん私は沖縄に対しては部外者ですが、内心では「デニーさんかわいそう」とは思っています。彼もダメはダメだけど、相手のほうがもっと道義的にダメじゃね? と。
中国の認知戦よりネトウヨのデマの方がよっぽどやばい沖縄県知事選 | 安田峰俊の”どこにでもある中国”
このハッキング戦術について、どこまで計算だったのか気になります。
ちなみに、古謝氏のSNSを見ていたところ、俺だったらそのアカウントはリツイートしないな…という荒っぽいアカウントを数ツイートだけリツイートしていましたが、リツイートしたツイートの内容自体は無難なものであり、かつ数も多くないしで何らかの意図はなさそうではあります。




ちなみに関係者の一部でもどうも両党の言動が不満や不安視されていたようですが。
とはいえ、「保守政党相乗り選挙」には副作用も伴う。関係者によると、県医師連盟からはワクチン接種に懐疑的な参政の陣営参画への不満が漏れる。2日に那覇市で開いた総決起大会では日本保守の国会議員が「戦後80年を経て被害者意識にさいなまれる県政」とやゆし、自民関係者は「余計な発言だ」と顔をしかめた。
沖縄県知事選、「国と沖縄の距離感」が争点に浮上 投開票まで1週間:時事ドットコム

しかし、北村晴男の発言を余計な発言としていますが古謝氏の「だれかのせいにしない沖縄をつくる」というのは遠回しに北村晴男氏と同じ事を言っていて、それを全部玉城デニー県政の姿勢を批判しているような形にして誤魔化して言及していたような印象があります。
古謝玄太 候補
「討論会をする中で、(沖縄の)課題が解決しないことに対して、国がちゃんと向き合ってくれないんだとか、あるいは大企業が搾取しているんだみたいな形の話がよく出てきまして、ここが自分の主張と違うところなんだなと思ってですね―」「戦争体験だとか、その後の27年の米軍の施政下に置かれているなかでは、もう理不尽なことがたくさんあってですね、先人の皆様には敬意を表しつつ、次の時代を見つめる中では、そろそろ自分たちで自分たちの責任としてですね、そういう時代を作っていってもいいんじゃないかなと―」
【沖縄県知事選挙】候補者の横顔① 古謝玄太候補「誰かのせいにして、今を諦めるのはもうやめましょう」 | TBS NEWS DIG (3ページ)
そういうところで日本保守と共鳴していたり、参政党の歴史認識についてだんまりだったりしたことが(そりゃ目の前の選挙に勝つためにはそうせざるを得ないだろうが)、沖縄の有権者への県外からの差別的な言及を促したような気がしてなりません。
同党の神谷宗幣代表は、沖縄「慰霊の日」(6月23日)の街頭演説で、県民の4人に1人が命を落とした沖縄戦は「しょうがない」と放言し、怒りが広がりました。
古謝氏は神谷氏と動画投稿サイトユーチューブで対談し、「政策協定の中に歴史認識は入っていない」として、問題視しない姿勢を示しました。さらに、記者団から選挙後の参政党との連携を問われ、教育について「意見交換しながら進めていければ」と述べました。同党は「自虐史観を捨て、日本に誇りが持てる教育」を政策に掲げています。
参政党以上に露骨な排外主義を掲げている日本保守党も古謝氏を推薦。同党の北村晴男参院議員は2日、古謝陣営の総決起大会で「戦後80年を経て被害者意識にさいなまれる県政をやめにしよう。(古謝候補のスローガン)『沖縄を前に』とはそういう意味だ」と訴え、事実上、戦後沖縄の歴史観を全否定しました。ところが、古謝氏はこの発言についても、「大丈夫」だと述べ、容認しました。
8月29日には、「大東亜戦争奉慰顕彰祭・講演会」と称したシンポジウムが豊見城市内で開かれ、名うての極右排外主義者が相次いで発言しました。主催した仲村覚・日本沖縄政策研究フォーラム理事長は、「沖縄の自虐史観の書き換え」に言及、「なんとしても古謝候補に勝ってもらいたい」と訴えました。
沖縄知事選 古謝氏 極右と連携強化/排外主義・歴史否定の野合 | しんぶん赤旗|日本共産党
シンポジウムは当初、古謝氏も出席する予定でした。主催者は、古謝候補は「集会に大変強い意欲」を持っていたと紹介され、会場では古謝陣営の法定ビラが配られました。
あと、個人的には、ひたすら沖縄に関する悪い数字を並べて変えないとわかってるよな?と言わんばかりの広告を打ってるのも気になりました。神谷宗幣氏も『皆さん自分たちのことをちゃんと考えてくださいね。』と脅しのようにお前らが考えろと言う演説をしていましたが、似た匂いを感じます。


こうやって、荒れた選挙になってしまうと、一番困るのは有権者である県民の方々でしょう。
また、何かを指摘されたときに正当な指摘であるかどうかも分かりづらくなりますし、正当な指摘であっても感情的に受け入れづらくなってしまうでしょう。そういう意味で色んなものを停滞させてしまう、話が進まなくなってしまう、相手の話を聞く気が失せてしまうことがこういう事態の悪いところです。
それをどうにか乗り越えようとするイベントが現地では行われているようです。
ですが、県外から色々撒き散らして、自身を勝った側にいると認識しているSNS活動家の方々は開票前日に『あいつらデマのせいにするぞ(キャッキャッ)』みたいなノリで喋って相手が機能停止していることを大喜びしていたり、下妻市長の亡くなり方への陰謀論と絡めながら古謝さんが左翼に殺されると言い出してみたり、次は埼玉県知事選だと怪気炎を上げていたりと、色々賑やかなんで、こういうSNS活動家の群れに対して今後どういうスタンスで対象すべきなのかというのが、本当に日本の民主主義の大きな課題になるのだろうと思います。




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