興味乱舞に引きこもれず

全記事数:575件

権利保護の緊縮削減に反対するブログ

こども子育て支援 人権問題 労働問題

結婚プロパガンダが着々と進行中

 159views

アドセンス広告

この記事の所要時間: 72

 企業による結婚支援を後押しするため内閣府の有識者検討会が示した提言の素案に対し、見直しを求める声が出ている。既婚者が独身者に助言する「婚活メンター(良き指導者)」を配置する案などに対し、女性支援団体などは「独身者へのハラスメントになりかねない」と批判している。

提言は20日にもまとめる方針。素案では「結婚や出産の押しつけは厳に避けるべき」とした上で、企業や大学による「自主的な取り組み例」として婚活メンターの配置や独身者向け交流会の開催などを列記した。

内閣府の婚活支援案に批判 「独身者ハラスメント懸念」:朝日新聞デジタル

内閣府に設置された「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」にて出された提言の素案が色々と話題になっていましたが、本日、提言がまとめられるようです。(提言(案)がまとめられました。ズラッと書き上げたあとに存在に気付きました。)

素案や検討会の中身について見てみると“結婚の希望を叶える”という言葉が、一見『結婚したい人を結婚させる』方向なのかとおもいきや、そうではなく『結婚してほしいという国家社会の希望を叶える環境整備』を行う方向で物事が進んでいる事がわかります。

ただし、今回の問題が深刻なのは、この結婚プロパガンダといえるような取り組みは、国家発信ではなく、ボトムアップ、つまり都道府県などの地方自治体での取り組みを吸い上げたものであるということです。

それは、第一回の検討会の資料として『都道府県でどのような取り組みがなされているか』ということをまとめた資料が出されていることからもわかると思います。

そして、その取り組みを検証してみると、どうも『官製ハラスメント』ではないのか、と疑わしい実態が垣間見えてきます。

例えば、第二回の検討会にて高知県知事がプレゼンを行った資料が掲載されているのですが、そこには、新入社員や若手社員に『結婚希望などのアンケート』を取るように4月に促していることが取り上げられています。
4月ということは多くの企業が入社シーズンですので、場合によっては、会社に入社して早々、結婚について意識調査される事になるわけですが、それっておかしくないですか?
私にはこのアンケートに対し、プレッシャーを掛けて結婚させる、そういう圧力を感じてしまいます。
おせっかいな人が『まだ結婚しないの?』と問いかけてくる、あの不愉快さと同じ類の感覚です。

上記の高知県の取り組みと、愛媛県での取り組みは『結婚応援のための全国フォーラム』というものでも取り上げるほど、内閣府ではイチオシの事例のようです。

しかし、この取組は本当に危ういものである、と言わざるを得ない内容になっています。

例えば、掲載されている愛媛県での取り組みは『職場のめいわくありがた縁結び』という名称に『めいわく』と含まれてしまっている代物。

県としてはありがた迷惑という言葉を逆転させることで『最初は迷惑かもしれないけれど、良い結果に結び付き、ありがたいと思えること』というメッセージを込めているようなのですが、冒頭が迷惑である時点で『終わりよければ全てよし』みたいなもので、終わりがよくなかった場合のことを考えてなさそうなのがすごいなぁ、と思います。

また、その後制度内容は修正されているものの、当初イメージが『独身社員にお見合いを勧める上司を、各企業において選任してもらう』という、ハラスメント状態を招く可能性が高いイメージだったことや、その後の取り組みを取り上げた新聞記事(資料2に掲載)にて、職場の縁結びさんについて『合コンの幹事さんのようなイメージ』というコメントが掲載されていました。

独身社員にお見合いを勧める上司も合コンの幹事(上司)も正直、たいして変わらないだろう、と思ってしまうのは、私の合コンへの偏見なんでしょうかね。

(ちなみに、『平成 24 年度 厚生労働省委託事業 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)』には、パワハラの事例として『交際相手の有無について聞かれ、過度に結婚を推奨された。(女性、30 歳代) 』というものが掲載されています)

