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伊方原発の避難問題

2015/11/06 123views

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4月のはじめに『伊方原発が夏にも安全審査合格 3例目、再稼働には時間』という記事が出ていましたように、伊方原発は国内でも比較的再稼働に近い原発です。しかし、この原発にも避難の方法の問題が幾つか存在しています。今回はその伊方原発の避難計画を特集した毎日新聞の愛媛版の記事を紹介します。

伊方原発は愛媛県の佐多岬半島の入口に当たる伊方地区に位置している原子力発電所です。この『佐多岬半島の入り口』という位置取りが厄介な問題を引き起こしています。事故が起きて放射性物質が放出されてしまうと、佐多岬半島から陸路で脱出する経路が進入禁止区域になってしまうのです。

愛媛県は、福島第一原発事故の場合も本格的な放出までは4日の余裕があったから大丈夫だろうという見込みを立てています。しかし、事故の状況が福島第一原発事故よりも過酷事故になる可能性だってありますし、人が多すぎて陸路避難に手間取り間に合わなく可能性もあります。そこで愛媛県はそういう時のための避難計画として船での避難を計画しました。しかし船での避難は天候次第では行えない可能性も高いです。更に、原子力発電所事故が起こる際に津波も同時に起こっていた場合、港が津波によって被害を受け使えなくなっている可能性もあるようです(放射性物質放出により進入禁止区域になる可能性すらあるようだ)

また、最悪の場合ヘリも使っての輸送を想定しているようですが、ヘリは船よりも天候によって左右されやすいことが推測されます。またヘリ輸送は多くの人を運ぶことは出来ないため、なかなか戦力としては計算出来ない避難手段となっています。結局、なかなか適切な避難手段は存在していないようです。

 

伊方原発の避難計画で、愛媛県はマイカーでの避難を推奨しています。しかし、避難の際に通ると思われる道路には日常的に渋滞が発生しているような場所があります。そんななか、愛媛県の避難計画ではその渋滞の見積が甘めにシミュレーションされているのではないか?という指摘があります。

また、避難計画にて使われている避難路が土砂災害などで、道路寸断が起こる可能性もあるのですが、そういう点の見積りも甘いのではないか?という指摘がなされています。

 

こちらの記事では、東海第二原子力発電所に関して、茨城県が策定した避難計画でも大きな問題となっている要援護者についての問題が触れられています。

特に問題になっているのは、要援護者の搬送責任が施設にはあるのですが、搬送を行うための人員不足、車両不足という根本的な問題が施設に存在しているのです。更に、受け入れ先の確保も施設で行わなければならず、そこも大きな問題となっているようです。

また、病院の患者の移送では、患者さんの体調の問題も大きく、普通の移送でも困難なのに、ましてや災害時の移送など不可能に近いのではないか?という疑問があるようです。結局、この要援護者移送問題には、積極的に政府が関わらないと解決しないのではないか?という思いが当事者の一部にはあるようです。

 

最後はいざ事故が発生した際に避難指示などがきちんと伝達されるのか?という問題です。

現在は屋外スピーカーから流れる防災無線で伝達しているのですが、大雨の時など聞こえにくいのが実態で、更に最近は密閉性が高い建物や高層住宅が多くなったことで余計に防災無線が聞こえない住宅が増えているそうです。また、地震や津波で破損や倒壊が起こってしまい、そもそも機能しない可能性もあるとのこと。そこで、愛媛県は屋内用の戸別受信機の配備を検討しているのですが、戸別受信機が一台3~6万円と高額なのに加え、配布完了まで5年程度かかってしまうという欠点を抱えているようです。

また、携帯電話への緊急速報メールを携帯会社と提携することで配信しカバーする計画もあるのですが、高齢者には携帯電話を所持していない人もいたり、送信する側が停電してしまって送信できない可能性も存在しているという欠点もあるようです。

また、公民館から本部と連絡を取る手段として、衛星携帯電話を使っているのですが、本部側が多数の公民館からの電話を受けることで、一部の公民館が本部につながらないという事態が発生するのだという。この複数回線の同時連絡を捌くほどのスペックが災害対策本部に用意できるのかどうかも課題になっているようです。

 

避難計画に完璧はありません。それは『原発に絶対安全は存在していない』というのと同意義です。しかし、そんな原発でも『とりあえずある程度の安全は確保できています』というお墨付き(現状は総理の判断責任を無いことにする手段としかなっていませんが)と、地元の同意(現在はないがしろにされていますが)が無いと稼働は出来ません。原発を稼働するということは、避難計画も稼働するということと同意義です。避難計画も同じように国策として、検証を行う機関と様々な地元関係者の同意が必要と策定するべきなのではないでしょうか?そして原発の条件と、避難計画の条件、両輪が揃って初めて『再稼働』という問題に当たるフェイズになっていくのが本来の流れなのではないでしょうか?

少なくとも『とりあえず稼働して、その後避難計画』という流れでは、福島第一原発事故の混乱から(総理の責任を回避する手段以外)何も学んでいなかったという事になってしまうと思うのです。

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