自民党らしいヘイトスピーチ定義

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有田芳生議員が、自民党が提出するヘイトスピーチ解消法案の未定稿をTwitterにアップしてくださいました。

具体的内容はまた今後触れますが、とりあえず、(悪い意味で)自民党らしいなぁ、と思ってしまったのは、ヘイトスピーチの定義です。
(少し前にニュースソースを元に記事を書きましたが、それとは違う記述が見受けられるので、そこに今回は触れます 自民党のヘイトスピーチ定義が杜撰 | 興味乱舞に引きこもれず

アイヌは?

法律上ではヘイトスピーチを『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』と書いています。この時点で本邦内出身者と言えるアイヌ民族はこの法律の枠外です。

アイヌ民族に関しては『文化の振興』や『伝統等の知識の普及や啓発』に関する法律はあるものの、民族自体への差別等に関する法律は存在していないので、底に気を使って欲しかったようにも思います
(ただし、自民党の地方議員にアイヌ否定論者が存在していたり、支持者の中に「アイヌ利権」を大騒ぎする輩がいるので、自民党としては触れることは不可能なのだろう、とも思う)

適法に居住?

未定稿の法律案では『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』の具体的定義が示されており、その内容は

もっぱら本邦の域外にある国又は地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下「本邦外出身者」という)に対する差別的言動を助長し又は誘発する目的で、公然と、その生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動

となっています。

この記述で非常に気になるのが定義にわざわざ『適法に居住するもの』という記述が書き込まれていることです。

この記述をわざわざいれこむこと自体が本邦外出身者への差別的意識に基づいているように思うんですよね。

あと違法に居住していた場合は差別的言動を浴びせかけてもいいんですか?という話にならないのかと思うんですよね。
例えば、一時期話題になった『カルデロン一家』に対して学校周辺に追放デモなどを仕掛けていたのが、現在もヘイトスピーチの中心的存在である在特会だったわけで、この事件の活動で会員が急増したとも言われています。
鼎談・ヘイトスピーチと「在日特権」の妄想と虚構3(藤井誠二) – 個人 – Yahoo!ニュース
今回の自民党の定義によると、このような違法か合法かが争われている際に違法であることを主張することなどを利用して差別的意識を煽ることは、セーフになるのか?と。

色々と疑ってみる

朝日新聞の記事によると厳格な定義付けを求めたのは公明党である、とのことですが、厳格な定義付けに対して自民党が述べていた「定義を狭くすれば抜け道が出来る」という言い分のほうが、(この定義を目の前にすると)正しかったのではないかと考えてしまいます。
ヘイトスピーチ、抑止へ法案 自公、「差別」の対象絞る:朝日新聞デジタル

ただし、定義を曖昧にしたい自民党の思惑というのも要するに『権力のフリーハンド』を手にしたいという一面があるんだろうと思うわけで、非常に悩ましい話でもあります。

例えば、自民党の長尾たかし議員がTwitterで『法案では米国軍人に対する排除的発言が対象』と常々反社会運動とバッシングしている沖縄の市民運動を鎮圧するための名目として使う事を宣言するなど、気に食わない反権力などの鎮圧に利用される可能性も高そうです。

こう見ると、今回の法律は『適法じゃないことをしたら、何されても文句言うなよ』という宣言のようにも見えてきます。

まとめ

よく『どんな正義も暴走する』なんて言葉がありますが、それは単に『正義を利用して好き勝手に振る舞う』という話なんじゃないのかと思うんです。
もっと言うと『誰もが自分の正しさを証明するだろう』という程度の話でしか無いと思うんです。つまり正義自体が悪いわけではない、それを使う人間が問題なんだ、と。

で、今回も『使う人間が問題』という話が出てきた、ということなんだろうと思います。正義を使い正義を実現するのではなく自己の利益を実現する。そういう輩がまた出てきたのではないか?という疑惑の目を向けるのが、これからも必要なのだろう、と思う今回の自民党のヘイトスピーチ解消法案の未定稿の内容でした。

(よくこの『自己の利益』を『正義』とみなして『どんな正義も暴走する』という人を見かけますが、自己の利益は自己の利益であり、それは正義に便乗しているだけでしょう?その見極めをポイ捨てしたらダメだと個人的には思います)

 

 

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