参院選も終わり、政治の話題は東京都知事選挙の方に移行しました。
移行したのは良いのですが、いくつか見た選挙関連報道にて、明らかにおかしい物があったので、そこについて今回は書きます。
そのおかしい物とは、今回の東京都知事選挙の票読みのようなものを語る際に、先日の参議院議員選挙の東京選挙区での自公当選者3名と野党当選者3名の得票数を単純に合計して比較するという使い方をするという、東京選挙区での得票数がまるで政党が持っている票数を示しているかのように扱ってしまっていることです。
これは明らかに間違ったデータの使い方であると思います。以下その理由を二点示します。
候補者の個人差
選挙区の場合、候補者個人の魅力にて得票している事があります。
先ほど提示したような単純に候補者が得た票を足し算して比較するという行為は、そのような候補者個人の魅力を無視することになります。
特に、今回の選挙の場合、東京選挙区は民進党の蓮舫議員が、個人の魅力にて無党派層(や他党の支持者)から多く得票したという分析があります。
また、自民党と民進党の東京都での比例得票数が、選挙区候補者の得票数と乖離している、という分析もありました。(2016参院選:得票分析 自民比例は圧倒 民進、党より個人 /東京 – 毎日新聞)
このように様々な考慮素材がある選挙区構図を無視したまま単純に候補者得票を政党の持ち票のように扱うのは不適切だと思います。
(比例得票数も多少は候補者個人票がありますが、選挙区得票を利用するよりまだ正確なものになるように思います。)
国政選挙と都知事選挙
また、国政選挙と都知事選挙だと、イシューや役割が変わってくることも無視してはいけません。
政党や候補者のイメージを考えても、求められる印象などは国政選挙とは違うものになります。
例えば、国政選挙だと『野党』という役割が存在しますが、都知事選挙だと『与党』しか枠がありません。この違いを考慮せずに、国政選挙の得票を知事選挙などに持ち込むのは、ちょっと違うのではないでしょうか?
おわりに
先ほど比例得票数だとまだましなのではないか、みたいなことを述べました。
実際に東京都での比例得票数で国政与野党を比較すると、与党が圧倒している数字が出て来るのではないかと思います。
もしかすると、そういう数字を使うと公平性に欠けると思ってしまったのかもしれません。若しくは接戦の方が盛り上がると判断したのかもしれません。(野党を贔屓しようとしているという見方は、与党贔屓が多い産経新聞も同じことを行っているのを確認したので、その時点で否定していいのではないかな、と思います。)
このような薄っぺらい票数分析を流すよりも、個人的には東京都が抱える問題について改めて振り返ったり新たに掘り出すような報道を期待したいです。これからの選挙戦中の報道も注視していこうと思いました。
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