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技能実習制度が負の遺産になる前に

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先週、外国人技能実習制度について、2つ、実習生を杜撰に扱っていたとしか思えないニュースがありました。

強制帰国

横浜市の水産加工会社で働いていたベトナム人男性技能実習生(27)が、男性の受け入れ窓口となった監理団体「房総振興協同組合」(千葉県鴨川市)に有給休暇を取りたいと伝えたところ、房総組合職員が2月、事前通告もなく男性宅に押し掛け、ベトナムに強制帰国させていたことが関係者への取材で明らかになった。

 契約書では勤務開始から半年経過すれば10日間、年次有給休暇が取得できるとなっており、男性は昨年3月から勤務していた。本来、実習生を保護すべき監理団体側が労働者の基本的権利を無視した格好だ。

ベトナム人実習生:有休希望で強制帰国 千葉受け入れ団体 - 毎日新聞

毎日新聞などでは、詳細が買いてありそうな部分が有料になっていたりして、よくわからなかったのですが、色々調べてるうちに、共同通信の具体的描写がある部分を配信している、英語の記事を見つけました。

これを参考にすると、男性は、結婚するために有給休暇を取ることを求めたら、朝五時に4人のスタッフが来て『リクエストが多すぎる』みたいなことを言って、荷物をまとめて、彼を車に乗せて、書類を提出し帰国させた。
『頭が真っ白になって、体も震えて、何もできなかった』

それについて、男性の婚約者が房総振興協同組合に抗議したところ、ベトナム語の通訳?が、実習生には有給休暇はふさわしくないとメッセージアプリを通して返答してきた。

みたいなことのようです。

こうなるまでに有給休暇以外にも何かあったのかもわかりませんが、いずれにしろ、有給休暇自体を認めないだけでなく、早朝に押しかけて勝手に手続きして帰国させるって、そりゃないだろ、としか思えません。

強制帰国というのは、技能実習制度の歪みが顕になりやすい問題の一つです。

個人的には強制帰国自体だけを塞いでも、受け入れ企業と技能実習生の関係自体が変わらない限り(借金を抱えた状態で受け入れてる点とか、まさに「借金による束縛」による奴隷労働ですし…)、問題を誤魔化すだけにしかならないと思ますので、こういう点でも制度を抜本的に見直さないといけないと思います。

除染作業に説明不足で従事させ、手当をピンハネ

3月15日に以下のような報道がありました。

ベトナム人技能実習生が除染作業 盛岡の会社が雇用

 【東京支社】NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(東京都)などは14日、都内で記者会見を開き、盛岡市の建設会社で働いていたベトナム人の男性技能実習生(24)が福島県で除染作業に従事していたと発表した。同法人など支援者は「来日前に除染作業をすると聞かされておらず、必要な教育もされていない」と強調。一方、建設会社の代表(56)は岩手日報社の取材に「説明不足はあったかもしれないが、建設機械の実習で問題はない」と反論。両者の対立は技能実習制度が抱える雇用・労働問題の存在を改めて浮き彫りにした。

 会見には実習生が出席し「(除染作業をすると知っていたら)絶対に来なかった。危険性が分かった今、健康が心配だ」と訴えた。

 支援側によると、実習生は2015年9月に来日。男性を受け入れた盛岡市の監理団体から1カ月の講習を受けた後、翌10月に同市の建設会社に雇用され、16年3月まで約5カ月間、福島県郡山市で道路や住宅で土壌をはぎ取る除染作業に従事した。16年9~12月は避難指示解除前の福島県川俣町で被災建物を解体。その後、昨年11月に寮を出て支援者に助けを求めた。

報道などを見ていると、除染作業には杜撰という疑念がつきものであるように思いますので、そもそもこの受け入れ企業自体が労働者全体にきちんと装備についてなどの説明をしているのか疑わしい気がします。

ちなみに朝日新聞曰く『法務省は「除染作業は技能実習にはふさわしくない」との見解を14日に表明。男性の受け入れ企業などを調べるとともに、今後は受け入れ先が国に出す誓約書に、「実習生を除染作業に従事させない」という項目を追加するという。』とのことです。

一方で、このとき同時に避難指示区域の被災建物の解体業務に従事した際に、環境省から支払われているはずの手当が一部手渡されていないということも主張されていました。

16年9〜12月、避難指示区域だった同県川俣町で被災建物の解体工事に携わった。従事者には環境省から1日6600円の特別手当が支給されたが、男性に手渡されたのは2000円だけだった。

[ニュース]技能実習生が除染従事=事前説明なく「健康心配」

これについて、支払われていたということを元請けを通して確認した、ということを環境大臣が記者会見の質疑応答で答えていました。

手当を払っていないのではないかというような御指摘がございましたが、この点につきましては、環境省の福島地方環境事務所の方から元請事業者に聞きまして、元請事業者が環境省に提示した賃金台帳、それから当該作業員に渡したとされる給与支払明細書の控えなどを確認したわけですけれども、支払いは行われているというふうに確認いたしました。それから当該作業員への特別教育ですね、解体工事に従事するに際しての特別教育、研修について、十分でなかったのではないかという御指摘もございましたが、元請事業者が環境省に提示した特別教育受講証によりますと、実施されているということを確認しております。環境省の方は元請けを通じて確認をするということになりますが、その限りにおいては、確認はできたということであります。

中川大臣記者会見録(平成30年3月27日(火)9:48 ~10:11 於:環境省第1会議室)

しかし、この後、この説明はひっくり返されることになりました。

ベトナム人技能実習生の手当、大半を未払い

 外国人技能実習制度で来日したベトナム人男性が東京電力福島第一原発事故に伴う除染・解体作業に従事していた問題で、環境省は6日、男性の実習先だった盛岡市の建設会社が、男性に支給するはずの特殊勤務手当の大半を未払いにしていたと発表した。

 同省によると、男性は2016年と17年に、ほかのベトナム人男性2人とともに、避難指示解除前の福島県川俣町で国直轄の解体作業に従事。本来は1人につき1日あたり6600円の特殊勤務手当が国から会社を通じて支給されるが、実際には1日あたり2000円程度しか受け取っていなかった。

 建設会社は手当を満額支給したように装うため、賃金台帳などの書類に虚偽の記載をして同省に提出していた。

 建設会社の社長は読売新聞の取材に「未払い分は、会社運営上の色々な経費に充てた」と話した。

なんと、環境省にたいして虚偽記載をした書類を見せて誤魔化していた、ということです。しかも、未払い分は会社の経費に当てた、と。
普通に企業としてだめだこいつ…という感じですね。技能実習生以外の労働者の扱いも調べないといけないのではないでしょうか。

今後とか考える

個人的にはこういう構図を見て、従軍慰安婦問題を巡る言説を思い出してしまうんです。

従軍慰安婦にたいして、浴びせられる言説の中に『慰安婦は自ら借金を負っていて、慰安所はそれの返済に協力してあげていたんだ』みたいな理屈とか『現地の業者が連れてきてるんだから、日本は無関係』みたいな話があるじゃないですか。
この技能実習制度問題でも同じような理屈で責任回避し始めるんでは?と思ってしまうのです。
現地の送り出し機関が全て悪い、として責任回避をするのではないか、と。

しかし、例え自発的になにもしていないとしても、明確にそういう事実を認識していながら、問題を放置し、自らに都合よく受け入れているということを鑑みれば、どう考えても受け入れてしまった側に責任が無いとは言えない、と私は思うのです。

従軍慰安婦問題のように、誰も救われないような、政治·外交問題という認識になる前に、至急制度の改善と、これまでの被害者の救済がなされなければならないと思うのです。

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