「若者の投票率が低いから云々」について ~投票だけでいいんですか?~

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18歳参政権に関連して、「若者の投票率が低いから、若者の待遇が悪い」という趣旨の言説がいつも以上に流れてきて、いい加減うざったいのでちょっと反発というか、この点が抜けているとやばくないか?と思うことを記述しておきます。

 

高齢者の意向は反映されているのか?

冒頭の主張は高齢者の投票率が、というシルバーデモクラシーのようなものと並べて主張されることが多いです。

で、そのようなシルバーデモクラシー論を聞くたびに思うんですけど、そんなにお年寄りの意見って通ってますか?

例えば年金だって『逃げきれる』程度のレベルでしかなくて、それは高齢者の投票率が高いかどうかは無関係で、社会状況の変化に対応しきれずに、政府がそこまでしか足掻けなかったというだけじゃないですか。
さらに言えば給付額はガンガン減っていて、そもそも低年金で生活保護に頼っている高齢者が増えているじゃないですか。それに何か対応しているかって、何もしてないじゃないですか。

また、懐かしい後期高齢者医療制度、負担増の反発がありましたが、あれも通称を変える程度のわけわからない舐め腐った配慮しかされなかったじゃないですか。(実際の中身がどうだったかというのは別として、批判が通るか?という話として考えてください。)

また、選挙前に3万円配れば選挙対策になる、という舐め腐った対応してるじゃないですか?

その他安保など諸々の事を含め、全体的な傾向を見ている限り、投票率が高いはずの高齢者の意向すら反映されず、反発が起こっている、というのが妥当な見方なのではないでしょうか?

 

そもそも若者政策って何? 若者って何?

「投票率が低いから、若者向けの政策は先送りされる」なんて言いますが、そもそも若者向けの施策ってどういうものですか?

具体的にこれだ、という事がはっきりしていないから、若者政策というものが盛り上がらないのではないでしょうか?

また、はっきりしないまま投票率が上がっても、若者政策が存在しない現状を追認する票(与党票も与党への追認になり、野党票も野党への追認になる)になってしまうのではないでしょうか。

さらにはっきりしないまま若者政策を政治家が模索しても、とんちんかんな若者像で、とんちんかんな施策を撃ちだされてしまうのではないでしょうか?

現在、様々な政党が18歳参政権を受けて、特設ページなどを作っています。しかし、そのページを見る限り『若者のイメージが貧困すぎるというか、偏見・誤解がある』ように感じます。

若者の犯罪が、とかゲーム脳とかオタクとリア充とか、そういう言説の話にも繋がるのですが、社会上での若者イメージと実際の若者像にズレが生じているのではないでしょうか?

そういうズレの存在する中で若者政策を打ち出そうとしても、ズレた施策になってしまうのではないでしょうか?

適切な『若者』を観てもらえるように、若者イメージを修正するように政党に働きかける必要があるのではないでしょうか?

(実際は、シールズもJCもヘイトスピーチをする輩もオタクも意識高い系もヤンキーもリア充も目立たない人、その他諸々若者の中に存在するわけで、そんな多様性があるということと、それを1つのイメージにまとめてしまうのは困難だと思いますが)

属性は年齢だけではない

先ほど触れましたが若者の中でも右派も左派も居ますし、労働者もいれば自営業者もいるし、もう起業して法人役員になってる人も居るでしょう。そのように様々な社会的・思想的ポジションがあるわけです。

そして各々改善してほしいものは様々有って、優先順位も様々です。それのどこまでが若者政策に含まれるの?という事を考えないといけないのではないでしょうか?

つまり「若者」も多様なものであり、一枚岩ではないわけで、投票率が上がっても、別なメッセージのほうが強く出てしまい、若者政策につながらない可能性もあるのではないでしょうか?

 

投票以外に出来ること(をする暇と能力がほしい)

なんというか、投票率をあげようという言説の殆どが『投票だけで後は議員にお任せ民主主義』と呼べるような物を前提にするものになってしまっているように思うのですが、そうなってしまっていることが、根本的に「失望」に繋がる原因になってしまっているのではないか?と思うのです。

実際は選挙ですべてが決まるわけではなく、例えば選挙期間外の言説で選挙の争点なるものがきまったりしますし、選挙公約的なものの中身も選挙期間外の言説の影響を受けるでしょう。

そういう選挙期間外の活動での動き、つながりが一番重要で、投票率などの選挙結果ってそういう部分が有ってこそ活きてくるものなんじゃないのかな、って思うんです。

ただし、なんで言説の殆どが『投票だけで後は議員にお任せ民主主義』と呼べるような物を前提にするものになってしまっているかって言われたら、殆どの人が投票ぐらいしかしようがないからなんだと思うんです。

選挙期間外の活動が出来る程の暇とか人脈がある人は本当に限られているでしょう。特に『暇』という部分では、定年でも迎えないと困難ではないでしょうか。それ以外の方々は、何かを犠牲にしないと、活動なんて出来ないんじゃないかな、と思います。

シルバーデモクラシーという問題を解消するためには、そういう発信力、政治参加労働力、政治知識、経験の格差を埋めることが必要なのではないか?と思うのです。

ちなみに、「投票率が低い若者の意見は、日本の政治に反映されない」というNewsweekの記事によると、投票率の差は世代だけではなく、世帯年収でも読み取れるようです。ここも格差是正の必要があるということなのだと思います。

そういう部分を改善しないまま「投票だけであとは政治家にお任せ」という構造を続けてしまったら、「そんなことをしろなんて要求していない」という失望のはけ口が無いままになってしまい、ただただ失望だけが募っていき、政治から離れようとするインセンティブが働いてしまうのではないか?と思うのです。

(そういう意味で18歳選挙権に巻き込まれた高校生などがちょっと心配です。)

 

その他の世代と対立しない方向性の模索

そもそも「若者」は有権者として絶対数が少ないです。つまり全体的に投票率が上がってしまったら、どれだけ若者の投票率を上げても絶対数で負けてしまいます。つまり投票での正面衝突は避ける事が必要なのではないでしょうか?

そこで、必要なのはLGBTでいうところの「アライ」のような存在ではないでしょうか?

Twitterにて『我々「ちょっと前まで若者だった世代」が不甲斐なかったから』と言っている方が居ましたが、そういう風に思っている方と手を組んでいけばいわゆる「若者派」といえるような方が多数派になるのではないしょうか?

また、現在絶対多数を握っている状態である高齢者の中にも、説得に応じてくれる方は居ると思います。というか居なければいくら抵抗しようが投票率ではどうしようもないです。若者政策をしない政党に絶対多数の支持が回ってしまうので。
そうならないためにも、投票率以前の根回しが重要であるといえるのではないでしょうか?

おわりに

選挙期間も終盤だという頃にお前は何を言っているんだ、という話ではあるんですが、今回の結果がどんなものになったとしても、失望せずに1から草の根をおろしていきましょう、という話だと思ってください。「今回の投票率が低くても絶望するな」という保険みたいなものだと。

そして、日本には若者問題以外にも、草の根がおろされていない、議論が宙ぶらりんになっているような問題がたくさんあります。若者政策を考える延長として、そういうその他の問題にも目を向けてみてはいかがでしょうか?

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