法治主義とは?

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法治主義という言葉、民主党代表選で岡田克也氏が公約みたいなものに掲げているようです。
それ以外でも『法治主義』という言葉はよく使われているように思うのですが、改めて法治主義について書いておきます。

法治主義という言葉の意味は『行政は法律にしたがって行われないといけない』という原理を示す言葉です。
この原理そのものの段階を“形式的法治主義”と呼ぶこともあります。

日本の行政も『法治主義』という考え方を取り入れているわけですが、これは明治時代にドイツの学説を取り入れたものと言われています。 

そして日本が取り入れたドイツにて発達していた『法律による行政』の原理は大体3つの原則で成り立っていたということが出来ます。

1、法律の優位
すべての行政は法律に違反することは出来ない
2、法律の留保
国民の権利・自由を侵害する行政は、法律の授権が必要である。
(法律の授権=法律によって当該行政行為を行う権利が認められること)
3、法律の法規創造性
国民の権利・自由を侵害する規範である法規は、議会が制定する法律かその授権という形をとる必要がある。

ただしこの法律による行政の原理には大きな問題点がありました。
それが以下の二点です。

1、法律の授権さえあればどのような内容であっても、国民の権利・自由を侵害することが出来てしまう。(要するに『悪法もまた法なり』ということ)
2、国民の権利を侵害しない行政(公園の設置などのいわゆる福祉行政) や非権力的な行政(指導や契約という形をとる行政行為)は法律の授権は不要となっているのだが、実際はそこも規制の必要があるのではないか。
 
この問題点が具体的に露わになったのが、ナチス・ドイツだったのではないか、と言われています。
そこで、これまでの問題点の有った法律による行政の原理に修正を加えます。

それが『行政は、“国民の人権を保証した適正な内容をもつ”法律にしたがって行われないといけない』という“実質的法治主義”というものです。
これは問題点1を解消するための修正となっています。
要するに『悪法もまた法なり』ではいけないので、悪法は認めないという方向に法治主義を修正したわけです。
この修正に使われた制度が『違憲立法審査権』であります。
違憲である=悪法である よって違憲である法律は法ではない、ということです。

2つ目の問題点は、 このようなスッキリとした解消は出来ておらず、複数の学説が対立しています。
その対立している学説は大きく分けると4つあります

1、侵害留保説
従来通り、国民の権利・自由を権力的に侵害する行政のみ法律の授権を必要とする学説。
非権力的な行政にも拡張すべきという修正説もある。

2、権力作用留保説
権力的作用の行政活動は法律の授権を必要とする、という学説。
非権力的な行政は、国民の権利・自由を侵害していようとも法律の授権は不要ということになります。

3、全部留保説
国民の権利義務に関わる行政については、国民の権利・自由を侵害するものも、国民に利益をもたらすものも、全部法律の授権を必要とする、という学説。
『一々法律を作らないといけないのでめんどくさい』という批判があります。 

4、重要事項留保説
行政活動の内、重要なもののみ、法律の根拠が必要であるという学説。 
『そもそも行政において重要な事柄ってなんのこと?』という批判があります。

参考文献

第四版 ぶんこ六法トラの巻 行政法

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