企業に妥協して出来上がった山の日

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山の日
こう言うと山の日制定に熱心だった人に失礼かもしれないが、正直、ほんとになんでこんなに急いで制定に至ったのかさっぱりわからない祝日である。

で、なんでこうこんなに急いで、と思うかといえば、名前だけで実体がさっぱり存在していないからだ。
それは山の日の制定への経緯を読むとはっきりと分かる。

まず山の日の根拠に至るイベントの類、習慣の類が存在していない。

習慣があったのは

山を敬い、山に親しみ、山の恵みに感謝するという行事は、はるか昔からあった。4月中旬から6月にかけ、各地の山で行われる「山開き」はその原点である。また、宗教的な色彩を帯びた「山開き」と趣旨は異なるが、たとえば北アルプスの上高地で6月の第1日曜日に催される「ウェストン祭」がある。終戦直後の1947年から始まって、登山愛好家だけでなく上高地を訪れる多くの人々に親しまれる恒例の行事となった。大ざっぱなくくりで、どちらも「山の日」の趣きである。主催した日本山岳会は、期せずして60年以上も前から「山の日」に取り組んでいたことになる。

というように少なくとも今回制定された日にちである8月11日とは全然関係ない日にちだ。
『ちなみに国連が定めた「山の日」は12月11日である。』とも書かれているが、やはりこちらも、今回の制定された日にちには一切関わってこない。

では日本山岳会は、どの日にちを希望していたか?
日本山岳会としてではなく『山の日制定協議会』としてだが、

わたしたちは、夏山シーズン前の6月第1日曜日を《全国いっせいの「山の日」》にしようと提案した

と書かれている。
これは前に書かれている習慣もあり、まだ説明としては成り立つ日付だったのではないか?

では、なぜ8月11日になったのか?
それは

超党派の「山の日」制定議員連盟は11月22日の総会で、お盆休みにつながる8月11日を「山の日」と決めた。

これが理由だ。国会議員が関わったら、こんなことになってしまったのである。
では国会議員がずらした理由はなにか?

地域経済活性化のためにも「山の日」制定に賛成だが、中小企業は休日が増えると従業員に割増賃金を払う負担が増すとの報告があった。これらを踏まえ、企業が夏休みに入るお盆の時期を中心に再検討し、「家族で山に親しみ、国民全体が有効利用できる」として8月11日に落ち着いた。

もっと具体的に書かれているBusinessJournalの記事に拠ると

「『東京会議』では、夏山シーズン前の6月第一日曜日を全国一斉の『山の日』にしようと決議しました。6月第一日曜日は山が緑に輝いて、山開きが各地で行われる日です。しかし、会議の後発足した超党派国会議員連盟の案で、企業からの要請もあって8月のお盆の時期に『山の日』を制定することになりました。『お盆で故郷に帰って、地元の山を見つめ直すいい機会になるし、子どもとのふれあいの時間をつくるために、子どもの夏休み期間中に休日を増やすのが一番いいのではないか』と国会議員の方々はおっしゃっていました」

ということらしい。
要するに企業に従ったということだ。
さすが世界で一番企業が活動しやすい国を目指す日本だけある経緯である。
これでは企業のための祝日、経済効果のためだけの祝日、と言われても、全くおかしい話とはならないだろう。

これから中身が追いつけば良い、という話もあるだろう。
ただ、その中身をどうつくるのか、それがまったくもって事前に考えられないままに、適当に日にちだけ決めてしまったことが、明らかにそういう努力への向かう意欲を削ぐ結果になっている事は、明らかなのではないだろうか(真夏日に山登りはなかなか難しいだろうと思うし)

追記 山の日制定評議会の標語みて情けなくなったので画像として貼っておきますね

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