「やむを得ない」の選択肢はやむを得ないで受け入れられるものではない

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辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票の全市町村実施に向けて、選択肢を現在の2択から「3択」に変更する条例改正案が与党内で検討されていることが18日、分かった。与党幹部と県執行部、法律家との間で協議が始まっており、県議会での全会一致の可決に向けて、「議長提案」という形での改正案提案に向け最終調整に入っている。与党関係者によると「容認」「反対」「やむを得ない」の3択が検討されている。

県民投票全県実施向け「3択」検討 県議会議長提案で最終調整 – 琉球新報 – 沖縄の新聞、地域のニュース

沖縄の辺野古埋め立てについての県民投票が自民党や公明党などの県議や一部自治体の市長の執行拒否により、へんてこなものになりかねない事態になっています。

そもそも自民党などの国政与党に通じる勢力は県民投票の無力化を第一義にして動いていると思いますので、そういう目的に対する効果としては抜群に良い成果を得る行動をしていると思います。

そんな国政与党系勢力の動きによって、先行き不透明になっていた事態に、今度は「3択にする」ということを県政与党勢力が検討しているとの報道がありました。

この選択肢を増やすというのは、そもそもは国政与党系勢力が県議会での条例案審議時に4択に改正する案を提示していたことが原点にあると思われます。

自民と公明は、条例の修正案として選択肢を「賛成」「反対」「やむを得ない」「どちらとも言えない」の4択を提示した。照屋守之県議(自民)は3択まで譲る姿勢を見せたが、結局、与党内で自公の修正案や安里氏の2択案を取り上げて検討することはなかった。

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この選択肢については、選択肢のバランスがおかしいという批判が、実際に世論調査を行っている方々から寄せられていました。

そして。今回の3択案も、この4択案から「どちらでもない」を削除しただけなので、4択案と同じ批判が寄せられています。

この朝日新聞の世論調査部長である前田氏のTweetに「明確な狙い」という言葉がありますが、今回の県民投票を巡って国政与党勢力と県政与党勢力が対立しているのはまさにこの点にあります。

県政与党勢力が想定している県民投票の役割は「決着」と思われます。
大阪都構想の住民投票のように、賛成で成立なら埋め立てが成立、反対で成立なら埋め立て停止、これをはっきりさせることが目的でしょう。だから選択肢ははっきりとした2択で、決着つくようにしているわけです。

これは選挙で例えると、小選挙区制です。
選挙の結果で政権構想が決着することを目的とした制度であるので、選挙区で当選するのは一人のみなのです。

一方、国政与党勢力が県民投票に担ってほしい役割は決着ではなく、政府判断の参考材料程度の役割です。
政府判断の裏付けとして、最悪でも、県民は「やむを得ない」と受け入れることに対して反対していない、と言うことができるようにはしたいわけです。
政府判断を邪魔しない形での参考材料を得たい、結果を好き勝手解釈できるような形にしたい、そういう思惑で動いているのだと思います。

これは、結果について好き勝手解釈して、今後の動きの判断材料にする、という点では、大選挙区制や比例制度中心の選挙に例えることができます。
選挙結果を見てから、どの政党が連立して政権を担うのか検討する、そのような選挙の仕組みです。

これのどちらが素晴らしいかは私には正直わかりません。どちらも一短一長あるというのが実態だと思います。
例えば、はっきりと決着をつける仕組みだと、接戦で終わった場合などに泥沼になるというのは、大阪の前例からわかることではあると思います。

一方、後者の仕組みだと結局「なんのためにやったの?」というようなくらいの影響しかない結果になりかねません。

また、現在の状況が国政の選挙結果や世論調査の結果などを政府が好き勝手解釈して動いている結果、摩擦が起きていると考えると、はっきり決着をつける仕組みの弱点とされている「泥沼化」はすでに起こっていて、後者の仕組みにしたとろで泥沼なのは変わらないし、後者でも泥沼化は進む、と言えると思います。

そういう意味で、私はやるなら決着をつけないといけないのではないかと思います。

一方、国政与党系勢力は県民投票での決着を絶対に避けることに熱心なようです。

そのような事態の中、執行を拒否している市長が、それに抗議する人物に対し「それでは事態は変わらない」と(私の印象では)高みの見物のようなTweetをしているのは、卑劣である、と私は思います。(KAZUYAの「死ななきゃ意味ないよ」という言葉につながるような趣旨のTweetは論外ですが、中山義隆氏も気を使っているフリをしているだけで同じようなものだと私は思うのです)

私は、上陸戦といい、沖縄に日本の厄介事が集結しがちな現状が情けないと思います。

なので、辺野古埋め立ても沖縄に負担を掛ける形ではない決着を望みます。
少なくとも、基地も、原発のように困っている特定地域に困っていることの解決と引き換えに他地域に拒否されるものを押し付けるような形での設置はしてはいけないでしょう。

そうではない形を模索せずに「やむを得ないで決着しそうだったのに、蒸し返した鳩山が悪い」と言い募ってそうな人々には、軽蔑と悲しみを覚えます。

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