『隠蔽する意図は全くなかった。』という残念さ

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菅官房長官は、記者団が「隠蔽ではないかという指摘も出ているが」と質問したのに対し、「隠蔽する意図は全くなかった。防衛省として文書を探しきれなかったことについては十分な対応でなかった。今後、適切に対応していきたい」と述べました。

稲田防衛大臣は閣議のあとの記者会見で、「情報公開請求を受けた当時、30日以内という時間の限りがあったとはいえ、文書のデータを探索しきれなかったことは、十分な対応ではなかったと認識している。ただ、法令に基づいて文書を廃棄していたことは、法律上問題はないので、隠蔽でも紛失でもない」と述べました。

PKO活動の記録文書 官房長官「隠蔽の意図なし」 | NHKニュース

昨年末にTwitterで布施祐仁氏が訴えたことで騒ぎになった日報騒動、なんと河野太郎議員がつついた所、本当は存在していた、という事が明らかになりました。

この話、色々問題点があるように思うのですが、私が特に問題があると思う点は以下のことです。

  • 河野太郎議員がつついたら出てくること
  • 隠蔽の意図が無いこと
  • 法律上問題がないから隠蔽でも紛失でもないとか言ってること

以下、詳しく書いていきます。

河野太郎議員がつついたら出てくること

河野太郎議員がつついたら出てくる、という事実は、情報公開請求制度の大きな問題点が現れていると思います。

2014年に、沖縄をめぐる密約文書についての情報公開訴訟の最高裁判決があり、そこで『過去にあっただけではなく、現在存在することを請求側が証明する責任がある』という趣旨の判決が出たのです。(「沖縄密約文書」不開示に 情報公開の立証責任とは? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語 | THE PAGE(ザ・ページ)

しかし、普通に考えると、そこまで立証できるケースは多くないでしょう。今回もどこにあるのか、ということを証明することは、防衛省側が自ら探し出さないと不可能な場所に存在していたと言えるでしょう。

そして、国会議員が突っつかないと、そこまで情報を公開する側が綿密に探してくれない、ということが今回の件でわかったように思います。

この河野太郎議員が動いたのは情報公開請求制度の枠外の動きなわけで、今回の例は、情報公開請求制度などいらなくて国会議員のコネさえあればいい、的な話になりかねないのではないでしょうか。

そんな国会議員とのコネが重要になる、なんて話ならば、国民に開かれた行政の実現なんて夢のまた夢なのではないでしょうか。

 

隠蔽の意図が無いこと

むしろ、今回のような例の場合、意図があって隠蔽してて欲しいとすら思ってしまいます。

今回のような例で意図がないという場合、そもそも行政の情報管理能力そのものを疑わざるを得なくなるわけで、わかってやっている方が、悪意さえなくせばまともな行政が期待できるという希望があるように思います。

しかし、今回のような話が悪意なく行われる場合、どうやったらまともな判断ができるの?という行き詰まり状態になってしまうように思います。

ただ。この『能力があるが悪意もある』と『悪意もないが能力もない』という状態のどちらが良いと思うかは、各々次第であったり、時と場合に寄るとも言える気もしますが。

 

法律上問題がないから隠蔽でも紛失でもないとか言ってること

Q:状況的に隠蔽か、もしくは紛失かと思いますけれども、いずれですか。
A:法令に基づいて廃棄をしていた、これは法律上は問題がないということでありますので、これは隠蔽でも紛失でもないということです。ただ、先程来言っているように、実際は違うところにあったのであれば、開示をすべきかと言われれば、開示をすべきだと思っています。

防衛省・自衛隊:防衛大臣記者会見 平成29年2月7日(09時41分~10時10分)

隠蔽という物事の定義をどう考えているのかわからないですね。

法律を利用して故意に物事を隠すということはあり得ることで、それは隠蔽と呼べる行為でしょう。

つまり隠蔽かどうかの判定に法令に基づいているかどうかは関係ないと思います。

それをまるで関係あるかのようにひも付け、弁護するのは、弁護士としては優秀なのかもしれませんが、国務大臣としては低評価となるでしょう。

国務大臣は省庁の弁護人ではなく、『国民全体の奉仕者として公共の利益のためにその職務を行』うものなのですから。

 

さいごに

当初、個人的に日報ときいて、本当に簡易なものなのでは、と思っていたら滅茶苦茶細かそうなものが出てきて驚きました。(南スーダン 自衛隊宿営地近くで銃撃戦 「廃棄の日報」政府把握も公表せず|カナロコ|神奈川新聞ニュースなど参考)

こんなに細かく作っている場合、一次資料でもあるわけですから、一年どころか一定期間公文書としてその後公開するという一定の決まりを作るべきではないでしょうか?

少なくともこれまでずっと「随時発生し、短期に目的を終えるもの及び1年以上の保存を要しないものの保存期間は、1年未満とすることができる」という“例外”を適用してきたらしいことについて、イラク戦争の検証もできない国家らしいなぁ、という感想が浮かびます。(戦闘発生時の「日報」廃棄 陸自3カ月足らずで 南スーダンPKO |カナロコ|神奈川新聞ニュース

河野太郎議員などが属する自民党の行政改革推進本部が、昨年末から今回の件を受け、防衛省に改善を要請したようですが(南スーダンPKO全日報廃棄で改善策 防衛省、自民から要請受け検討|カナロコ|神奈川新聞ニュース)、情報公開請求制度自体の検証も含めて、行政の情報管理能力向上に向けて様々な対策を与野党で練り上げてほしいです。(特に政府を監視し、いつかは政権交代するであろう野党にとっては、情報公開は重要なものですから)

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