『民主党政権で子供手当ての財源確保のために公立保育園などの補助金を事業仕分けで削減したために待機児童が増えてた。』は嘘

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こんなツイートが出回っていますが、このツイートは事実認識が間違っています。

その証明となる資料を提示します。

 政府の「三位一体改革」により、平成十六年度から国の公立保育所に対する運営費の補助が廃止された。この影響を注視し、地方における子育て支援策の推進を阻害することのないようにすることが大切である。
従って、次の事項について質問する。

(1) 公立保育所運営費の一般財源化による自治体への補助金削減と一方で税源移譲による所得譲与税との差額を自治体の人口規模別に把握した上で、人口規模によって差異が生じる理由をどのように考えているか、また、その差異を解消するために何らかの方策を講じる必要はないのか。
(2) 公立保育所運営費負担金の廃止により平成十六年四月から保育料の引き上げを強いられた自治体ならびに同じ理由で今後保育料の引き上げが予定されている自治体について把握した上で、これらの自治体に対して政府は何らかの指導をしてきたのか、また今後する考えはあるのか明らかにされたい。

右質問する。

公立保育所運営費一般財源化の影響に関する質問主意書

この質問主意書が提出されたのは『平成十六年七月三十日』です。ここには『公立保育所運営費の一般財源化による自治体への補助金削減』と『公立保育所運営費負担金の廃止』という言葉が出てきます。これが共産党の塩川議員の述べている『この間実施された公立保育園の補助金廃止、一般財源化が公立保育所運営費の減額につながり、保育サービス充実に逆行した』に繋がるわけです。つまり塩川議員の質問は『自民党の施策が公立保育所に悪影響を及ぼしたんだから、民主党はそれを民間に広げようとしないでくれ』という質問なのです。

つまり、『民主党政権で子供手当ての財源確保のために公立保育園などの補助金を事業仕分けで削減した』というのは間違いで、公立保育園に関する施策を行ったのは小泉政権の話。ここで塩川議員が指摘しているのはあくまでも民間保育所への補助の話なのです。

一方、実際に事業仕分けでは、民間保育所への補助といえる保育所運営費負担金が対象になっていました。

【09.11.12】事業仕分けにあたっての見解:kenkai

しかし、実際の議論で述べられた意見は『保育料の規準、高額所得者からの徴収額をもっと増やすことや、徴収規準をもっと細かく、かつ規準を可処分所得に変更するなど、現場の実態を考慮して、保育士の待遇改善につながるようにするべきでは?』という「徴収額の見直し」という結論がでていて、国の負担割合などには触れていない感じでした。

「事業仕分け」第2WG 保育所運営費負担金 

11/17 国の事業仕分け:保育所運営費補助金が安すぎる、保育士の待遇改善をせよという展開に: きょうも歩く

更に、原口大臣が主張したと言われている『民間保育園の補助金廃止、一般財源化』は2011年度予算時点では少なくとも回避されていたようです。

◆ 民間保育所運営費の一般財源化、今年もとりあえずは回避◆
~「5大臣合意」~
 12月20日深夜に開かれた「子ども手当関係閣僚会議」において、玄葉国家戦略担当大臣、片山総務大臣、野田財務大臣、細川厚生労働大臣、岡崎少子化対策担当大臣は平成23年度予算における子ども手当の取り扱いについて、別紙のとおり合意しました。
 これにより、子ども手当の財源をめぐって浮上していた民間保育所運営費の一般財源化について(全保協ニュース№10-22、№10-23参照)は、平成23年度予算では回避されました。ただし、「平成24年度以降における子ども手当の支給については、平成24年度予算編成過程において改めて検討し、その結果に基づいて所用の法律案を平成24年通常国会に提出する」とされたため、平成24年度予算編成の過程で、運営費の一般財源化が再度浮上することが懸念されますので、今後も適切な対応と提言を図っていくことが必要です。
 また、文書中にある「次世代育成支援対策交付金を改組し、地方が地域の実情に応じた子育て支援サービス(現物サービス)を拡充することができるよう新たな交付金を設ける」という記載については、厚生労働省に確認したところ、ソフト交付金のうち5億円程度の割合をもつ部分が対象となるとのことですが(詳細は未定)、今後検討するとのことです。さらに、「平成23年度厚生労働省予算の見直しにより所要額(200億円)を確保する」とされているところを受けて、保育所運営費等現物サービスが充てられるかのような報道が一部ありましたが、「保育所には関係ない部分」ということを確認しています。

全保協ニュースNo.24

そしてその後の経緯はよくわかりませんが、民主党政権が倒れ安倍政権になった後の、平成26年度予算では一般財源化していて、平成27年度の予算から内閣府に移管されたということが確認できました。

無題

出典:平成27年度における国庫負担金等について

●保育所運営費はいったん廃止
新制度の柱は給付制度への変更です。給付費の基本は、国が定める「公定価格」から「利用者負担」を差し引いた額になります。私立保育所の委託費も、給付費を基本に算定されます。
給付費制度は内閣府の管轄になります。つまり、これまでの厚労省所管の保育所運営費等はいったん廃止となり、内閣府が新たに作る給付費制度の中に組み込まれる予定です。当然、補助金内容も見直されることになります。国は、公定価格に職員の常勤・非常勤の別、経験年数等の反映を検討するとしていますが、現在の民改費等の額が維持される保障はありません。
また、公定価格の「骨格(算定構造)」については2014年度の早い時期に示すとしていますが、その詳細は、おそらく制度施行直前まで明らかにされないでしょう。利用者負担(保育料)の割合をどうするのか、幼保連携型認定こども園と保育所などの施設ごとに格差をつけさせないなど、課題は山積みです。
議論の動向を注視し、現行水準を下回らないよう要求していく必要があります。各市町村に対しても、新制度への移行を口実に、これまで積み上げてきた単独助成や保育料補助などが切り捨てられないよう、要求していくことが重要です。

(13.11.11)全保連ニュース第7号 国庫補助負担金(保育所運営費)はいったん廃止!:news

ちなみにこの内閣府に移管される動きの元になっている、『子ども・子育て支援新制度』は、野田内閣時代に行われた3党合意によって成立した子ども・子育て関連3法を基にしたもののようです。

民主党 | 社会保障・税一体改革で民主・自民・公明の3党実務者合意案まとまる 

民主党 | 社会保障・税一体改革で正式合意=3党幹事長会談

結論

『民主党政権で子供手当ての財源確保のために公立保育園などの補助金を事業仕分けで削減した』というのは誤りで、公立保育園に関する施策を行ったのは、小泉政権時の三位一体改革。

私立保育所に関しては民主党政権では実際に手を付けるところまで行ったかは怪しい。

そして実際に共産党が問題視していたものを加速したのは、民自公による三党合意である、というのが私が、ここまで提示した資料から導いた結論です。

このような根拠資料もほとんど提示せず、それっぽい文章を抜き出して『国会議事録で調べた!』とかいって粗雑な事実認識を披露するの、本当にいい加減にして欲しいですね。

(500円がなんでか述べている福島みずほ云々も嘘だということがこれでわかると思います。)

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