技能実習生は便利な労働力じゃない

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厚労省は14年に実習実施機関に3918件の監督指導を行った。うち76%で労働基準法違反が認められたと企業名を明かさず発表。違反には最低賃金の半分近い時給約310円での就労や、月120時間の残業(労働基準法では原則最長月45時間)、安全措置が講じられていない機械などがあった。法務省入国管理局は14年中に241の受け入れ団体と企業に対して最大で5年間の受け入れ停止命令を出した。
米国務省は15年の人身売買報告書で、実習制度の中で労働者が強制労働の状態を経験しているとし、借金による束縛、パスポートの押収、拘束といった実質的証拠があるにもかかわらず、日本政府は強制労働の被害者を把握していないと指摘した。同報告書によると、実習生の中には最高で1万ドル(約111万円)を支払って職を得て、辞めようとすると数千ドル相当が没収される契約で働く者もいるという。過剰な手数料や保証金、「罰則」の規定も報告されていると指摘した。

情報源: 低賃金に逃げ出す外国人技能実習生

この記事、SankeiBizに載っていたことに『あの産経系列がこういう記事を作って載せるなんて珍しいなぁ、と思っていたらブルームバーグの記事の転載のようで、納得しました。
(関西版の産経新聞ではこういう論調の記事を見た記憶があります)

という話はどうでもいいとして、この外国人技能実習生の話、どれだけこのような記事が出てきても、実態がどのように動いて、どのように改善、改悪の動きがあるのか?というものは見えてこないですよね。

特に外国人技能実習生の場合、この記事の中でひどい労働条件で外国人技能実習生を扱っている会社の幹部の話として『日本人は募集しても集まらず、政府と企業には「考え方にねじれがある」と指摘。外国人を単純労働者として受け入れる制度を政府はつくるべきだと主張』と書かれているように、日本人が集まらない職場にて雇用されているので、ある意味社会から隔離された職場、となりやすいと推測できます。その場合、社会にはその職場の実態は中々漏れでてこないということになります。
(この主張は『ひどい扱いで労働力として扱われるのが「単純労働者」である』という事も暗に示しているように思えます)

最近、ハローワークや大学での職探しの際に求人詐欺が起こっているという指摘も起こり始めています。

 ハローワークの求人票が実際の労働条件と違うという相談が全国の労働局などに相次ぎ、厚生労働省の集計で、二〇一四年度には一万二千件に上った。うち三割超の四千件以上で実際に食い違いを確認した。

東京新聞:募集と違う「求人詐欺」 ハローワーク相談1万超:社会(TOKYO Web)

このように国内労働者を扱うときにすら、詐欺といえるような実態隠しが起こっています。そしてそれを労働局は把握できていないわけです。

それ以上に社会から孤立しているような労働環境になりがちな外国人技能実習生の場合、同じような事が起きても更に発覚しづらくなるわけで、求人詐欺よりも事態は悪い方向にあると考えるのが妥当な線なのではないでしょうか?
(外国人技能実習生の場合、相談先も不明なまま働いている場合が多いようですし、ひどい場合は相談のための外部への連絡手段も、携帯電話没収などで絶たれている場合があります。)

過去に、外国人技能実習生という名目で、実質は労働者として扱っていたくせに、技能実習生という名目だからと待遇が労働者よりもひどい扱いになっていたという前例が有ったために、外国人技能実習生にきちんと労働法を適用するという方向に向かったわけです。

労働法を適用するんですから、日本人労働者も、現在存在する外国人労働者も、外国人技能実習生も、同じように労働者雇用企業に労働法順守の圧力をかけられるような、そのような体制が整えられることを願うばかりです。

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