逆効果の『改善』を行う苦し紛れの電通

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 電通は18日、最長で月70時間として労使で協定していた所定外労働時間の上限を、月65時間に5時間引き下げる運用を始めたと明らかにした。協定内容の変更に向け労働組合と協議する。

女性新入社員の過労自殺を受けた労務管理刷新の一環。11月1日から正式に運用を始めるが、可能な範囲で10月中に始めるという。

臨時的な事情がある場合にこの上限を超えることが認められる「特別条項」の延長時間についても、引き下げる。さらに、今年4月の新入社員については11月と12月、特別条項を適用しない。

私的な情報収集などの理由による在社も禁止した。石井直社長が17日、社員向けに発信したメッセージの中で説明したという。

電通、残業上限を引き下げ 過労自殺受け改善策 ― スポニチ Sponichi Annex 社会

今回の女性社員の方の件は、明らかに協定内容が守れていなかったことが原因の1つ担っていたと思われるにもかかわらず、その守れていなかった協定内容をさらに守ることが厳しいであろう内容に改定する、これはどう考えても、また守れなくて協定内容が空文化していく前触れとしかならないと思われます。

こういう空文をいじるよりも業務実態をどうこうしないと、企業が責任を逃れていく過程を進んでいく様子にしか見えないです。

【電通過労死事件】被害者のツイートから浮かび上がる電通の体質 – メンヘラ.jp』や『二度も過労自死を招いた電通は小手先の数字をいじるよりまず法令遵守を(渡辺輝人) – 個人 – Yahoo!ニュース』などの指摘でもあるように、今回の問題は電通という企業(が属する業界)の体質・文化の根っこがイカれているといわざるを得ないようなものであることが原因になっている可能性が高すぎるわけです。

そこに関して何も手を付けずに、文章をいくらいじろうが、それはそこで働く労働者にとっては、何も意味が無いどころか、実態と乖離している決まりを押し付けられるだけでさらに労働環境が悪化する事につながってしまうようなことにしかなりません。

例えると、処理しきれない業務を労働者に押し付けながら、残業代をケチるために『長時間労働の撲滅・残業の削減』というお題目を盾に、無理やり従業員を会社から追い出す“ノー残業デー”のような、結局別な日に労働時間を移動し増やすというオチになる、というようなやつです。(『私的な情報収集などの理由による在社も禁止』というのも、結局は社外に労働関係の活動を押し出しているようにしか思えません。)

そういうことをやるよりは、そもそもの業務の量を減らしたり、業務の内容を不毛なものから改善したり、雇用者数を増やして労働時間を温存しながら一人あたりの労働時間を減らすなどの実態改善を行わないかぎり、労働による自死は減らすことは出来ないでしょう。

それが表向きに効果・評価として現れるのは長い時間が必要だと思われます。
だからこそ、短期的に『自殺者を出した会社である』という評判を改善しようとして小手先のごまかしに走るのでしょうが、それが結果的にそこで働く労働者をさらに追いつめることになるということに、経営陣にいる方々に早く気づいてほしいものです。

 

ついでに池田信夫批判

池田信夫氏が『電通「過労自殺」事件の原因は長時間労働だけではない 問題は「ブラック企業」ではなく日本社会にある | JBpress(日本ビジネスプレス)』という記事を書いているのですが
記事中で勝手にブラック企業の定義を『長時間労働している企業』と決めつけていたり(実際は労働環境全般を考慮した結果、それらが悪い企業のことを指すことが多い)
そのブラック企業という指摘を『卑怯な呼び方』と表現していたり
結局『100時間程度の残業は私も経験したことがある。この程度は、多くのサラリーマンが経験しただろう。』『それを「ブラック企業」という卑怯な呼び方で呼ぶなら、日本の企業はほとんどブラックだ。』と開き直っているなど、どうしようもない人だな、という印象しか強まらなかったことにも触れておきます。

さらにどうしようもないと思うのは『「この会社はブラックだ」と思うなら辞めればいい。それを妨げているのは、高橋さんの頭にも深く焼き付けられていた日本社会の「空気」なのだ。』という話。やめたところで拾ってくれる会社が存在しているのか不明である可能性などをすべて『日本社会の空気』という無内容な言葉でかき消してしまっている。
そのように労働者が自由に辞めるには、やめた後の保障が必要であることは、会社を辞めることを検討したことがある人間ならば誰しもが思いつくことだろう。でも池田信夫氏はそれには触れないのだ。それに触れてしまうと都合の悪い『政府介入』に頼らざるを得ないからでしょうが。

その保障に触れない代わりに、池田信夫氏は労働者の能力が高いことに触れるのです。例えば『東大を出た優秀な人材が起業しないで、電通のような終わった会社に就職し、所得や社会的地位は高いが人生を無駄に過ごす。それは彼女にとって不幸であるばかりでなく、社会にとっても損失だ。』というように。

でもそんな優秀な人材だけで社会が出来ているわけがないことは、優秀な人材じゃなくてもわかっているでしょう。むしろ優秀な人材と自身を勘違いしている、ナルシスト人間だけがわかっていないかもしれないですが。

そういうナルシスト人間しか池田信夫が提唱するやり方では辞めることが出来ないでしょう。そして池田信夫はそれを理解した上でこれを提唱するのでしょう。
『役立たず人間は社会から淘汰せよ』なのでしょう。
今回の亡くなった方が東大出身じゃなかったら、自死を『これも社会に必要な新陳代謝』とか言うんじゃないでしょうか。

それ以外にも、自由な解雇を妨げているのは『規制ではなく、それを「ブラック企業」と呼ぶマスコミの評判で新卒が採用できなくなる損失だ。』などとほざいていますが、ブラック企業と指摘されている企業が新卒採用できなくなっているという実態がどこにあるのか、証明してほしいものですし、そこにメリットが有ることがわかれば新卒でも人は行くでしょうし(だからこそネットに悪評がある大企業でも新卒で入ろうと思うわけで)他責してれば自己正当化が出来るという人は経営者になってほしくないですね。

池田信夫氏がどこか大きい会社の経営者じゃなくて、どうでもいいインターネット言論サイトの運営会社のトップなだけで良かったです。労働者は大変だと思いますので、池田信夫氏の主張のように好き勝手にさっさともっといい環境の場所に自由に転職すればいいと思います。

どうでもしようもないインターネット言論サイトをさっさと淘汰しましょう。

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