ブラック企業の発生メカニズム

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近年、「ブラック企業」という言葉が流行っている。昔から労働者を酷使して、使い潰すような企業はあった。産業革命のころのイギリスでも、明治時代の日本でも、当時の本や政府の報告書を見ると、そんな事例が山のようにある。しかし、最近、ブラック企業が問題になっているのは、これとは性格が違う。
どこが違うか。一番明確なのは、いまの日本にしろ、どの先進国もそうだが、産業革命から100年以上たって、きちんと労働者を守る仕組みは確立していることだ。少なくとも法制的には、労働者を酷使して使い潰すなどという無茶はできないことになっている。
なのに、なぜブラック企業がまかり通ってしまうかといえば、いまの若者たちは労働者の権利を知らないからというのが、よく言われる説明だ。だから若者たちに、自分たちにはどんな権利があるか、きちんと教えなければいけない、労働法教育が必要だと言われる。実をいえば、筆者も関わって厚生労働省で労働法教育の研究会を始め、議論したこともある。若者が労働者の権利を知らないが故にこうなってしまっている。だからきちんと労働者の権利を知らしめていこう。そういう報告書も出されている。しかし、問題はそう単純ではない。

日本型ブラック企業を発生させるメカニズム

ブラック企業というものを語るときに、この論文に書いてあるような内容は基礎知識として抑えておく必要があると思う。

それまでは労働者側にとってメリットが有った見返り型滅私奉公から、基礎体力のない企業にまでその制度が適用されてしまったり、『会社人間になるな』と自立を煽り経営者にとって都合のいい部分だけ企業に頼らないようにする風潮が出来上がったりなどした結果、メリットである見返りが抜け落ち、労働者にとっては全くメリットのない、見返りのない滅私奉公と化したことが、ブラック企業と呼ばれる現象が生み出されるという結果につながっているのだと。

一時期『トリクルダウン』なんて言葉が流行ったが、それにはきちんと労働者がメリット(トリクルダウンで言う“滴”)を受けられる仕組みを構築しなければいけないと考える。トリクルダウンは自然と起こるものではなく、仕組みを作って起こすものだと考えるのだ。

そのトリクルダウンを起こすためにも、このような事実認識をキチンと持って、労働環境の再構築を行うことが必要なのだろう、と個人的には思うのです。

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