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沖縄知事選から学ぶ、選挙に負ける理由

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今更ですが、沖縄県知事選挙に関連して、なぜ自民党は負けたのか、について語る記事がいくつかあり、その内容が興味深かったので記事にします。

まずひとつ目の記事は、前衆議院議員の宮崎岳志氏のブログです。

現地で多くの建設業者の方々と対話しました。「佐喜真を応援している」「デニーじゃ困る」と明言される方も少なくありませんでした。理由はさまざまです。「業界が推している」「辺野古でこれ以上揉めるべきではない」「取引先との付き合いで」「振興予算を減らされたらどうするのか」「デニーは気にくわない」「共産党と手を組んでいるじゃないか」「翁長を英雄視するのは間違っている」等々です。

ところが、肝心の候補者本人の話がちっとも出てきません。知事選ですから、普通は候補者が話題の中心です。たとえば「なかなか敏腕だ」とか、「アイディアマンだから」とか、「○○政策に力を入れてくれる」など。あるいは「一緒に××会の役員をやった時に世話になった」とか、「実は娘と同窓生で」とか、「泣き上戸なんだってさ」なんて、個人的なエピソードが出ることもよくあります。

 ところが今回は、どこへ行っても「デニーが」「辺野古が」「翁長が」「共産が」「予算が」「業界が」…という周囲の話ばかり。選挙に携わった経験がある人なら分かるかも知れませんが、議員選はともかく首長選では、これは典型的な負けパターンです。佐喜真陣営の中核を担う建設業界すら、そんな有様なのです。むしろ応援に入った小泉進次郎氏の方が目立っていました。知名度でデニーさんに劣っていたのは確かですが、陣営には強大な組織力と圧倒的な物量があり、短期間で候補者のイメージを浸透させることは十分可能だったはずです。

 佐喜真陣営には≪本土≫から有名無名の政治家が次々に駆けつけ、人寄せパンダよろしく連日連夜の応援演説を繰り広げました。「政府・与党の総力戦」と言われたゆえんです。一定の効果はあったでしょうが、候補者本人を埋没させる副作用もあったように思えます。タマ(候補者)の問題でも、知名度の問題でもありません。残念ながら佐喜真氏は、陣営内で脇役に追いやられていたのです。

政府与党がやっていたのは「佐喜真氏の選挙」でも「沖縄の選挙」でもなく、「安倍政権の選挙」でした。

「玉城デニーを勝利させた安倍政権の「勘違い」=沖縄県知事選」

候補者本人のエピソードが支持の中心を担う層からも出てこなかった、つまり、佐喜真氏の存在が脇役になってしまっていたことが、負けパターンだった、ということを述べています。

この候補者が脇役になってしまう現象、個人的には新潟県知事選挙のときに野党がそういう言及をされていたように思いますが、今度は与党がそういう方向で言及されています。

そして、この構図に構造的なものとして言及するのが、次の安里繁信氏のインタビュー記事です。

安里 今回の沖縄県知事選には、本土から次々と応援に来ました。最終的な人数はわかりませんが、佐喜眞陣営では当初、「のべ250人の国会議員、地方議員が入る」と言われていました。いっぱい来ました。

 我々、沖縄の有権者は「彼らがわざわざ沖縄に来る意図は何なんだろう」と考えさせられました。「沖縄の有権者を見ているんじゃなくて、安倍さんを見て応援に来ている」と、揶揄する声も上がっていました。うちの派閥は秘書を何回、何人派遣した、企業を何軒訪問した……。自民党の国会議員たちは企業の幹部の名刺を集めるのが目的で、「僕たち頑張っています!」という報告を、東京に帰って官邸にしたいんだ――そうとしか見えない議員もいたという情報もあります。

 一方で、国会議員の訪問を受け入れる沖縄の経営者たちの中には、「大臣級が何人も支援要請に来るけど何をお話ししたらいいの? 沖縄の話をしてもあまり通じないよ」と、困惑している人は少なくありませんでした。「国会議員が企業訪問したら、票固めができる」というのは、あくまで“政治ムラ”の発想ですよ。

