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菅直人氏と安倍晋三氏のメルマガ裁判の『主要な部分は真実』の『主要な部分』とは?

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昨日、ツイッターにて菅直人氏と安倍晋三氏のメルマガを巡る名誉毀損の民事裁判について『記事の主要な部分は真実』とされたから、海水注入を止めたのはデマではないというような認識でありそうな方を見かけました。

なので、あの裁判の判決について書いておこうと思います。

まず、判決で『記事の主要な部分は真実』とされたというのは事実です。
ただし、ここからが大事で、安倍晋三氏が『完全勝利』と言ったりしていることも含め間違いやすいのは、あくまでも『“主要な部分は”真実』とされている点を見逃してはならないことです。

一般的に、名誉毀損裁判においての事実認定ではこの『主要な部分は真実』という判断が行われます。
では『主要な部分』をいかにして判断するかというと、最終的に無罪になった方が訴えた、朝日新聞の逮捕報道による名誉毀損を主張した裁判を扱った弁護士ドットコムの記事では以下のような説明がありました。

●事実の「主要な部分」が真実であればOK
「本件記事で問題となったのは、『真実であるとされた事実』の内容ということになりますが、摘示された事実の『主要な部分』が真実であると認められれば足りる、とするのが最高裁の判例です。

そして『主要な部分』か否かの判断ですが、本件の高裁は、記事の内容や見出しの内容、レイアウト等を総合的に判断して、『一般読者が記事を読んだ際に通常受けると考えられる印象を基準に判断』すべき、といっております。

本件で問題となった記事については、全体から見て、男性が本件事件の被疑者として逮捕され、大阪府警が過去の類似事件3件について関連を調べる方針である、という点が『主要な部分』であるとされました。防犯ビデオに関する部分などは『主要な部分に該当しない』とされたのです」

新聞記事が真実でなくても「違法」ではない? 「名誉毀損」はどんなときに成立するか

【記事の内容や見出しの内容、レイアウト等を総合的に判断して、『一般読者が記事を読んだ際に通常受けると考えられる印象を基準に判断』】とのことです。

では、今回の取り上げるメルマガ裁判ではどうなったかというと、以下のとおりです。

永谷裁判長は判決で「記事は海水注入が継続されていたことが判明する以前に発信されていた」「注入を中断させかねない振る舞いが菅氏にあったこと、(実際には東電が決めた)海水注入を菅氏が決めたという虚偽の事実を海江田万里経済産業相(当時)ら側近が流したことなど記事は重要な部分で真実だった」とし、「記事は違法な人身攻撃ではなく、論評として適切だった」と認定した。

福島原発めぐる安倍首相メルマガ訴訟 「海水注入中断させかねぬ振る舞いあった」「記事は重要な部分で真実だった」

(これは地裁判決段階を記事にしていて、地裁では『重要な部分は真実』としていました。一方、その後の高裁では『主要な部分は真実』という文言が使われています。個人的な印象としては『重要』と『主要』という文言では受ける印象が結構違う気がしますが…)

産経新聞の簡易な報道ではなく、判決文そのものを読みたい場合は、TBSラジオのSession22という番組のホームページに、地裁判決と高裁判決の判決文が掲載されています。
荻上チキ氏が番組で要旨や裁判に対する安倍晋三氏の姿勢などを解説した音声もありますので、興味がある方はぜひ。

つまり、安倍晋三氏のメルマガの主要な内容は『菅直人氏の言動に、海水注入を止めかねないような振る舞いがあった(再臨界を気にしたことなどで、東電の武黒フェローが忖度をすることにつながった)』ことと『菅直人氏が海水注入指示をしたという嘘の発表を政権が行った』というものであると安倍晋三氏側が主張し、地裁や高裁側もそうであると判断して、その部分は真実であったとされたわけです。

つまり『菅直人氏が海水注入を止める指示をしていたから止まった』というのは間違いであることを前提にした上で、そこに関係する、実際に菅直人氏が命令したかとか、注水が止まったかどうかとか、などは論評としては重要な部分ではないので、そこは間違っていても名誉毀損には関係ないという判断がなされたわけです。

ちなみに、安倍晋三氏側の裁判での主張には『(この文章はブログ主が要約した内容です)野党の議員が厳しく政権を監視するには一々裏取りしてられないし、原子力災害は一刻を争う事態だから確認してる時間もなかったし、それを読者もわかった上で「野党の国会議員の発言は、報道のようにすべて真実であるとは限らない」として読むんだから、直ちに社会的信用を低下させることはない』という内容のものがあったのが面白いと思いました。(判決には採用されませんでした)

以上、菅直人氏と安倍晋三氏のメルマガ裁判について簡単に書いてみました。

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