「労働者派遣はそもそも特別に許可されたものである」という観点

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「派遣法改正案」のいったい何が問題なのか

東洋経済オンラインの記事です。

今では、日常用語としても定着している派遣労働は、1985年に労働者派遣法が制定されるまでは、「職業安定法」によって厳格に禁止されていた。歴史的に見ても派遣労働のような間接的な雇用形態は、中間搾取(ピンはね)が横行し、労働者を酷使し使い捨てにされてきた苦い経験があるからだ。

 

これについて私も調べるまで知らなかったんですが、労働者派遣というのは、労働者派遣法によって合法化するまで明確に違法行為として定められていたんですね。

 

第三章の三 労働者供給事業

(労働者供給事業の禁止)
第四十四条  何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
(労働者供給事業の許可)
第四十五条  労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。

出典:職業安定法

 

この労働者供給事業というのはどういうものかというと、派遣元とは支配隷属関係にあり、その上で、派遣先と雇用関係や指揮命令関係になるということを指します。

そして、労働者派遣は、派遣元と雇用関係にあることで、支配隷属関係のような不当な条件(労働者を不当に支配したり中間搾取など)を押し付けられたりすることがないだろうという想定のもとに特別に許可された労働者供給事業の一部の事を指すわけです。

労働者供給事業と労働者派遣

(画像出典:連合|労働者派遣事業と労働者供給事業は何が違うの!(労働者派遣に関するQ&A

しかし、この支配隷属関係のような不当な条件を押し付けられたりすることがないだろうという想定が間違っていたのはグットウィルの「データ装備費」問題やら派遣切り問題やらがあるように、また派遣ではない正社員の現状を見れば分かるように『雇用関係にあることが平等な関係にあることを意味するわけではない』というのが実体なのだと思います。

そして、今回の改正はどうも『10月にあるみなし制度での混乱を回避するために改正を急いでいる』という印象があるのですが、派遣先との雇用関係が存在しないこと、また派遣元が派遣先と平等な派遣契約を結べるわけではないということ、そしてそもそも雇用契約・労働契約が対等契約にはなっていないのではないか?、労働力の需要調整のためにどれだけ労働者を振り回すことが許されるのか?等を考えた上での労働環境全体の組み立て直しが必要なのではないか?と今回の労働者派遣法改正案について調べた結果、私は考えたのでした。

(みなし制度=違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約〈要するに直接雇用〉を申し込んだものとみなす制度)

 

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