文化をねじ込もうとする日本青年会議所

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 日本JCの三井陽一郎さんは「節分の日に恵方巻きを食べるような食文化が根付けば、日本の建国への認知度も高まるのではないか」とキャンペーンを提案。食べ物は日本が稲作文化から発展してきたことや、「お結び」という縁起の良さもあって「おむすび」に決めたという。

(中略)

三井さんは「建国記念の日には、スーパーやコンビニなどに日本の建国を祝うおむすびがたくさん並ぶようになるまで継続していきたい」と話している。

建国記念の日に「おむすびを食べよう」 明治神宮などで2000個無料配布 日本JCがキャンペーン – 産経ニュース

近年、恵方巻きが色々な面で批判されています。

最大の批判点は過酷なノルマがあることによる自爆営業の問題と、大量販売に伴う食品ロスの問題ですが、それ以外に『そんなに有名な行事じゃなかったのに、商業キャンペーンで無理やり定着させた』ということに対する批判(恵方巻は作られた伝統なのか 発祥は花街、「怪しげな風習」が広まった理由とは BuzzFeed)もあります。

そんな中、恵方巻きを見習っていくと宣言する人たちが現れました。

日本青年会議所が、恵方巻きを見習って、建国記念の日をおにぎりを食べる日にするそうです。

正直言って、この日本青年会議所の動き方が日本の建国記念の日が興味持たれない理由を物語っているように思います。

そもそも日本の建国記念の日は日本青年会議所が比較している他国の独立記念日のようなものとは違います。

例えば、アメリカやカナダ、中国が比較対象になっているのですが、それらの国家はそれらの国家は現在の世界に繋がるエピソードが独立に付随しているように思います。

その一方で、日本の建国記念の日は神話が元ネタとなっていて、しかも現在とのつながりはほとんど感じることがない、そういうよくわからない記念日になっているわけです。(他国と違って建国の日が昔すぎるなどが理由でしょう。Wikipediaを見ると、その特異さがわかると思います。)

受験などで、何かを覚えたい時に使う記憶法にエピソード記憶というものがあります。(記憶力を高めるためには、エピソード記憶を活用「エピソード記憶には自分の感情が含む」|「マイナビウーマン」

日本の建国記念には、何も身近なエピソードが存在しないように思います。(身近なエピソードというのは建国して何が変わったか、とか現在にどういう影響があるのか、みたいなものです。)

そういう部分が欠けているからこそ、記憶されない記念日になっているのだと思います。(中国4000年の歴史、に対し『文化的な連続性がない』という指摘がありますが、日本の建国記念の日もまさにそれだと思います。)

ただ、今回認知度をあげようとしている日本青年会議所のような思想を持っている方々からすると、そういうことは認められないでしょう。

建国記念の日が昔すぎることも『最古の国家!』と誇っているように思いますし(まさにそれを誇っているように見える日本青年会議所のアンケート。ちなみにギネスブックに載っていたのは世界最古の国ではなく世界最古の王家だったらしいです)なんのエピソードが無いことについては、無理やりエピソードを創りだすか、エピソードが無いからといって正当は正当だ、と言うでしょう。

例えば、右の新興勢力である幸福実現党は以下の記述をしています。

鎌倉時代の元寇や幕末の西欧列強の植民地支配、日露戦争がありました。そして先の大戦では、敗戦という国家が無くなってもおかしくない歴史を経て、戦後経済大国にまで復興を遂げたのです。

「神国・日本」の歴史は「人類史上の奇跡」とも言われています。

建国記念の日~世界最古の国「神国・日本」の歴史に誇りを持ち、希望の国づくりを! | HRPニュースファイル

これらの歴史がどれだけ現在に影響を残している、と考えるのでしょうか?

そういう現在につながっているという印象がないから、記念日としては存在しても、何も意識しない日になるのだろうと思います。(要するに、古事記とか日本書紀とかを学校で教えればいいという話ではない)

で、そういう話に対して、日本青年会議所が持ってきた対策は『とにかくどんな形でも記念日を知ってもらえば勝ち』ということで、おにぎりを食べる日という新たな文化を創ろうとしているようです。

で、そこで語ったことが『スーパーやコンビニなどに日本の建国を祝うおむすびがたくさん並ぶようになるまで継続していきたい』と。

恵方巻きのように商業キャンペーンに乗っかれば興味を惹けるから勝ちとでも考えているのでしょう。

その至る先が薄っぺらい『日本すごい』的な話でも満足なんでしょう。
(ちなみに、朝日新聞の記事いわく、建国記念の日が創設された当初は「(史料として裏付けが無いことについて)そんなことは知っているが休みが増えるならいいじゃないか」「信ずる方がトク」という反応だったようです)
(もう一つちなみに、建国記念日ではなく建国記念“の”日となっている事について『この日が史実に基づく建国記念日というのではなく、建国を記念する日という意味が込められていると言われている。』という話もあるようです。霞が関文学って感じがしますね。)

個人的には『こんな程度で良いの?』というのと、おにぎりなんて特別感の無いものを配られても、マーケティング的にどうなの?という感覚と、そんなに建国って大事?という3つの感想があります。

このおにぎり配布が何年続くのか、アパホテル以外に便乗する商業キャンペーンが出てくるのか、というところを注視しつつ、変な動きに気をつけていきたいと思います。

 

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