とにかく、先行事例として紹介されているものはハラスメントを誘発しかねないものであることが分かるのではないかと思います。

それを受けての提言骨子案です。

実は、検討会の中に批判者がいるので、そこに考慮してかわざわざ留意点を一項目作るなど、骨子案では『個人に特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることがあってはならないことに留意しなければならない。』ということを強調しているように思います。
しかし、批判者である内藤忍氏は以下の様なコメントをハフィントンポストにて出しています。

結婚するかどうか、子供を持つかどうかは個人の自由。非正規労働者の結婚率が低い現状も明らかになっており、子どもの貧困対策や若年層の労働環境の改善などが先決です。

とはいえ、方向性が決まった以上はよりよい中身にしようと議論を重ね、私も様々な意見を表明してきました。特に問題なのは企業に置かれる「婚活メンター」です。日本の企業のように「嫌です」と拒否するのが難しい環境で、メンターの、恐らくは先輩社員や上司が「彼女はいるの?」「何で結婚しないの?」などと立ち入った話を聞いてくるわけです。どう考えてもおかしい。独身者へのハラスメントですし、LGBTの人々もいる。そもそも会社は「仕事をするところ」。プライベートを明かさなくてはいけない場所ではない。

案は7日に提示されましたが、何人かの委員から疑問の声が出ました。それまでの検討会で指摘されていたことは「取り組みにあたっての留意点」の項目に入れられました。会は年内で取りまとめられ、次回が最終回の予定となっています。このまま決着すれば結論ありきの検討会と感じます。

留意点もどこまで現場に伝わるか。自治体に指示された企業の現場レベルでは、婚活の達成率が『ノルマ』のように作用し、強制につながる恐れもあります。

「独身ハラスメント?」結婚を支援する内閣府検討会の提言骨子案がひどい

結論ありきというのは、まさにその通りで、少子化対策のはずが、結局は『結婚プロパガンダ』といえるような内容になってしまっているとしか言いようが無いと思います。
それはなぜかといえば、結局、『結婚すること』に焦点があたってしまっているからです。少子化対策ならば、焦点を当てるべきは結婚ではなく『出産・子育て』であるはずなのに。

その『結婚』に注目してしまっている延長線上にあるわけですから、ライフプランについてのセミナーなども結局は『理想的な生き方』という価値観を自然と押し付ける形になるしか無いだろうと思われます。

そういうことをして『理想』や『正しい』もので人を苦しめるよりは、第一回の検討会ではまともに触れられていた『若年者支援』みたいなものを、まずきちんとやるべきなんではないか?と思いました。

ちなみに、今回、一番興味深かった反応は、民進党のサイトに掲載された『「婚活メンターより安定した収入を!」内閣府婚活検討会の論点に男女共同参画推進本部総会で異論続出』という記事にかかれていた『検討会では経団連の委員からも、「企業がそのような取り組みを行うことは、多様な価値観を有する人間が集まる職場でのハラスメント・リスクが増大する」等の懸念が表明されていることを紹介』という経団連側の反応でした。
やはり使用者側も余計なリスクは負いたくないようです。

(2016/12/20にまとめられた提言案では『婚活メンター』の文言は消え、全体的にハラスメントなどへの配慮への注意が目立つような文面になっているように思いますが、この提言がどう機能するのかは注視していく必要があるでしょう。)

参考

どうして政府は「婚活メンター」を説明できないのか?ーー民進党男女共同参画推進本部総会で議論しました | 活動ブログ | 辻元清美WEB

結婚の希望を叶える環境整備向けた企業・団体等の取組に関する検討会提言骨子(案)に対する懸念点(日本労働組合総連合会総合男女平等局資料)

参考資料1 第4回議事要旨

国家プロジェクトと化した「婚活」 莫大な税金投入は誰のため? - messy|メッシー

 

関連記事&アドセンス広告

-こども子育て支援, 人権問題, 労働問題
-,