 自民党の沖縄県連も例外ではありません。何かにつけて、「官邸が言うには……」「党本部によると……」と枕詞を付けて語り、沖縄県民を説得しようとする。有権者じゃなくて、上の顔色を窺って政治をしているせいです。沖縄では全県選挙(知事選、参院選)で保守系が4連敗しています。なぜ勝てないのか、そのあたりが原因のひとつだと思います。

沖縄県知事選で問われた「進次郎効果」 幻の知事候補・安里繁信氏に訊く

自民党沖縄県連が、何を話すにも枕詞をつけてくる、という構図は、宮崎岳志氏の「候補者本人の話がなくて周辺の話ばっかり」という指摘と通じているように思います。

要するに地元県連がそういう姿勢だから、全県選挙になるとそういう構図に持ち込まれてしまい、連敗している、という見立てなのだろうと思います。

地元県連がこうなった理由は、以下の写真が撮られた出来事が原因なのでしょう。

私は、今もこの出来事の影響で県連が独自色を出せなくなっているんだろうと思います。
独自にやったところで、このように幹事長などから『説得』されて路線変更を余儀なくされるのですから、現場は責任を持たなくなるのは当然です。(当時の県連会長が責任をとって辞任することになっているのも注目に値するでしょう。ちなみに、当時の県連会長は現在の那覇市長選挙の候補者の一人です。)
その結果の枕詞連発なのでしょう。

実際に今回の佐喜真陣営でも、官邸からの指示でトーンダウンをしたという当時の構図を再現したかのような情報を琉球新報が報じています。

「世界一危険と言われる飛行場をいつ返すんだ。日本政府が早く返してくれ」。8月24日、沖縄県那覇市内のホテルで開かれた佐喜真選対の事務所開きで、佐喜真淳氏は顔を紅潮させ、涙ながらに米軍普天間飛行場の早期返還を訴えた。会場からは割れんばかりの拍手が湧き起こった。しかし、翌日以降、佐喜真氏の普天間返還移設問題に対するトーンは抑え気味になり、終盤は「基地の整理縮小」という言葉に変わっていった。辺野古新基地反対を掲げている公明党への配慮もあったが、演説の内容を聞いた首相官邸が激怒し、基地問題を争点化しないよう強くくぎを刺した

普天間めぐる佐喜真氏の熱弁に官邸が激怒 沖縄県知事選の舞台裏 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース 

佐喜真陣営(公明党?)は、どうも玉城デニー氏について小沢一郎氏のいいなりというイメージを戦略的に撒いていたようなのですが、それよりも官邸と佐喜真陣営の関係のほうが有権者が強く印象付けられていた可能性は高そうに思います。

ちなみに「「僕たち頑張っています!」という報告を、東京に帰って官邸にしたいんだ――そうとしか見えない議員もいたという情報」についても琉球新報が報じています。

菅氏にとどまらず佐喜真氏の応援弁士を巡っては、効果を疑問視する声もあった。元沖縄担当相の小池百合子東京都知事が来県して実施した応援演説は、二階俊博自民党幹事長に恩を売るためとみられている。石破茂氏も来県して演説したが、総裁選後の「党内融和醸成のため」(陣営関係者)と指摘されている。自主的に支持固めに回る議員が多い中、片山さつき氏は陣営に遊説日程を「丸投げ」(同)し、陣営スタッフは調整に追われた。

沖縄知事選で自民の「勝利の方程式」が崩壊した理由 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース 

これらの情報から見えてくることは、結局候補者の扱いが、その地域の民意をどう扱うかにつながっているということです。

今回の沖縄知事選では、沖縄の民意を聞かない中央政党・政権の姿勢が、候補者の扱いや選挙戦の戦い方に投影されてしまっていたのでしょう。

この投影可能性が首長選挙以外にどの程度あるのかわかりませんが、候補者の扱いが民意の扱いと同じように見られるということは、選挙に携わる人は心得た方が良いのだろうと思います。

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