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表現の自由と破防法とヘイトスピーチ

2015/10/30 462views

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今回は『渋谷暴動事件』についての判例について見て面白かったので記事にしておきます。

現在Twitterで『破防法』と検索をすると『朝日新聞と民主党に破防法の適用を』なんていう地獄のようなツイートが見つかるのですが、それはそれとして、そういう言動が出来るくらいには、破防法というものがどういうものか、なんとなく雰囲気程度だったとしても理解している人は多いのではないでしょうか?

オウム真理教に適用されなかったことでも有名な破防法ですが、そのオウム真理教に適用されなかったのはあくまでも『団体規制』の部分であって、破防法には団体だけではなく、個人に適用する罰則を定めた条文も存在しています。

その破防法の処罰が適用された事例はいくつかあり、その中の一つが渋谷暴動事件です。

 

で、今回なぜタイトルに『表現の自由』とか『ヘイトスピーチ』と含めているかというと、この破防法の罰則に『政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもつて、〇〇の罪の予備、陰謀若しくは教唆をなし、又はこれらの罪を実行させる目的をもつてするその罪のせん動をなした者は』という罰則が存在していることが理由です。

渋谷暴動事件の被告の主張では、このせん動罪について『政治思想を処罰するのは憲法違反だ』とか『表現活動を処罰するのは憲法違反だ』という主張を行い、その結果でた判決がそこら辺の論点に関わると思うので(ヘイトスピーチ、ヘイトクライム法について様々書いている前田朗氏のブログの憲法との関係について検討する記事で破防法が出てきている)。

その結果、出された判決が、ヘイトスピーチ規制に関して考えるときに重要な一要素となる気がしたので、載せておきます。(ヘイトスピーチには『〇〇殺せ』という明らかなせん動の文言が含まれているのは基礎知識として持っておきたい)

 

破壊活動防止法三九条及び四〇条は政治思想を処罰するものであり、憲法一九条に違反ずると主張する。しかしながら、破壊活動防止法三九条及び四〇条のせん動罪は、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的(以下「政治目的」という。)をもって、各条所定の犯罪のせん動をすることを処罰するものであるが、せん動として外形に現れた客観的な行為を処罰の対象とするものであって、行為の基礎となった思想、信条を処罰するものでないことは、各条の規定自体から明らかである

まず、ここから言えるのは、思想がどんなものであっても『せん動として外形に現れた客観的な行為』があったら処罰の対象になり、かつそれを処罰しても思想信条自体を処罰したとは言えないということです。

要するに思想信条の自由と、外形的に見える行為を処罰することは矛盾しないということ。内心の自由は認めるが、(内心から出た)外形的な行為は公共の福祉に影響を与える以上処罰される対象になり得る、ということです。(どこまででも処罰していいとは言っていない)

 

破壊活動防止法三九条び四〇条は表現活動を処罰するものであり、憲法二一条一項に違反すると主張する。確かに、破壊活動防止法三九条び四〇条のせん動は、政治目的をもって、各条所定の犯罪を実行させる目的をもって、文書若しくは図画又は言動により、人に対し、その犯罪行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢のある刺激を与える行為をすることであるから(同法四条二項参照)、表現活動としての性質を有している。しかしながら、表現活動といえども、絶対無制限に許容されるものではなく、公共の福祉に反し、表現の自由の限界を逸脱するときには、制限を受けるのはやむを得ないものであるところ、右のようなせん動は、公共の安全を脅かす現住建造物等放火罪、騒擾罪等の重大犯罪をひき起こす可能性のある社会的に危険な行為であるから、公共の福祉に反し、表現の自由の保護を受けるに値しないものとして、制限を受けるのはやむを得ないものというべきであり、右のようなせん動を処罰することが憲法二一条一項に違反するものでないことは、当裁判所大法廷の判例の趣旨に徴し明らか

せん動は表現活動ではあるが、公共の福祉に反し、表現の自由の限界を逸脱したら、制限を受けるのはやむを得ない、というのがこの判例で書かれています。

この『公共の福祉に反し、表現の自由の限界』というワードがなんとなくキーワードになる気がします。

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