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明石市長選挙で泉房穂市長が再選した

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このブログにて上記の記事で触れていた泉房穂氏が、明石市長選挙に、立候補要請の署名を受け取るという形で出直すこととなり、見事に圧勝しました。

この結果、4月にもう一度明石市長選挙が行われることになります。そのことについて税金の無駄なんて批判があるようですが、私はそうとは思いません。
それの賛否含めての投票ですから。

それよりも私が不安なのは泉房穂氏の代わりが存在しないまま、比較的強い民意を手にしてしまったように見えることです。

今回、泉房穂市長は、初当選、2選目の時は5万票超だったのですが、今回はそこから3万票上積みした8万票を獲得して当選しました。

そのような得票になぜなったのか、というのは、下記の神戸新聞の記事を読むと多少察することができるのではないかと思います。

まず、今回泉房穂市長の対抗馬として出てきたのは、前市長と共産党の公認候補でした。

各々どのような主張をしていたのか、ここでは、上にリンクした神戸新聞の記事と、日本経済新聞の記事を引用します。

泉氏は選挙戦で「選挙結果にかかわらず、人として許されない」とおわび行脚を展開。一方で、6年連続の人口増など地域活性化の実績をアピールし、「子ども施策の充実で生まれた好循環を、ほかの分野にも広げる」と訴えた。

 泉氏は支持政党を問わず、子育て世代を中心に幅広い年代の支持を集めた。

 前兵庫県議で元明石市長の無所属北口寛人氏(53)は子育て施策の継続を訴える一方、「泉市政は高齢者に冷たい」と強調し、近隣市町との連携も掲げたが、及ばなかった。元兵庫県議で共産新人の新町美千代氏(71)は「市役所からパワハラを根絶する」と暴言を批判。介護保険料の引き下げなども訴えたが、支持を広げられなかった。

神戸新聞NEXT|総合|明石市長選、泉氏が3選 「暴言」批判かわす

泉氏は選挙戦で「暴言は到底許されない。反省している」と謝罪を繰り返した上で、子育て政策の実績をアピールした。返り咲きを狙った北口氏は今回の選挙を「税金の無駄」と批判。新町氏はパワハラ根絶を主張したが及ばなかった。

明石市長に泉氏3選 暴言で辞職、出直し選: 日本経済新聞

これを踏まえた上で、今回の結果はなぜ生まれたか。

まず、新町候補は市長のパワハラについて批判をしていますが同時に政策路線の修正も主張しています。共産党の掲げる政策があるわけですから当然でしょう。

一方、北口候補は「今回の選挙は税金の無駄」以上にパワハラ問題には直接的にはあまり言及しなかったようです。
あの暴言の録音流出は泉房穂市長を追い落とすために前市長が仕掛けたのでは、なんて疑惑を抱いている人がいたために触れられなかったのでしょう。
実際、神戸新聞急転 明石市長選【下】には市役所の外に音源を持っている人がいて、出すタイミングを図っていた可能性があることが書かれています。

その疑惑を避けるために、パワハラ問題批判の代わりに、市長の政策路線を修正することを選挙活動では掲げていたようです。
(ちなみに北口候補は、前市長時代にたこフェリーに関することで議会に嘘をついたこともあり、そういう点でも人柄バトルは分が悪いという判断があったのかもしれません。)

辞任の発端や当初の選挙の構図は「パワハラ問題の是非」を問う形の選挙になりそうだったのが、なんだかんだで結局、パワハラ問題より「泉房穂市長の現在の政策の路線を修正すべきか否か」に論点が移っていたのではないでしょうか。

そういう意味で朝日新聞がこの選挙結果について「両氏とも子育て支援や高齢者福祉を中心に訴え、泉氏との違いが明確にならなかった」と書いているのですが、今回は真逆で、泉房穂氏との違いが明確だったからこそ、パワハラなどのマネジメント問題や人柄を問うような選挙にならなかったのではないでしょうか?

録音には「市民の安全のためやろ」との発言もあり、市役所には泉氏を擁護する意見が批判より多く届いた。一方、パワハラ問題の専門家は「目的の正しさで暴言を正当化するのは危険」と指摘するなど議論を呼んだ。
 泉氏は告示3日前に立候補を表明。辞職後、怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントの勉強会に通ったとし、選挙戦では「(暴言は)選挙結果で許されるものではない」と謝罪を繰り返した。
 泉氏は2期8年で、中学生までの医療費を所得制限なしで無料化するなどの子育て支援策を実現。街頭演説や集会では「人口や税収が増えた」と訴え、「税収で高齢者施策に取り組みはじめた段階。明石の未来に責任がある」と呼びかけ、出直しへの理解を広げた。
 北口氏は、泉氏の前に市長を2期務めた「即戦力」をアピール。「泉氏が当選すれば4月に再び選挙があり、税金が無駄」と訴えた。新町氏は暴言問題を厳しく批判した。だが両氏とも子育て支援や高齢者福祉を中心に訴え、泉氏との違いが明確にならなかった。

