2017/04/16 山本幸三大臣「学芸員はがん。連中を一掃しないと」(その後、撤回)

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山本幸三大臣が『学芸員がガン』とかなんとか言ってその後の記者の質問で趣旨を説明し釈明、翌日撤回したという話。
まずは、各新聞の記事を総合した、発言要旨を掲載します。

滋賀県長浜市の藤井勇治市長から「インバウンド観光振興について助言を」と質問

「文化や歴史を理解してもらう観光が最も長続きする。文化財をきちんと説明できるかが勝負」
「文化観光を進めなければならないが、一番がんなのは学芸員。普通の観光マインドが全くない。この連中を一掃しないといけない」
外国人に十分な説明ができていないと強調。「文化財に指定されると水も火も使えず、お花もお茶もできない。ばかげたことが当然のように行われる」「自分たちだけが分かっていればいい、分からないなら来なくて良いよ、というのが学芸員の連中だ」と批判を重ね
外国の有名博物館(大英博物館)が改装した際のことを引き合いに出し、「学芸員が抵抗したが全員クビにして大改装が実現した結果、大成功した」

セミナー後の記者会見「(地方創生の)新しいアイデアを出しても、学芸員は『文化財が大変なことになる』と全部反対する。学芸員だけの文化財ではない。『一掃』は言い過ぎたが、観光立国を目指すのにマインドを変えてもらわないといけない、観光マインドを持って観光客に説明することを理解してもらわないと困る、との趣旨だった」と釈明

参考にした報道『「学芸員はがん。連中を一掃しないと」 山本地方創生相:朝日新聞デジタル 』『「観光のがんは学芸員」山本幸三地方創生相が発言 (産経新聞)』『山本地方創生相「一番のがんは学芸員」と発言 : 読売新聞』『山本地方創生相「がんは学芸員」 発言に野党、追及必至 | 2017/4/17 – 共同通信 47NEWS

また、毎日新聞が、セミナー後の記者会見の動画を上げていましたので、字幕は一応あるのですが、山本大臣発言部分のみ、文字起こししてみました。

『例えば二条城でも、大政奉還のパフォーマンスをやったらいいじゃないかと、アイディアを出しても、そんなものはいりませんよ、と。

あるいは、角角に花を生けたり、お茶をやって、当時の生活を見せたりすることのほうが、インバウンド、海外の人なんか非常に興味を持たれるんだけど、そんなことやったら大変なことになる、と言って全部反対するんですね、学芸員の人たちは。今までそうでした。

そういう事で、学芸員だけの文化財という形になっていると、まさにこれから観光立国として生きていく時のそういう歴史資源が活きませんので、そういう人たちのマインドを変えてもらわないと、とても上手くいかないという風に思ってまして、そりゃ、全部クビにするというのは言い過ぎですけど、全く理解しなかったら変わってもらうというのは、当然考えるというぐらいの気持ちでやらないとできないし、実際に、ロンドン、イギリスではそういうことが起こったわけですから。』

『学芸員の人たちも、要するに観光マインドを持って、観光客に対してきちんと説明する、あるいは、観光客が喜ぶようなパフォーマンスをやるとか、そういう風に考えて、プロだけの部分じゃないということを理解してもらわないと困ります、と。』

山本地方創生相:「学芸員はがん。一掃を」インバウンド巡り – 毎日新聞

(大英博物館云々に関しては、今のところこのNAVERまとめが一番詳しいのではないかと思う。)

 

まず、私がこの発言を一見した感想が『保守(守旧派)をぶっ叩く改革派のような言動だなぁ』というものでした。

山本幸三大臣は規制改革や行政改革担当も兼任していますので、明確に政府として地方創生も改革マターであるというメッセージを発していることがわかります。(山本幸三氏自身も『構造改革を止めるな。幸三改革を進めます。』とホームページにつけるくらいには、改革派を自認しているようです。)

で、山本幸三氏は、要するに守旧派であるように感じる学芸員を『観光立国、地方創生の抵抗勢力』として批判しているわけです。

ここらへんは、郵政民営化とか、農協改革だとか、事業仕分け(の一部発想)、のようなものと同じと考えていいように考えていいように思います。(山本幸三氏は、河野太郎氏、塩崎恭久氏、渡辺喜美氏などと似たような?ベクトルの持ち主のようなので、納得といえば納得)

で、私はこの発言を見たあとに、『そもそもガンを暗喩として使うのはどうなの』というような意見を目にして、色々と納得しました。

 

とくにガンに関しては、福島での甲状腺がん調査関係で色々と過剰診断·過剰治療(手術)という概念について考えていたので、すんなりとこの指摘に納得することが出来た。(この指摘を目にするまで、全く思い至らなかったことに驚きもした。)

病気を隠喩として使うと、どうやっても、その病気への誤った印象、偏見が社会に放たれてしまう。そして、それで苦しむのはその病気を患った当事者である。そういう事をきちんと考えないといけないのでしょう。

そこで、改めてガンという隠喩について見直して見ましょう。

山本幸三大臣のように『ガン』を隠喩で使う場合、それは大抵『速やかに社会から切断排除すべきもの』的な使われ方をします。

しかし、近年、本物のガンについて、国民病なんて言われるようになった結果、出回っている言説はがんモドキガンとうまく付き合うには?』というような、言説だと思うんです。

この『うまく付き合う』というのが重要なように私は思うのです。

山本幸三大臣も、説得に疲れて堪忍袋の尾が切れたのかもしれませんが、学芸員さんともうまく付き合ってほしいと思います。文化庁とも話し合う必要もあるでしょう。

そして、うまいこと、観光立国と文化財保護の折り合いをつけて頂きたいです。個人的には文化財保護のための観光という考えが強いのですが、そういう考えと折り合いをきちんとつけて頂きたいです。

そこをごまかしてしまうと、いまの観光立国優先な考えや、様々な歴史資料や文化の保護が杜撰になっているように感じる現状では、貴重な文化財が消費され失われてしまう可能性が高いように思うので。

保護を排除対象とすることをやめて頂きたいです。生活保護の話とも通じる気がしますが、保護を悪とするのは、いい加減にしてほしいです。

保護のためにお金が必要などは理解できるのですが、『お金がないから保護しません』を前提にされてしまうと、文句しか言えないです。

そういう本末転倒な姿勢ばかりみえるのが、あらゆる『保護』を見ていて残念に思います。

まずは保護することを前提に、そのために何ができるか考える、そういう姿勢を忘れないようにしたいです。

 

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