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自殺統計を雑に扱う経済学者、二人目

2017/12/24 全期間:241views   直近一週間:views  直近一ヶ月:2views

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そもそも田中秀臣氏の『民主党政権よりもアベノミクスが上回っている』というのが政権全体VS政権内の一経済政策を比較するという、正直ナンセンスな比較だと思うんですが、それは別として、この田中秀臣氏の自殺動機の認識は非常に雑、そして印象操作にあふれている、ということをこの記事では論じていきたいと思います

事前に見ておきたい知識

論ずる前に、基本知識として、まず実際のグラフ、そして実際の数字をご覧ください。

無題2
(内閣府ホームページ、自殺対策白書『原因・動機別の自殺者数の推移』より転載)

無題

それと、もう一つ、政権の期間を確認しておきます。

麻生政権はH20年9月24日~H21年9月16日まで。また、第二次安倍政権はH24年12月26日から始まっています。つまり民主党政権(ここで総理別にならないのが、個人的には政策を見る際の一つの鍵のような気もしますが、それは別な話)はH21年の9月16日~H24年12月26日まで成立していたものとなります。

以下、論述

先程の田中秀臣氏のツイートの文章で、確認すべき点は以下の部分です。

  • 前者(経済・生活動機)は麻生政権のときから民主党政権の一年目で大きく上昇。二年目で麻生政権並みに以後は減少。
  • 後者(勤務動機)は民主党政権になって増加、以降も基本増加。
  • 安倍政権は経済・生活動機、勤務動機ともに大幅減少。

まず、この文章で突っ込みたい部分は経済・生活動機について語っている文章の『民主党政権の一年目』ってどこのこと?ということです。先ほど記述したように、麻生政権が9月まで続いているので、民主党政権は9月スタートになります。更に、前政権の麻生政権下で予算は成立している等、実質民主党政権の独自色が出てくるのは翌年以降と言えると思われます(既成予算がきっちりと使われるかどうかでも、政権色は出てくると思いますが)
つまり、もしこの民主党政権の一年目というのが先程のグラフの『H21年』を規準としているのなら、大きな間違いを侵していることになるとおもわれますが、この田中秀臣氏の記述は、ほぼ、その大きな間違いとなる想定と一致します。なのでひとつ目の確認点は誤っている可能性が高いといえます。
(動機別は月ごとのデータもあり、かつ動機にはもっと細い理由の部分があるのですが、月ごとはバラバラのデータになっているため、一つの表にするのが面倒くさい、また細い部分の検証も面倒くさいので今回はそういう検証はしません。ご了承ください。)

また、3つ目の安倍政権は大幅減少という記述は、グラフと数字を見ることでわかると思うのですが、印象操作としか言いようがありません。
先ほど書いたように安倍政権はH24年の12月16日スタート。そして予算案は翌年1月に閣議決定された補正予算からスタートです。つまりH25年から安倍政権下のデータと見るのが正しい。

そうすると、まず、経済・生活動機の部分のH23年→24年(民主党政権最終年)の変化とH24年→25年(安倍政権初年)の変化を比較してみると、前者が1187人減(約18%減)に比べ、後者は583人(約11%減)であって安倍政権下の減少を大幅減少というならば、民主党政権のほうが大幅減少しているんです。

更に勤務問題の場合もH23年→24年の時点で減少はスタートしてるので民主党政権下でも減少していることがわかると思います。減少の幅を比較するとH23年→24年が217人減(約8%減)、H24年→25年が149人減(約6%減)と減少の幅は民主党政権最終年のほうが多いのですね。要するに『以降も基本上昇』と『大幅減少』の二つは誤りと言えると思います。

ここまでで、先程の確認すべき点とした3点に全て誤りと言える部分が含まれていることを確認しました。つまり少なくとも田中秀臣氏の自殺統計に関する認識は誤っている、自分の主張のために捻じ曲げてしまっていると言えるのではないでしょうか?
(そもそもアベノミクスと民主党政権を比較している事とか、アベノミクスの反論に自殺者数とか持ち出してきている時点でナンセンスな議論だと思う、と言うのは最初に言った通りです)

最後に

時系列すらまともに見れなくなった、高橋洋一

自殺者統計について触れるのは、上の記事に続いてこのブログでは確か二度目だと思うのですが、自殺者統計を用いて政権の政策を評価するというのは正直非常に難しいと思います。

何故かと言うと、そもそも自殺者数の単純な増減はわかっても、詳細な動機というのはわからないことも多いんです。平成26年度でいうと、動機がはっきりしているのは25,533人中19,025人。6402人(約25%)の動機は不明なままです。

更に今回の例で言うと、単純に経済・生活問題や勤務問題という動機の数字が増減している場合でも、実際にはもっと細い理由付けが統計では取られています。

経済・生活問題(倒産、事業不振、失業、就職失敗、生活苦、多重債務、連帯保証債務、その他債務、借金の取り立て苦、自殺による保険金支給、その他)
勤務問題(仕事の失敗、職場の人間関係、職場環境の変化、仕事疲れ、その他)

このような細い理由を見て、これがどうやって、政権の政策と関連していくのだろう、というかなり詳細な動機分析が必要になってくるように思うのです。

そういう部分をすっ飛ばして『自殺者減った。ヤッター\(^o^)/』みたいな分析でも良いのかもしれませんが、個人的にはもう少し関連した部分を見ていく必要があると思います。

そして『自殺者減った。ヤッター\(^o^)/』という単純な分析すらおぼつかない一部の経済学者さんは、どうかしてると思います。
(おぼつかない経済学者さんは、現在、高橋洋一、田中秀臣という二例なのですが、二人がどちらもリフレ政策推進者なのは偶々なんでしょうか?)

 

※この記事は@Fascist_nさんの情報提供きっかけで書きました。提供ありがとうございました!

 

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