政策・思想 派遣法の審議を振り返る

平成26年11月5日 伊佐進一(公明党)質疑『常用代替防止が今までの派遣法の中心的なコンセプトだった』

2016/04/04 35views

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そもそも、派遣法ができたのは三十年前、一九八五年です。この八五年の前から派遣の労働市場というのは既にあったわけです。実際に派遣事業をやっている人たちがいて、この現に行われている事業を制度の上でどうやって位置づけるかというところで、後追いから始まったのが現在の派遣法です。

派遣法が実際に派遣事業が行われて、それを(規制のために?)制度に落とし込んだものだという経緯を初めて聞きました。

過去に「労働者派遣はそもそも特別に許可されたものである」という観点という記事を書いたのですが、元々は違法だけど存在してしまっているから、仕方なく合法化することで当事者を拾い上げ保護する方面に向かったということでしょうか?

 

派遣法には二つの価値観、考え方がある。一つは常用代替防止、もう一つは派遣者保護。常用代替防止と派遣者保護、この二つの考え方は、時には衝突することもあるかもしれない。
つまり、常用代替防止というのは、本来正社員がするような仕事を派遣に置きかえてはいけません、派遣労働者を常用で正社員の代替としてはいけません、それが常用代替防止。つまり、どちらかといえば正社員の観点で議論されている。自分たちの仕事を奪っちゃいけないよ、だから、派遣は契約の期限が来ればそれで終わりです、これが常用代替防止。
ところが、派遣者保護の観点からすると逆です。契約期限が来てやめさせられる、いわゆる有期ですが、この有期がいつまでも続く、反復で更新される、これは安定性が全くない、安心して仕事ができない。だから、派遣であったとしても、その安定性は一定程度守られるべきじゃないのか、これが派遣労働者保護の観点です。
この二つの価値観はなかなか両立が難しいというふうに思いますが、まず質問ですが、この派遣法ができた当初、派遣法の趣旨として、常用代替防止なのかあるいは派遣者保護なのか、どちらを重視していたんでしょうか。

派遣労働者保護という観点では雇用の安定を守ることが望ましい。しかし一方では派遣労働者より正社員の方が身分保護などが優れているので、それを変えてしまうのはどうなの?という観点などから常用代替防止という事も要請されている。

で、派遣法は本来どちらのために作られたのか?というのをこの質問では問うています。

この質問に対し、厚労省の答弁はお茶を濁すような答弁だったのですが、それを受けて伊佐委員はこう続けています。

 

そもそも、私、この常用代替防止が今までの派遣法の中心的なコンセプトだったんだと思うんです。

 

ここで、伊佐委員は以上の認識を示しました。

根拠は2点。

・労働者派遣法の第一条に『派遣労働者の保護』の観点が入ったのが2012年の改正。

これは2012年、民主党政権下で行われた労働者派遣法改正によって、労働者派遣法の正式名称が『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律』という名称から『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律』と代わり、更に第一条(法律の目的を規定する部分)にある『派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図り』も『派遣労働者の保護等を図り』に変更された事を示しています。

・いよぎんスタッフサービス事件の判決

いよぎんスタッフサービス事件というのは、13年同じ派遣先で労働する6ヶ月更新の派遣契約を派遣会社いよぎんスタッフサービスと更新し続けていた人が、契約が満了したという理由で契約更新を拒否されたことに対し、有期契約とはいえ、継続雇用の期待があり、今回の解雇は解雇権濫用法理が類推適用され、解雇に合理的な理由がなく認められないのではないか?という原告の訴え(実際には細い違いがあるので資料をどうぞ)によって提訴された裁判のことです。

第一審の判決では(参考にした資料2)

『派遣法は派遣労働者の雇用の安定だけではなくて、常用代替防止の観点もあることから、同一事業所へ同一労働者を派遣することを長期間継続することによって雇用の安定を図ることは派遣法の想定外なんで、派遣法の趣旨に照らせば今回のような継続雇用の期待は合理的ではないので、保護すべきものとはいえない』というものが出され、これがこの質疑でも使われていました。

要するに2012年改正前の派遣法では常用代替防止の方が強く目的として利用されていたということがここから分かる、というのが言いたいことのようです。

 

そこで、今回の安倍政権下での法改正で加わる『個人単位の期間制限』は常用代替防止の観点での導入なのか、派遣者保護の観点からの導入7日どちらなん?という質問を伊佐委員は行い、答弁は『常用代替防止のためということではなくて、派遣労働の固定化を防止するため』というもの。

これを伊佐委員は『派遣労働者の保護という観点なんだという答弁だったかと思います』と言い換えて居ます。

この言い換えの前後の伊佐委員の発言を見るに、要するに期間を限定することを『正社員の保護のため』ではなく『派遣労働者の人生をどうするか』という観点の議論で決めようということが言いたいようです。

 

そういう観点で一番派遣労働者にとって不安に感じるのは『短い有期契約を何度も何度も反復更新する』ことだとし、今回の法改正は『有期を反復更新するんだったら無期に転換しなさい』という事を指示しているものだと伊佐委員は述べています。

また他の非正規雇用には『常用代替防止』という制度がないことから、派遣労働者だけに正社員を守るための制度を背負わせるのはおかしいのではないか?という趣旨のことも述べていました(もちろん非正規雇用全体に常用代替防止を適用せよという趣旨ではないです)

 

また、この期間制限で、企業が業務に派遣を3年以上使い続けたい場合について、労組への意見聴取が延長の条件となっているのです(派遣を使うことを延長した場合、個人単位では3年の期限があるので、同じ人ではなく、別な労働者を使うことになる。)が、これはどこまで意味があるのか?という質問を伊佐委員はしていて、これに対し、答弁は『派遣先の事情があるので、現場・実態を知っている労使との話し合いに基づいたほうがいいだろうということで、これを常用代替防止観点で入れた。説明義務にとどまっているが、そういう透明性のある適正な手続きを行うことで、一定の歯止めの効果はあると考えている』というものでした。事情があるので最終判断は経営者に任せるけど、その判断決定までに一手間加えることで、面倒くさいことになって色々と適正化されるだろう、ということでしょうか?

 

正直、自民党議員の質問より、公明党議員の方が色々と質問の歯ごたえがあると思ったんですが、これは同じ与党でも議席数の差とか時間の差があるからこう思うだけですかね?

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