明石市長に泉氏3選 暴言問題で辞職、4月に再び選挙

その傾向は、神戸新聞の出口調査でも現れているように思います。

泉氏の暴言を「問題がある」「どちらかといえば、問題がある」とした人はそれぞれ24%、35%で、合わせて約6割が問題視した。ただ、このうち61%は泉氏へ投票したとし、暴言問題が投票行動に与えた影響は限定的だったとみられる。「問題はない」「どちらかといえば、問題がない」とした人は計38%で、このうち88%が泉氏へ投票したと回答した。
 一方、暴言を問題視した人のうち、元明石市長の北口寛人氏(53)、元兵庫県議の新町美千代氏(71)に投票したとするのはそれぞれ29%、8%にとどまった。
 投票を決めた理由は、52%が「実績・経歴」を挙げ、「人柄」が22%、「公約・政策」が20%と続いた。泉氏へ投票したとした人では「実績・経歴」が62%を占め、約半数は重視する政策を「子育て・教育」と回答した。泉氏が展開した子育て支援策が一定の評価と期待感を得たとみられる。

部下に暴言「問題」59% 明石市長選 出口調査分析

私は最初にリンクを張った過去の記事で以下のように書きました。

パワハラをしてしまう役所の指揮官としての資質が問われてしまうことで、施策から焦点がそれてしまったり、施策自体否定されてしまいかねないような状況になる前に、然るべき人を見つけ、その人に施策を引き継いで、市長自身は後見人的なポジションになったほうが良いような気がします。

この私の懸念は、短期的には間違っていました。
今回の結果は、施策自体が正しければ、指揮官としての資質、政治手法の問題、人柄の問題もポジティブな評価に転換できて吹っ飛ばせる、という事を示していると私は受け取りました。(少し考えれば「そりゃそうだ」という話ではありますが)

神戸新聞の「急転 明石市長選【中】」には市長の政治手法の強権さなどが書かれています。

 情熱的な性格の裏返しなのか、その激しい言動で泉はたびたび周囲とあつれきを生んだ。


 「明石はそんなにマイナーではない」
 18年4月、東播磨県民局が「東播磨ちゃん」という地味なアイドルを仕立てたPR動画を巡り、県民局長に電話で猛抗議した。県民局は一時、配信を停止。だが、泉への批判が相次ぎ、動画はそのままの形で再公開された。


 1期目は議会とぶつかる場面も目立った。市長選の公約だった「議員定数削減」の条例化を一方的に通告し対立。「自主的に削減する方向性が市会から示された」と主張する泉に、「事実と異なる」と反発した議会が「反省を求める決議案」を全会一致で可決した。それでも泉は「議会こそ反省すべき」と譲らず、「議会が大混乱した」と市議は振り返る。


 「自分の思い通りにならないと声を荒らげて部下をしかる。普段からそう」
 ある市幹部が明かす。
 激高してパーティションを壊した。ゴミ箱を蹴られた。今すぐ辞表を書けと迫られた……。


 市役所に精通した人であれば少なくない人が知っていた話だ。だが、情報の出どころを悟られないようにするためか、関係者が言葉を濁し、問題が顕在化することはなかった。


 市長の存在感が高まっていく背景には、人口増や中核市移行など実績を上げる中で、泉への信頼が醸成されていった面が強い。


 一方、「スピード感、適材適所」の名目で部長ら管理職を3カ月で変えたり、定期異動とは別のタイミングで頻繁に人事異動したりと強権的な側面も垣間見せた。


 「職員が常に市長の顔色をうかがうようになっていた」。ある職員は打ち明ける。
 問題となった音声データの流出も、職員のこうした不信感とは無関係ではない。

これらの政治手法と政策がセットになって「泉房穂」という候補者が形成されています。
その上で、他の候補者に「泉房穂」と全く同じ判断をします、泉房穂氏を顧問にします、というくらい「泉房穂」の政策のコピーをする候補者という選択肢が存在しない限り、政治手法と政策がセットになって問われるのは避けられません。

そのセットが解かれることがない限り、正しい政策とパワハラがセットになってしまう可能性が非常に高いでしょう。

正しい政策を掲げることで得た民意の貯金を、パワハラや強権的な手法を使うための原資にすることで、施策を進めるスピードを早める、というのが、近年世界的に行われていることでしょう。

日本で言うなれば、小泉政権の抵抗勢力、民主党政権の政治主導・事業仕分け、安倍政権の官邸主導等々、ここらへんの構図は全部そういうものでしょう。

この中でいうと、民主党政権は強力な野党の存在があったり、手法の強権さと得た施策の内容が不釣り合いだったりしたためにあっさり貯金を使い果たし、むしろ民意の大借金を背負ったとも言えます。
一方で、小泉政権は民意の貯金は自主的に辞めるまで一定量貯まっていたように思います。
安部政権は、経済状況が良くもないけど借金になるほどは悪くないみたいな状態だったり、借金を取り立てる役割の野党が取り立てができてない状態だったりするでしょうか。

こういう事例を振り返ってみて、改めて思ったのは、政治手法についての批判・組織運営の手法についての批判・人格についての批判、と言うのは正の数の掛け算であって、施策を評価している人の評価はより強固となり(陰謀論につながったり、同情論につながったり…)、施策についてマイナス評価の人のマイナス具合を加速させる、という効果はあるものの、プラスをマイナスにするような効果はないんだろうな、ということです。

いろんなことにこの見方を持ち込めるように思えるのですが、やはり、こういうことを考えた時に私が思うのは「正しい施策とパワハラが連結されたら恐ろしい」ということです。

そのような正義の暴走をどうしたら止められるのか、考えないといけないのではないかと思うのです。

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