大阪維新の会は本当に地域政党たりうるのか?

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2013年の参議院選挙が行われた時期、私は千葉県で生活を営んでいました。その時、千葉県選挙区にて日本維新の会の候補者として出馬していた方が何度もこういう言葉を述べていたのを、私は印象深く覚えています。

『日本維新の会は唯一、地域政党から出発した政党です!』

さて、その日本維新の会の出発点である、地域政党『大阪維新の会』ですが、「ニアイズベター」を謳っています。この「ニアイズベター」というのは地域政党が支持される理由でもあります。

(ニアイズベター=近いほどいい、問題はより身近なところで解決されなければならないとする考え方のこと)

その地域政党である大阪維新の会なのですが、現在いわゆる『大阪都構想』というものの賛否を問う住民投票を吹っかけている最中です。

いわゆる『大阪都構想』と“いわゆる”という言葉を付けたのは、今回の住民投票自体では『大阪都』という名前の自治体は誕生しないからです(今回の住民投票で賛否が問われるのはあくまでも『大阪市を、中央・東・南・湾岸・北、の5つの特別区に再編するか否か』という部分)。

 

さて、少し寄り道をしますが、最近イギリスで行われた総選挙を思い出して頂きたい。イギリスで行われた総選挙ではスコットランド国民党という地域政党がスコットランドのほとんどの選挙区で勝利するという大躍進を遂げました。

このスコットランド国民党は地域政党として『中央であるイングランドへの対抗心』や『イギリスの唯一の核兵器がスコットランドに配備されていることへの反対』という、自治の部分で遠くの民意や権威で決まってしまっている事への批判をずっと行っていて、それが最近のスコットランド国民党躍進の理由の一部であります。

 

さて、話を大阪維新の会に戻しましょう。

大阪維新の会はニアイズベターを論拠とする地域政党です。それはスコットランド国民党も同じだったと思います。

それを考慮した上で、今回、大阪維新の会が行っている住民投票での主張や選挙活動を示した以下のツイートを御覧ください。

 

 

 

なんか色々ありますけど、ここまで『地域を否定する地域政党』ってアリなんですかね? 西成には釜ヶ崎とか飛田新地があります。確かにそれらは『負』のイメージとして語られることが少なくはありません。しかし西成という名前を変えて『イメージを変えて全部解決!』というような小手先の解決で全部おわらせようとするのは、明らかに釜ヶ崎や飛田新地を切り捨てたいという意識がそこから漂ってくるのです。

そういう意識で行政を行うということは『負のイメージの元になるものは全部追い出せば解決!』という行政を行うことであり、結局『釜ヶ崎に居る方々を大阪府以外に移動させて解決する』などの問題を他人に押し付けて解決という、結末しか想像できません。

このように自分たちの問題を自分たちで解決せずに、他所に原因を押し付けて解決した気にしてしまうのは、釜ヶ崎に対して、他所の自治体が行ってきた行為でもありました。

それに対抗する精神は理解します(大阪に押し付けてくるというものへの反抗は、大阪の地域政党という意味で分かる)。しかし、それを自らも行ってしまうのは選民の町という負のイメージを新たに生むだけではないでしょうか?

また、自民党の市議が西成区を否定的に語った時に大阪維新の会の西成区選出(ニアイズベター)の市議が以下の反論ツイートを行ったように、西成区という名前自体をそういうマイナスイメージにすることは、西成区の地域住民として反対の民意があるということを市議自身、認めているのではないでしょうか?そこで『西成にはろくでもないイメージがあります!だから西成区という名前を変えられる大阪都構想に賛成を!』という事を堂々といわゆる大阪都構想のメリットとして語り出すのは、西成区選出の市議さんの意見(ニアイズベター)を否定することになりかねないのではないでしょうか?(今は変節しちゃってることも以下に示しておきますが)

 

考えて欲しいんですけど、福島第一原発事故が起きました。福島第一原発事故で福島に負のイメージが付きました、と言って『福島の名前を変えましょう!』と言いますか?広島や長崎には原爆投下がなされたイメージがあります。それを負のイメージだといって『地名を変えてイメージ一新!』と言いますか?

必要なのは小手先の『名前自体を変える』ではなくて、実態を変えることでしょう?そういう努力を積み重ねたからこそ広島・長崎は現在は観光地として一定の地位に収まったわけで。

大阪維新の会は『実態を変えるために、まずは外見を変えましょう』というのが常にあるようですが、個人的にそういうやり方は『渋谷区のホームレス追い出し、ナイキと公園のネーミングライツ契約を行い、公園を豪快整備』に通ずる物があるように思います。

そういう負の歴史を『グレートリセット』して、イメージを変えて全部解決!という滅茶苦茶なことをしても、『隠そうとした』ということで、更に負のイメージを煽ってしまうのはこの『西成区の名前を変えられます』という言動を見ると分かるのではないでしょうか?

エリートパニックとは少し違いますが「情報隠しは疑惑を生むことなどに繋がり、混乱を生む」という原則を地で行く対応のように私には思うのですが、如何でしょうか?

 

  • ちなみに

大阪維新の会は地域政党という事を述べてきて、そこからそれたような気がしますが、地域政党ということを考慮した上で、以下のツイートと記事と西成区についての対応を見ると、『大阪維新の会って本当に地域政党?』という疑問がわくように思います。中央の権威、中央の視点をおもいっきり持ち込んでそれに従っているようにすら見えてしまうのですから・・・。

 

 

大阪都構想の是非を問う17日の大阪市の住民投票をめぐり、菅義偉官房長官が同構想を事実上支援しているとして、橋下徹市長が菅長官に電話で謝意を伝えていたことが分かった。菅長官は15日午前の記者会見で同構想に改めて理解を表明。橋下氏と対峙(たいじ)する自民党大阪府連が首相官邸への不満を強めそうだ。
菅長官は会見で「橋下氏から電話があったことは事実だ」とした上で、「都構想は二重行政の無駄を撲滅するものだ」と強調。自民党府連と共産党の「都構想阻止」での共闘に、「自民党議員が共産党の街宣車に乗って(運動を)やることはあり得ない」と重ねて不快感を示した。
橋下氏も14日夜、大阪市内で記者団に「お礼の電話はした」と説明。「官邸サイドが旗を振って『反対』と明言すると、自民党支持層で都構想の賛成に回ってくれる人がぴたっといなくなる」と菅氏の対応を評価した。(2015/05/15-11:53)

出展:橋下氏、菅長官に謝意=都構想「支援」に|時事ドットコム

 

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