総理が解散権を握ることで、(野党は)落ち着いて議論ができない

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民進党が早期の衆院解散・総選挙をにらみ、年末の活動費として所属衆院議員に一律約200万円の「もち代」を支給したことが1日分かった。党幹部は「蓮舫執行部は衆院解散が近いとみて異例の対応に踏み切った」と説明している。

民進「もち代」支給 衆院解散にらみ異例対応 – 共同通信 47NEWS

この記事を見て、思ったことが『いつ解散するかわからない場合、野党は選挙に関する負担を常に受け続けないといけない』ということです。

例えば、アメリカの場合、解散というものがなく、あの豪快にお金をつかう大統領選挙などもいつ行うかが決まっているからこそ、お金を豪快につぎ込めるのではないか?と思うことがあります。

現在の官邸と与党の関係性はよくわかりませんが、一般論として、議院内閣制では与党の党首を総理とした内閣が形成されているわけで、それはつまり与党と官邸とが意思疎通を行うことが容易にできる体制にある、という可能性が非常に高いわけで、「いつ解散するんですか?」みたいなことも容易に把握できる可能性が非常に高いわけです。
それが把握できれば無駄な労力をかけないで済む可能性が高いでしょう。

しかし、野党はその把握ができない可能性が高く、その出来ない場合、無駄な労力になりかねない中途半端な選挙対策を行ってしまう可能性が高いといえるのではないでしょうか?
無駄にエンジンを吹かしてしまうと、当然燃料は無駄に消費してしまいます。
無駄なアイドリング状態です。
アイドリングストップが出来る与党に対し、野党は常にある程度の燃料を消費しないといけない状態になります。
しかもその燃料消費も解散確定ではないために中途半端な消費にならざるを得ず、結果的に本当に無駄な消費にしかなり得ない可能性が高いです。

一方で、燃料を消費しないで選挙まで節約しようとした場合、何が起こるかというと、不意打ち解散の可能性が出てくるわけですね。死んだふり解散のようなものが。
死んだふり解散をされてしまうと、野党は準備不足かつ争点不在で埋もれてしまうので負け戦確定になってしまいます。

一方で死んだふり解散を警戒するがために、無駄な労力になりかねない選挙対策を行ってしまう場合、争点を常に作る努力を行ってしまい、冷静な議論を阻害する効果が解散権により起こってしまう可能性が非常に高いのではないでしょうか?

本来は衆議院だと4年の任期が与えられ、4年一区切りを前提に議論が行われるはずなのが、総理が独断で解散権を使えるために議論がドンドン短期になっていかざるを得ず、野党は争点を作らないといけないとなってしまい、どうしても議論は争いになってしまう・・・

これを野党の力不足と見る人もいると思いますが、私は首相に解散権が握られてしまっているのが国会が機能を失っている一番の原因なのではないか?と思わざるを得ないです。

どこかの誰かさんが「田舎のプロレス」なんて訳の分からない表現をしていましたが、実態は信頼関係のできていないしょっぱいプロレスにしか議論がなってないという話で、そこが成立していないというのは、解散権が原因の過半を占めているような気がします。
(昔の議論が成立していたかどうかはわかりませんし、成り立っていたとしたらそれはある意味「奇跡的なバランス」が成り立っていただけのような気がします。「うまく噛み合ったプロレス」が上手く出来ていたという話。)

現在は、どこかの誰かさんたち(与野党問わず)がプロレスを批判的に使うように、与野党が信頼関係を持ち素晴らしいプロレスのように噛み合った議論を行うと批判されてしまう可能性があるわけで、表向きは総合格闘技のようにならないといけないのでしょう。

総合格闘技をするならば、試合が面白くなるようなルール設計を行う努力をしないと、どんどん試合が淡白化していき、人気は低下し、噛み合わない試合が量産される悪循環に陥るでしょう。

その重要であるルール設計のまず第一として、解散権をどうしていくのか、というのは絶対に考えるべきだと私は思います。

ちなみに日本が議院内閣制の参考にしたイギリスでは以下のような解散権についての法改正が最近行われました。

英国では2011年議会期固定法で総選挙は5年ごとに5月の第一木曜日に行うことが定められた。今回の場合は5月7日が木曜日である。

それ以外に議会が早期解散されるのは

(1)内閣不信任案が可決された後、新しい内閣の信任決議案が可決されずに14日が経過した場合

(2)下院の議員定数の3分の2(434議席)以上の賛成で早期総選挙の動議が可決された場合

――に限られている。

英国の首相はなぜ解散権を放棄したのか【2015年英総選挙(1)】

このイギリスの動きがどう働くのかはしばらく観察しないとわかりませんが、イギリスを参考にしている日本でもある程度検討の余地があるのではないでしょうか?

 

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