私の懸念事項

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先日、加計学園に対して、事前に懸念事項を伝えていた文書が存在していたことを文科省が認めました。

学校法人「加計学園」による獣医学部設置計画問題に関し、文科省が作成していた「加計学園への伝達事項」と題された新たな文書の存在が24日、衆院予算委員会の閉会中審査で明らかになった。

 民進党の玉木雄一郎議員が指摘した。学園側が、学部設置に向けた条件を備える上で、不十分と思われる面をクリアするため、文科省側の「助言」と読める内容だ。そのため、玉木氏は「紛れもない『加計ありき』の内容だ」として、安倍晋三首相らを追及した。

 同文書は、加計学園による新設計画が認可された今年1月20日から、2カ月以上前の昨年11月8日、文科省内で共有されたもの。「先日ご説明いただいた構想につき、文科省として懸念している事項をお伝えする」とある。「既存の獣医師養成でない構想を具体化」することなど、他の獣医学部との「差別化」を検討するよう求める内容など、5項目にわたる。

 必要な教員確保、施設整備、資金計画などに触れたくだりもある。

 文書はメールに添付されて省内の関係者に送信されている、メールには「先日に加計学園から構想の現状を聴取したことについて、昨日、大臣及び局長より、加計学園に対して、文科省としては現時点での構想では不十分だと考えている旨早く伝えるべき、というご指示がありました」と説明書きが記されている。

 「局長からは先ほども、早く連絡して、絶対今日中、と言われたところ」との記述もあり、文科省側が伝達を急いだことがうかがえる。

「加計学園への伝達事項」なる文科省の新文書発覚 – 社会

松野大臣は、諮問会議が獣医学部新設を決定する前に、文部科学省が、懸念事項を学園側に伝えていることについて、「ほとんどすべてのケースで、学部を新しくするときには、文部科学省に事前相談があるが、加計学園からも相談があった」と述べ、適切だという認識を示しました。

松野文科相 「事前に加計学園へ懸念事項伝達は適切」

この件について、松野文科大臣が話していることは、たしかに真実ではあると思います。
そして、設置審査より事前相談の方が重要であるらしいです。

一方、それよりも前に事前相談を持ちかけていた京産大への対応はこのような感じでした。
(2016年10月17日 国家戦略特区ワーキンググループヒアリング議事要旨より)

○本間委員 御説明いただいたところは全て納得といいますか、私もライフサイエンスの学部におりますので、御主張は全面的に賛同いたすところです。なおかつ、医者と違って獣医師に関しては総量規制をすることは全く必要ないと思っていまして、特区指定のある今治のほうでの提案もあって、文科省等々、相当いろんな議論を詰めてというか、すれ違いが多いのですけれども、やっているところであります。
まず、このプランは文科省に設置の申請といいますか、文科省との話し合いはどの程度されて、どういう回答をもらっているのか、そのあたりをお聞かせいただければと思います。

○大西副学長 御説明の中にもあったのですけれども、我が方としましては、2010年に総合生命科学部を開設いたしまして、11名の獣医師の先生をお招きしております。そういった取り組みのもとで、文部科学省への事前協議ということでお話をさせてもらっておりますが、今、門戸は開かれていないということで、文科省としては具体的な協議を進めることはできないということで、何回かにわたってお願いをしておりますけれども、そのところではねつけられてしまっているというのが現状でございます。

○八田座長 非常に説得的なお話をどうもありがとうございました。
あと、ほかに御意見ございませんか。
私から一つだけ御質問します。設置審に要請されようとしたら、事前協議が必要だと言われ、事前協議では、これは無理ですよと言われたということですが、その無理だという根拠は何だったのですか。

○大西副学長 説明不足だったですけれども、正式に設置申請に向けての事前調整ということではなくて、いわゆるもう活動はされている状況でございますので、何とかそこを御配慮いただきたいという、事前の事前相談みたいなところがあったのですが、なかなか農水省を含めて、獣医師は充足しているという論法の中で、これ以上獣医学部をつくる必要はないんだというお話で終わってしまっているという状況になっているということです。

