『潜在的な需要』という都合のいい言葉

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北海道新聞が『茨城空港、必死の「ばらまき」 6千円分ギフトも 国内線スカイのみ』という記事を掲載しました。

記事の内容は、茨城空港がいまいち使われていないので、唯一茨城空港を使用しているスカイマーク社が撤退してしまうのでは?というおそれから11億1900万の予算をつぎ込んでバラマキのような策を講じている、というものです。北海道にある空港に似たような空港があるのでこういう記事が書かれたようです。

 

記事の中で空港対策課の課長さんがこう述べています

『潜在的な需要を開拓し、利用実績を残したい』

個人的にこの言葉に強い違和感があります。『潜在的な需要』?茨城空港に存在する『潜在的な需要』とはどういう層のどういう需要なのでしょうか?

 

・曖昧な需要計算

中小企業診断士協会の茨城県支部が茨城空港について平成19年度に調査した資料がホームページに掲載されています。この資料を見て、あまりの酷さに唖然としてしまったものがあります。それが『空港利用者の見込み』という欄にて行われた利用者数予想です。

簡潔に内容を書くと『自動車でのアクセスが一時間以内に住んでいる人口は310万人。その10%が利用すると仮定して、往復するので利用者数予想は62万人』というもの。驚くほどにずさんかつ根拠なしだ。

まず『自動車でのアクセスが一時間以内』という条件がある。そこで考えないといけないのは、『茨城空港のメリット』として述べられているのが『羽田や成田より近くて便利』ということです。

しかし近さだけで空港は選択されるのでしょうか?便利という言葉には近さだけでなく、空港自体の能力というか、施設の豊富さ、便数の豊富さなどの部分。また交通利便性には『公共交通機関が存在しているのか?』という事、また付近に魅力ある観光地のようなものが存在しているのか?も関係してくると思うのです。

そういう部分では非常に茨城空港は不利です。『茨城空港へのアクセス時間が2時間以内の市町村で、羽田・成田・福島の各空港より有利な圏域の人口は1,200万人にも達します。』ともホームページに書いているのですが、福島空港はよく知らないのですが、少なくとも羽田や成田は施設の充実などでは惨敗なのではないでしょうか?

それを考慮すると『よほど時間で有利にたてないと、利用者を増やすことは出来ない』ということになると思います。それを全く考慮しないままなされた『利用者予測』は、根拠も何もない『事業を成立させるためのでっち上げ数字』としか言い様がないと思います。

 

 

・潜在的な需要という『射幸心』を煽るもの。

もしかすると、このような『他の空港より圧倒的に不利な状態』からのスタートとなったことを隠し、かすかな希望を掛けたのが『潜在的な需要』だったのかもしれません。

国土交通省や茨城県は過去の他の空港の利用者から需要を割り出し、それをそのまま『利用者予想』としてしまっていました。

しかし、他の空港の利用者がそのまま茨城空港も利用するとは限りません。

先程も述べたように、便の融通が効くかどうかや、交通利便性などの空港自体の便利さなどの部分での信頼感というかブランド力が圧倒的に茨城空港は負けているのです。

そういう部分の言い訳として使えるのが、よくわからない『潜在的な需要』というものなのだと思います。『改善すればこれだけ人が来る、だから将来に賭けて欲しい』と射幸心を煽るようなデータとして利用しているのだと。

でも、正直、交通利便性の面がひどすぎて茨城空港って永遠にこのままなんじゃないかって思うんですよね。公共交通機関は微妙な本数のバスがある程度で、鉄道は存在しない。そういう交通網の弱さが位置の有利さを全然感じさせないどころか、圧倒的に位置の不利さにつながっているように思うのです。

そういう改善できない前提を無視してPRとかバラマキ策を打っても、焼け石に水というか、維持管理費が不要というメリットを事実上無いことにする、高い維持管理費を支払っているも同然だと私には思えるのです。

それでも作ってしまった以上、茨城空港はしばらく策を打って、運用していかないといけないのでしょうが、個人的には『大きいインフラを(むやみに)新しく作ることの害』というものが茨城空港の事業から見えてくると思うのです・・・

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