『2泊3日で日本に観光に来た中国人も国保加入可能』なる情報の検証

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木原氏の動画によって勘違い知識が広まってしまっているようだ。

まぁどういう知識かというとこのブログ記事に書いてあるような『2泊3日で日本に観光に来た中国人も国保加入可能』という知識なんですが、この動画を確認したところ、それは行橋市議会議員の小坪慎也氏がややこしい言葉で説明されているから、そうなったのだと私は思いました。

(追記:その後の小坪慎也氏自身の行橋市議会での質問にて『仮に2泊3日程度であっても、医療目的や観光目的、短期滞在以外のビザであれば』と述べていることを発見しました。なので観光に来た人は国保加入不可能といえるでしょう。)

では、そのややこしい言葉とは何かを説明するついでに、この動画で話された内容についてここに記録してい起きます。(私が見た当時は再生数200ちょいと少なかったし元動画確認している人少ないんじゃないかなぁ)

以下箇条書きが、行橋市議会議員の小坪慎也氏の発言をメモ書きしたものです。発言通りのものは「」をつけて書いておきます。
・今までは1年の滞在で外国人でも国民健康保険などに加入が可能であった。
・1年の滞在に必要なビザは厳格な審査が課せられている。
・小宮山大臣が省令で『3ヶ月滞在で国民健康保険に加入可能』にした。
・「滞在期間3ヶ月のビザというのは、実は24種類、日本にはビザがあったと思いますが、このほとんどのものが対象になります。観光や短期滞在のもの、それ以外のものほとんどすべてが対象になります。」
・再入国手続きをしていれば、5年間保険が効き続けるようになった。
・ 「例えば私の街、行橋市や、熊本市に半年間のビザを持った外国人が訪れて、国民健康保険にとりあえず加入する。例えば2泊3日程度おった。その時にわずか2泊3日程度おった外国人が、本国に戻りましたと。本国に戻った後も再入国いつかしますよという手続きを続けていれば、5年間、国民健康保険を、例えば中国人が中国で受けた医療行為も日本人の血税で払い、そして児童手当も、シングルマザーであれば、児童手当もずっと出さなきゃいけないと、そのような改悪を民主党政権下において行われておりました。」
・昨年の7月から施行されている。

という事です。

これ、後者の例えに『観光』という文言が入っていないのがポイントなんです。
『2泊3日で日本に観光に来た中国人』とは小坪氏は言っていません。半年間のビザで、とは述べていますが。
そして滞在3ヶ月のビザには(一応多分としておきますが)『観光、商用、知人・親族訪問等90日以内の滞在』で使う短期滞在ビザは含まれないとするべきでしょう。
小坪氏は「観光や短期滞在のもの、それ以外のものほとんどすべてが対象になります。」と述べていますが正確には『観光や短期滞在のもの”を除く”、それ以外のもの”は”ほとんどすべてが対象になります。』と言うべきだったのかと思います

外務省ホームページにある90日以上(つまり3ヶ月以上)滞在する場合のビザの種類

就業査証

  • 教授 (例:大学教授、助教授、助手など)
  • 芸術 (例:作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など)
  • 宗教 (例:僧侶、司教、宣教師等の宗教家など)
  • 報道 (例:新聞記者、雑誌記者、編集者、報道カメラマン、アナウンサーなど)
  • 投資・経営 (例:会社社長、役員など)
  • 法律・会計業務 (例:日本の資格を有する弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など)
  • 医療 (例:日本の資格を有する医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)
  • 研究 (例:研究所等の研究員、調査員など)
  • 教育 (例:小・中・高校の教員など)
  • 技術 (例:理工系技術者、IT技術者など)
  • 人文知識・国際業務 (例:外国語教師、通訳、コピーライター、デザイナーなど)
  • 企業内転勤 (例:同一企業の日本支店(本店)に転勤する者など)
  • 興行 (例:演奏家、俳優、歌手、ダンサー、スポーツ選手、モデルなど)
  • 技能 (例:外国料理の調理師、調教師、パイロット、スポーツ・トレーナー、ソムリエなど)
  • 高度人材査証
一般査証
  • 文化活動 (例:無報酬のインターンシップ、茶道・華道の研究者など)
  • 留学 (例:日本の大学・短期大学、高等学校等への留学生、日本語学校の学生など)
  • 研修 (例:企業・自治体等の研修生、実務作業を伴わない研修)
  • 家族滞在 (例:長期滞在外国人の配偶者及び子など)
  • 技能実習1号イ及びロ (例:海外の子会社等から受け入れる技能実習生、管理団体を通じて受け入れる技能実習生)
特定査証
  • 日本人の配偶者等 (例:日本人の配偶者、日本人の実子)
  • 永住者の配偶者等 (例:永住者の配偶者、永住者の実子)
  • 定住者 (例:日系人、定住インドシナ難民、中国残留邦人の配偶者・子など)
  • 特定活動 (例:外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー入国者、報酬を伴うインターンシップ、EPAに基づく看護師、介護福祉士候補者など)
外交査証
  • 外交 (例:外交使節団の構成員、外交伝書使など)
公用査証
  • 公用 (例:外交使節団の事務及び技術職員並びに役務職員など)

となっています。
ここに観光などありません。
しかし小坪氏の『2泊3日の滞在』を自動的に観光に変換し『観光や短期滞在のもの(を含め)、それ以外のもの(も)ほとんどすべてが対象になります。』と変換された結果
『2泊3日で日本に観光に来た中国人も国保加入可能』という情報に摩り替わったのではないか、と推測します。

(追記)

ということで、今回の改正には住基法が関わっていたようです(『省令なんかはネットで公開されていて、その趣旨説明もそこに明確に記載がある』という事実を知らなかった。猛省。)

ということで省令の趣旨は

今般、住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成21年法律第77号。以下「住基法改正法」という。)及び出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律(平成21年法律第79号)の施行に伴い、適法に3月を超えて在留する等の外国人であって住所を有する者は、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号。以下「住基法」という。)の適用対象とされることとなる。
これは、日本に入国・在留する外国人が年々増加していること等を背景に、在留情報の一元的、正確かつ継続的な把握とともに、外国人住民への基礎的行政サービスを提供する基盤を確立するものであり、外国人住民の利便の増進及び市町村等の行政の合理化を目的とするものである。
国民健康保険及び後期高齢者医療制度では、住所を有すること等によって、被保険者とすることとされていることから、今般、国保則及び高確則並びに関係告示について、住基法改正法の目的を踏まえ、内外人平等の原則の下、日本人と同様に、外国人住民を国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者とするための改正を行ったものである。
とのことで、今回の省令改正の根本的な原因は第171回国会(麻生内閣下、木原議員は当時も議員だった)にて成立した住基法改正(『外国人住民の利便の増進及び市町村等の行政の合理化を目的として、外国人住民を住民基本台帳法の適用対象に加える』もので、対象は『観光目的など短期滞在者等を除く、適法に3ヵ月を超えて在留する外国人であって、住所を有する者』と今回の市議の訴えている内容とほぼ合致。『住所を有する』の部分が(意図的に)抜かれているが【参考pdf】)のようです。
これを小宮山大臣だけのせいにするのは、あまりにも悪質な事実のねじ曲げだと思います。
ちなみに住所を有するものが被保険者とされているというのは国民健康保険法の『第五条  市町村又は特別区(以下単に「市町村」という。)の区域内に住所を有する者は、当該市町村が行う国民健康保険の被保険者とする。』にもとづいています。

木原稔議員は、こういう偽情報を平気で流す方なのでしょうか?
ついでにこのページも見ると住基法改正の内容がわかりやすいと思います。

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