○八田座長 ということは、設置審にかけてもうまくいきませんよと。

○大西副学長 そういう手続きさえも今はとれませんよと。

○八田座長 手続きもやっていない。

○藤原審議官 医学部同様、告示で規制されていますから、設置審の議論にまで入れない状況にあるということだと思います。

○八田座長 かなり不透明性が高い。根拠が不明確ですね。

このように、告示での規制を理由に本来は事前の相談も突っぱねていたような状態だったはずなのです。
しかし、この、告示改正案のパブリックコメントがでる直前に、加計学園にだけ、事前相談への対応がなされたわけです。

ちなみに告示改正案は『三十年四月開校』『一校のみ』が前提条件として付されており、京産大はあの記者会見を見るに、この告示改正案の段階より前に事前相談できて色々準備を進めていないと、間に合わせることは不可能であっただろうと思われます。

これらの事実を踏まえ、『当たり前のことを告示で突っぱねていた文科省が悪い』というような文科省批判で落ち着いて終わりそうな気配を感じています。
それを目的として、政府はこの文書の存在を改めて認めたのではないか、と思ったのです。

しかし、個人的にはその上で、事前相談出来なかったことを知っていたにもかかわらず、なぜ間に合わず、二校目になるのは教員的に無理と判断した京産大に、ワーキンググループのトップが『結果的に十分な熟度を伴った提案ではなかったことが判明し、大変残念です。』と批判的に、言及したのか?

なぜ誰も事前相談できておらず、だれもまともな準備ができない可能性が高いことを知っていながら、『平成30年4月』という無理があるようだと思える期限を区切ったのか。(早くやれという総理の意向?特区の基本的な考え方?)

なぜ、加計学園は事前相談できていなかったのに、告示が出る前に、開学を30年4月として、ボーリング調査を始めたのか。

あまりにも加計学園と足並みがそろっているのもありますが、どうもワーキンググループは、大学の新学部開設を軽く見すぎているのではないか?と思うのです。

例えば、八田氏は読売新聞にて以下のような認識を示したと言います。

WGは、この時まで提案があった新潟市、今治市、京都府の3地域いずれも設置可能、という認識だった。

でも、獣医学部改革として、教育の質を上げるために教員をきちんと揃えるべきで、そのためには分散状態にある獣医学部を幾つかまとめるべきだ、という議論があるくらいには教員不足という認識がむかしからあるようなのです。

その上で新設するとなると、どうしても増やせる数は限られるわけで、一校のみとならずとも、事前準備できなかったところは新設不可能であり、獣医学部があとから要請したらしい『一校のみ』を飲むのは容易い話になりますよね。
京都はあとから出てきていて、新潟は遅れていたわけですから。
最速で開校すること、つまり30年4月と区切ったら、そもそも実現可能性があるのは加計だけに絞られてしまうのです。

そのような現実的な配慮をせず、『国家試験を突破しさえすれば、そこから先は多ければ多いほど国民にとっていいと思っている。経済の原理でいうと、現在は高止まりしていると思うので、一定数担保した国家試験を突破した人がどんどん出てくれば、均衡価格まで調整されるだろう。』『質の悪いものが出てきたらどうするか。これは、実は新規参入ではなくて、おそらく従来あるものにまずい獣医学部があるのだと思います。そこがきちんと退出していけるメカニズムが必要で、新しいところが入ってきて、そこが競争して、古い、あまり競争力がないところが出ていく。そういうシステムを、この特区とはまた別にシステムとして考えていくべきではないかと思っております。』というような考え方に象徴されるような非現実的な理想論を実現しようとした結果として、色々歪んでしまったのではないでしょうか?

でも、それらの歪みも、彼らにしたら『文科省のへんてこ規制のせい、ひいては、その規制に集る既得権益のせい』となるのでしょうけど、文科省の抵抗に反抗するために、妙な歪みのようなものを作ってでも、ドリルで穴を開けるのを選ぶのは、果たして正しかったのでしょうか?

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