安倍総理メルマガ訴訟にて気になる報道の焦点のズレ

この記事のアクセス数
466PV
この記事は約4分で読めます。
記事内にアフィリエイトリンク等の広告が含まれています。

永谷典雄裁判長は「記事は事故対応の詳細が判明する前に発信されていた上、菅元首相の資質や政治責任を追及するもので公益性があった」とし、菅元首相の訴えを棄却した。

菅元首相、安倍首相に敗訴 メルマガめぐる名誉毀損訴訟 – 産経ニュース

 

永谷典雄裁判長は、「記事は重要な部分で真実だった」と認め、菅氏の請求を棄却した。

判決は、原子炉を冷やすための海水注入について、「菅元首相には、東電に海水注入を中断させかねない振る舞いがあった」と認定。

安倍首相メルマガ訴訟、菅元首相の請求棄却 東京地裁:朝日新聞デジタル

 

永谷典雄裁判長は、菅氏に東電の海水注入を中断させかねない振る舞いがあったと指摘。「野党議員だった安倍氏が首相の責任を追及したもので、人身攻撃とはいえない」と述べた。

東京地裁、菅元首相の請求棄却 – 共同通信 47NEWS

請求棄却ということになりました。

気になる点が2つあります。

1,報道機関がどこに注目しているか?

個人的に面白いな、と思ったのは、産経新聞が『中断させかねない振る舞いがあったと認定された』事を速報で触れていないで、朝日新聞がそれについて触れて、逆に『発信の時期』などの他の理由について触れていない事です。

ニュースバリュー的に産経新聞には『振る舞いがあった』ことは(読者は当然に抑えているだろうから?)重要ではないと判断し不掲載で、朝日新聞には『振る舞いがあった』という事を指摘することが重要だと判断したということなのでしょうか?

この判断の違いが興味深いなと。

 

2,記事は重要な部分で真実だった?

朝日新聞の記述では『記事は重要な部分で真実だった』と認めたと書かれています。

重要な部分とはどういう部分なのでしょうか?菅直人氏が激怒していたとかそういう部分でしょうか?

正直言って、今回の裁判『過去の記事だし、野党だからある程度推測になるのは仕方ない。その後削除しているし、謝罪は不要』みたいな話だったら、納得できるんですよね。

でも、ここで『真実性』という部分に踏み込むと、ややっこしい感じになると思うんです。

で、菅直人氏のブログに当時のメルマガの記事のスクショがあるので読んでみました。安倍晋三議員の虚偽メルマガ|菅直人オフィシャルブログ「原発ゼロと平和な未来」の実現を目指して Powered by Ameba(ここからは判決文などを読まないと性格なことはわからないので推測です。)

たぶん、この5月20日のメルマガについて、裁判所は『菅直人総理が指示したとは書いていない』という判断を下したのだと思います。

原文が『官邸に報告したところ、菅総理が「俺は聞いていない!」と激怒。 官邸から東電への電話で、19時25分海水注入を中断』となっていて、要するに『激怒した菅総理を慮って官邸から東電に電話した奴がいたんですよ~』みたいな話をしているという主張だと見たのでしょう。

そこで、激怒していなくても『慮ってもおかしくないよね』で『重要な部分で真実』と言ったんだろう、と思います。また、中断されていなかったことはこのメルマガが発信された後に東電が発表(福島第1原発:注水「中断なかった」…所長判断で 東電(毎日jp))しているので『(書かれた当時)知り得なかった事実』となるのだろうなと。

(当時、その電話をした武黒フェローは「当時の菅総理大臣への説明が終わっていなかったため、理解を得てから行うのが重要だと思い、いったん止めるよう連絡した。現場の所長らに負担をかけ、混乱を招いたことを申し訳なく思っている」と謝罪している)

5月24日のメルマガには堂々と『菅総理の発言により注入は中断させられたと考えれば、全てはつながります』と書いていますが、これは朝日新聞などの報道でも『5月20日』のメルマガの内容が取り上げられているので、証拠として採用されていない(提出されていない)ということなのではないでしょうか?

(5月24日の方には『菅氏が知らない。もしそんなことが起こったとすれば現政権は政府の体をなしていません』という記述もあり、公益性という点はきちんと満たすような気がします。)

 

というわけで、今回の件で、私は『安倍晋三氏には、こんなにうまく名誉毀損をかいくぐるメルマガを書いてくれる人がいるのに、フェイスブックが散々だったのは何だったんだろう』という感想と、『この公益性という点を、逆に現在の野党がどんどん武器にできればいいなぁ』という感想を抱きました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました